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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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「私は嬉しいですが、エレナも仕事時間以外ではゆっくりと休息をとって欲しいのだけど。」


そう言うと、ますますエレナの顔が笑顔になる。


「クレア様、部屋で1人で居ても楽しくございません。お友だちとお茶を飲んで語り合うのは私の趣味でございますよ。私はこちらにはクレア様しかお友達がおりませんので、お茶に付き合ってくださいませんか?」


エレナはそう言って微笑む。

エレナのそういうところ。私に気を遣わせないような言い方をして、私が気兼ねせずに頼ってしまうような対応をしてくれるところ。

本当にうまいなと思う。

相手を不快にさせないし、気を遣わせずに対応できるし、むしろ気持ちよく頼れるなんて対人スキルが高すぎて尊敬するくらい。


「ありがとう。それでは食後のお茶に是非ご一緒してちょうだい。あ、夕食だけど、やっぱり部屋で頂くわ。2人分持ってきてくれる?」


書類と地図をまとめて、自室へ移動する。


「かしこまりました。ではまた後ほど。」


もちろんのことだが、2人前を私1人で食べるわけではない。

エレナと一緒に食べて、お茶をしようと思ってのことだ。

エレナはそれくらい理解してくれるから言わなかったが。

エレナが私との時間のためにお茶(話し)が終わるまで夕食を食べられないことになってしまうため、一緒に食べたいと思ったのだ。


エレナにはいつも何かをしてもらってばかりだ。

私も何か力になれたらどんなに良いだろう。

実は会議前にマリー殿に資料と共に手紙を渡したのだ。

領内一の情報通だから。

ハオマ兄弟の消息を調べて欲しいと。

2人の年や出身、生い立ち、薬草売りをしているかもしれないことなど。

もちろん私と2人きりの時にしかその話をしないように口止め付きで。

エレナとのことは書かなかった。

女の勘は鋭いから、ひょっとするとマリー殿はエレナ関係だと気付いているだろうが。

噂好きの女性は大体が勘が良い。

勘が良いから情報を繋げて分析できるのだ。

時々ただの野次馬で自称情報通の勘の悪い女性もいるが。

何か情報が掴めると良いが。

マリー殿は領内外に顔が広いため、どこのことでも情報を得ている。

もはやプロの情報屋レベルだろう。

…プロの情報屋を利用したことはないけれど。


とにかく、分かり次第報告頂けるよう依頼したため、ゆっくりと結果を待ちたい。

エレナがずっと調べても未だ消息がわかっていないのだ。いくらマリー殿とはいえ、すぐにはわからないだろう。

しかも謝礼も無しで仕事の片手間にやって頂くのだからなおさら。

これで数日中に探し当てられたら、謝礼を弾みたいくらいだ。


エレナには内緒だ。

期待させてわからなかったとあってはいけない。

はじめから知らせず、わかれば万々歳、わからずとも情報が入るまで待つ。


ハオマと会えたら、エレナは何を話すだろうか。

想いを伝えるのだろうか。

エレナはまだ彼を想っているのだろうが、思い出の中に恋心を抱いているだけかもしれない。

何にせよ、突然の別れだったのだから、言いたかったことや色々な気持ちがあるはずだ。

それを伝えられれば良い。

想いを遂げられればなお良い。

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