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出会い

「にゃー」

「にゃー」

「にゃー?」

「にゃー?」

「……」

「……」

「にゃー」

「!にゃー!」


ベットの上でじゃれ合う。

こっちにきて三日目。

アルの成長は早く、もう成猫の大きさになっていた。さらばもふもふ、おはようぬくぬく。

大きくなってからは、本当にぬくぬくと温かい。お腹とかに乗ってくるともう本当。

また魔法の練習をしている。

川に水を取りに行くのは面倒なので、魔法で済ませれるようにしたい。

今日はどうにかバケツ1杯分は出せた。が………まだ足りない。

仕方ない、また行くか。そう思いながら外に出る。


「アル、行くぞ」

「にゃっ!」





今日は川に水汲みとついでに、魚を獲る。その為に、釣り用の竿を作ろうと思っている。


「あと糸もいるよな………どうしたものか……」


糸って何で作るんだ……いっそ置いてあった服の糸解くか?

……まてよ。


「たしか……この森って、あの魔獣いるはずなんだよな」


もしそいつが見つかって、テイム出来たらすごい生活豊かになる。

あと、この想像が確かならめちゃめちゃかわいい。


「たしか、こういう木の穴に……」


キョロキョロと探す。

今の季節は夏。この時期に穴に残されているあの冬鳥は……たしか死んでしまうとか。

死んでしまうくらいなら、助けたいし……あわよくばもふりたい。

そんな下心も含みながら探してみる。





小一時間くらいだろうか。

ようやく見つけた。顔を除くと、力を振り絞ってこちらにくる。


その魔獣の名は、スピッティング・オー。白いフクロウによく似ている。


「おー、よしよしよし」


餌は肉。さっきラット捕まえといて正解だったな。

ちなみにこのラットは、家をかじってたやつ。魔獣だが、子供でも倒せるほどの弱さだ。そのままとっ捕まえた。罠を仕掛ける時に使えるかも、と取っておいた。こんな形で使うとは思ってなかったけどな。


やはり魔獣、ほかの生き物とは違うようで、餌を食べるなり元気になる。

スピッティング・オーはそのまま肩に乗った。本を読まなくてはわからなかったが、魔獣が体を擦り寄せたりした時はテイムして欲しいの意らしい。


「いいのか?」

「ホー」


そのまま木から下り、頭に手を乗せてテイムする。

すると、今度はアルが逆の肩に乗る。


「アル?」

「………ミィ」


しょんぼりとした感情が伝わる。

………ひょっとして嫉妬したのか?

なんて可愛いやつなんだ。


「大丈夫大丈夫、アルも大好きだよ」

「!ホー?ホーー?」

「おわっ!?なんだなんだ?…へへ」


競うように二匹は頬ずりしてくる。ふわふわとぬくぬく。

あぁ、かわいい。

そんな感じで和んでると、はっと思い出す。


「そうだ。えーと……まず名前決めよう、イルでいい?」

「ホー!」


元気よく鳴く。その声にほっとしながら、頼んでみる。


「イル、糸を作って欲しいんだけどいい?」

「ホホッ!」


そう、このスピッティング・オー。

かなり強度のある糸を紡げるのだという。

元は巣を作る為の糸らしいが、十分釣り用の意図にも使えるほどの強度とか。口から糸を生み出す。

ありがとうと言ってからその糸を適当な木に結びつける。

先には木を彫って作った針をつける。


「出来た!」

「にゃー!」

「ホー!」


それで、あとは餌か。

まあ川に行けば何かあるだろ。



徒歩十分。


「おお………」


そこが見えるほどの透明度。

魚の姿が見える。

水汲みの時には見るものの、やはり綺麗だと思う。それに大きい。底まで5mはあるし、幅は15mくらいだろう。


「たしか、岩の後ろに……あ、いたいた」


水虫の一種。それをつまみ上げ、針にかける。あとは投げるだけ。

ちょんちょん、と動かすと……


「早っ」


もうかかった。

釣り上げたら、中々の大きさ。これがあと5匹もあれば豪華な食事になりそうだ。


「にゃー!」

「ああ、アルごめん、びっくりしたな」


毛をさか立たせている。落ち着かせるように背を撫でて、また次の餌をつけた。と、イルの様子が変だ。


「どうした、イル?」

「ホロロロロロッ」


なにか警戒しているようだ。目線の先を見ると。


「…………え、何あれ」


やたらとでかい背びれ。ずんずんとこちらに向かってくる。

小さな魚は向こうへ逃げていく。

それは肉食魚のピラニア。それの超でかいヤツだ。


「うわぁ……」

「ホロロロロロロロ」

「に"ゃーーー!」


二匹とも警戒している。まああれ1mくらいだもんな。てか、こっちのピラニアって単独なのか?

あとで本を見たら、小さなピラニアは群れるがこれほど大きなピラニアは単独なのだとか。


「……………捕まえられないかな」

『!?』


私の感情を読み取ったのか、びっくりしている。そう決まれば木で槍を作ろう。出来るだけ早く、多く。


「アル、木上からあいつ見張ってて。万が一危なくなったら私のとこ戻ってね」

「にゃー!」

「イルは糸だして。できるだけ太くて頑丈な長いやつ。出来る?」

「ホー!」


硬めの木を小斧で切り、小刀で先を鋭くする。そして反対側は穴をあけ、そこに糸を通して結ぶ。

イルは頑張って糸を吐き出している。





「出来た!」


計10本の槍。時間はかかったが、まだ居るだろうか?


「アル、どう?」

「にゃー!」


おお、まだいるまだいる。

糸の先を周りの木に括り付ける。

これで準備完了。


「よし、やるか!」


槍に力を込め、前を見た。












ただの、薬草取りだった。

ギルドの任務で、奥深くまで来ていた。多分この樹海でここまで来たのは僕くらいだろう。おかげで多くの薬草をゲットした。

そんな中で、見つけた。

銀髪赤目の、息を止めてしまうほど美しい人。

歳は、僕よりも全然若いと思う。僕より5歳は年下だろう。

肩には、テイムすることが困難で有名なスピッティング・オーの幼生と、野生で見つけることはちょっと珍しいホーンキャットを方に乗せていた。

そしてその目線の先には……!?


「キングピラニー!?」


凶暴で肉食の川魚であるピラニー。その中でも最大級といわれる、キングピラニーがいる。

そうだ、このラム川、こいつがうじゃうじゃいるから入るなって言ってたっけ。

対してあの子は……槍?


「よし、やるか!」


なにを!?

まさか、あのキングピラニーを仕留めるつもりなのか!?


「せーの!」


そういって、槍の1本をキングピラニーに………投げた。

上手い。槍は真っ直ぐキングピラニーに当たる。


「!!」


当たったキングピラニーは逃げようとする。が、何故か抜けない。

透明な水が赤くなる。


「よし、いいぞ」


そのまま何本も突き刺す。当たる場所は首の付け根。まさか、動いてるキングピラニーの急所を当ててるのか……!?

やがて、キングピラニーは息絶えた。


「おー、割と出来るものだね」

「にゃー!」

「ホー……」


そのまま糸に繋がってる槍を引っ張りあげ、岸にあげた。

でかい。1mはある。


「じゃ、解体するか。」


……あんな簡単にキングピラニーを仕留めるなんて。

キングピラニーは魔獣ではないが、危険な生物なのでギルドでも度々討伐依頼が出る。特に漁師にとっては、商品を食べる害獣だ。

ランクはG。下から2番目とはいえ、やっと一人前の冒険者になった人でなければ危険なクラスだ。


「………!誰だ!?」

「えっ」



え、嘘。バレた?

お読みいただきありがとうございます。もし良ければ感想やレビューよろしくお願いします。

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