100
「もちろんよ。ところで、パールミントってそんなに早く採れるものなの?植えてまだ2週間くらいでってことになるわよね?」
そんなにすぐ採れるのなら、かなり早く、そして安定した収穫量を得られるのではないか。
「そこなのよ。土が合うみたいで私も驚いているの。種を蒔いて、3日で発芽したのよ。そして順調に伸びているの。枝がよく別れるように摘んでいくのだけど、それが試験の頃にできそうなの。まぁ摘みはじめは香りが今ひとつではあるのだけれど。パールミントはどんどん増えていくから、年に2回くらい植え替えて土を整えたり、爆発的に増え過ぎないように整備する予定なのよ。だから一旦抜いても、植え替えていくのと、流石に硬くなったりするほど育ってたらいっそ染料の原料として使うことにするけど、株の量次第で新たに種まきすることになるわ。土の上からも下からも伸びて増えるから、定期的に植え替えた方が良いわ。ハーブ園として見学もするならなおさらね。」
「そうね、ぼーぼーに生えているのは見た目が良くないし、摘みづらいものね。」
ゴールドガーデンに適性のあるハーブで良かった。
他の今後栽培予定のものも土が合えば良いのだが。
「ミントって強いイメージだものね。たくましいのね。他のハーブたちも順調なら嬉しいけど。」
エレナはにっこりと満面の笑顔でこたえる。
「ここの土はね、大分酸性が強いみたいなの。だから石灰を撒いたりして、酸度を調整したりね、あとは堆肥も混ぜたりして土の栄養も整えているのだけど。だからこそ畝それぞれが酸度も堆肥などの土の量も違うものを作ってみたの。1番生育が順調な土を採用していく方向なのだけど、ある程度『ここの土に合うもので』ということで作物は選定したのよ。ただ加工に向いているからとかではなくね。ゴールドガーデンに入ってから領内の植物を観察していたら、割と酸度の高い様子が伺えたから。あとは水はけも良すぎて乾くのが早そうだとかね。」
ただ馬車に揺られていた私とは違い、エレナは植物などを観察していたとは。
「エレナって土にも詳しいのね。農業についても施策の相談ができそうね。」
エレナが議会に加わってくれたら頼もしい。
「私はね、あくまでもハーブが専門なのよ。野菜や穀類やら他のものの栽培についてはからっきしだから無理だわ。あなたの秘書としてサポートはするけど、政策には口出しをしないわ。私が口も手も出すのはあなたの生活と、ハーブ園に関することくらいかしらね。」
あくまでもエレナは政治的な介入はしないと決めているようだ。
まぁ元々メイドとしてついてきてもらったのを、ハーブ園を任せると無茶をお願いしたのだ。
これ以上エレナを巻き込んで無理はさせられない。




