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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
12 むいむいたん

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12-43 八大迷宮『二重螺旋』

―1―


 二重螺旋。


 巨大な一つの岩の中に作られたアトラクションのような迷宮と実験施設。


 土の属性をメインとした八大迷宮の一つ、二重螺旋。


 俺は大きな岩壁を見る。入り口は上だけだったよな。

「マスター、私の善意で、私が持ち上げて運びます」

『不要だ』

 とりあえず14型の妄言は無視して、俺は《永続飛翔》スキルを使い岩の上に飛び上がる。俺の後を追うように、二夜子とユエインを持った14型が飛び上がってきた。ホント、14型の身体能力は凄いなぁ。


 俺たちは岩の上部に降り立つ。そこには降りる階段が二つと、何かの絵が描かれていた。何かの文様か? 掠れていて読むことが出来ない。


 まぁ、この迷宮は、一度攻略しているからな。謎解きが中心のこの迷宮でも、進行に困ることはないだろう。


 階段を降りる。


 階段を降りると光る床と四角い箱が並んだ広間に出た。

「マスター、作業を継続しますか?」

『不要だ』

 ここでレベルがカウンターストップするまで豚顔のゴリラを狩りまくったのも今は昔、か。

 あの時は、このゲームのような世界に馴染もうとして、強くて困ることはないから、と限界まで鍛えたんだよなぁ。結局、その世界の仕組みを作った葉月の前では無意味だったけどな。葉月の作ったゲームシステムの枠の外に出たつもりでも、結局、その世界から逃げられた訳じゃなかったし――いや、その経験が無駄になった訳じゃないな。あいつ相手に、それが無駄だったと分かっただけでも収穫か。


『14型、先に進むぞ。頼む』

 俺の言葉に14型が頷き、優雅なお辞儀を返す。14型が、二夜子とユエインを地面に置き、迷路のように広がった広間を駆けていく。

「相変わらず、なんだか、変わったところやね」

『ですねぇ』

 14型が青く光る床の上に赤い箱をのせる。カチリという音とともに箱が橙色に変わった。

『ここを作ったヤツは、ゲームのような謎解きアトラクションを楽しませたかったんだろうよ』

 14型が次々と箱を動かしていく。


 そして、部屋の中央が開き、下へと降りる階段が現れる。

『次に進むぞ』


 えーっと、次は無限階段だったか。ここの抜け方ってさ、結局、分からなかったんだよなぁ。さあて、どうしよう。


 とにかく適当に進むか。


 無限に続くかのような階段を降り続けていると、14型に掴まえられていたユエインが、その獣耳をピクピクと動かし始めた。

『今、何かの反応があったようですね』

 む?


 むむむ?


『わずかですが、足場が動いている空間音を感じます』

 よし、戻ってみるか。


 ユエインの言葉に従って来た道を戻ってみると、階段の途中が持ち上がって開き、そこに扉が現れていた。


「まさか!? 私の感知できない音があるとは思えないのです」

 14型が何やらショックを受けているようだ。あー、ユエインが自分の感知できない何かを感知したから負けた気分になっているのかな。

『この耳は空間を音として感知できます。その違いでしょうね』

 ユエインがよく分からないことを言っていた。しかし、14型は、その言葉で理解出来たのか、何やら納得したように頷いていた。そして、ユエインの首根っこを持つ持ち方を変える。普通に持ち上げて運ぶようになっていた。


 うーむ。


 魔素や転送装置があるような世界だもんな。先に進んでいるつもりが転送していて、元の場所に戻っていたり、魔素を使って新しい階段を作り続けたりとか、普通にあり得そうだもんなぁ。


 まぁ、正解が何だったのか、やはり、よく分からないが、これで先に進めるな。


 扉を抜けると、そこは騎士鎧が並ぶ通路になっていた。

「この先は、ランちゃんが、頭むいむいだったところやね」

 羽猫姿の二夜子がニシシと笑っている。誰の頭がむいむいだ、誰の頭、が!


 通路の先は、ちょっとした講堂くらいの広間になっており、その中央に台座と天秤があった。天秤の左側には水晶玉が乗っており、その重さで傾いている。

 部屋の左右を見れば、騎士鎧が2体ずつ並んでいる。


 そして、目の前の通路に取り付けられていたであろう、金属の扉は、へしゃげ、吹き飛んでいた。

 あー、そういえば、前回、力業で突破したんだったな。直ってないのか。


 うん、ああ、うむ。


 俺たちは普通に吹き飛んでいる金属扉の先へと進んだ。


 破壊された金属扉の先の通路も騎士鎧が並んでおり、その先は開かれた宝箱があるだけの部屋になっていた。


 14型が宝箱を動かすと、そこには、下へと降りる梯子があった。この宝箱、前回も動かしたよな? あの時のクロアが元に戻したんだろうか?


 梯子を下りる。


「マスター、情報を検索します」

 梯子の先は、弧を描くようなゆるやかな下り坂。そろそろ、この迷宮も終わりだな。


「ここでは魔素を使った人の進化実験が行われていたようです。大量のネズミを使った実験では、その多くが異形化したようです。それらを調整し、任意に、その力が得られないか調べるための施設だったようです。その実験施設を、あの女が再利用した形です」

 進化実験か。まんまだな。


 人を超えた人、超人でも作るつもりだったのか。その力を利用して葉月を打倒するつもりだったのか。

 結局、この世界の魔獣の祖先や、魔族の祖先を作っただけだろう?


 どちらにせよ、ろくなもんじゃないな。

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