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ニートな僕と夢世界。  作者: 神津 有栖
始まりのバンジー
2/2

姉、弟


新戸アラト 鳴黒ナグロ、17歳。高2。

僕のことを語るにしては、もう少し言葉が足りないだろうか。


いや、別にそこまでのことでもないのだが。

足すとしたら、大方同じ言葉が連なるだけであろうことは、確かだ。


“ニート”“二次ヲタ”“コミュ障”“ゲーマー”“シスコン”


最後だけは、別物であることは確かだろうが、まあ見て分かるとおり、新戸 鳴黒はヲタクなのである。


そんなクラスでの影キャラ的な存在だった鳴黒は、当然のことのようにいじめを受けていた。気がつけば、上履きがなくなり、呼び出しを多く受けたり…


その原因は、彼の姉、真白マシロにあった。


彼の姉、新戸 真白は世界的に有名な作家であった。それとともに、彼とひとつしか違わないにしては、酷く美しく、冷静で、冷血だった。


そんな美しい姉がいて、うらまれない男などいないはずがなかった。恨まれ、憎まれ、妬まれ、嫉まれた。普通そんなことがあれば、姉を嫌いになったり、人間不信になったりとすることであろうが、鳴黒はそんなことがなかった。むしろよりいっそう、真白の弟であることを誇りに思った。


それほどまでに、自身の姉のことを好いていたのである。


だがしかしそんな日々にも終わりがやってくるものだ。


「姉さん…僕、少し疲れたみたいなんだ」


「そう」


夜中に帰ってきた姉に、走って抱きついた鳴黒の発した言葉がそれだった。真白の胸に深く顔をうめて。

声は、冷たいもののそっと、鳴黒の背に手を回しやさしく抱きしめるとそっと、頭をなで続けていた。言葉で表現しなかったとしても行動で伝える。

それが、この姉弟のあり方だった。


「姉さん…すっごい好き。大好き」


「うん。私も」


二人の親はすでに他界していた。もういなかった。

彼らが中学生のときだった。自立していけるように、姉は作家になった。弟は、裏で何か仕事をしているらしい。そんな噂も立った。



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