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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
12 むいむいたん
968/999

12-31 神国の首都ミストアバンへ

―1―


 ファット船長と14型の案内で迷宮都市内に墜落したネウシス号の元へと向かう。迷宮都市の至る所が崩れ、煙が上がっており、これからの復興の難しさを感じさせた。全てが終わったら、グレイシアからも出来る限りの援助をしないとな。


「急ぐぜ」

 珍しくファット船長が全力で駆けている。

「遅いのです」

 それでも14型の移動速度と比べたら、かなり遅いんだけどな。


 ネウシス号が墜落した場所は迷宮都市内の中心部に近く、意外とすぐに辿り着くことが出来た。


 迷宮都市の建物に突っ込んだ状態のネウシス号を見る。外装は――そんなに傷があるようには見えないな。建物から見えている部分の状態だけどさ、それでも傷があるようには見えないな。ステルス戦闘機のような外見はそのままだ。


『ファット船長、壊れているようには見えないな』

 ファット船長を見ると、船長自体が驚いていた。

「何でだよ」

 いや、俺が聞きたいけどさ。

「こんなこともあろうかと自己修復させておいたのです」

 凄く、凄く、14型が得意気だ。表情は変わらないけどさ、凄く得意気なのが分かるんだよなぁ。にしても自己修復か。こう、ナノマシーン的なものが直してくれたのだろうか。いや、この世界だと魔素かなぁ。何でも魔素でなんとかなる世界だしな。

「後は最後の仕上げをするだけなのです」

 修理に時間はかからないって、こういうことだったんだなぁ。


「ま、いいんだよ。俺様のネウシス号が直ったなら、それでいい。さあ、行くぜ」

 俺とファット船長、ユエインと共にネウシス号に乗り込む。


 14型は外で最終チェックをしているようだ。有能だな。うん、有能だ。


「動力充填中よぉぉぉ!」

 何故かファット船長がノリノリだ。ああ、壊れたと思っていた相棒が、殆ど完治していて目の前にある状況だもんな。ノリノリにもなるか。


『大丈夫な方なんでしょうか?』

 何故かユエインが不安そうな顔で俺の方を見ている。あー、今はテンションがおかしくなっているだけだから、だけだからッ!


「マスター、修理完了です」

 すぐに14型が戻ってくる。早いなぁ。こんな風に、本当に、すぐ修理が終わるとは思っていなかったんだぜ。


「さっそく動かすんだよぉぉぉ」

 だから、ファット船長、そのテンションはなんなんだ?


 ネウシス号が動き出す。突っ込んだ建物から逆噴射よろしく飛び出し、空へと舞い上がる。いや、不思議な感じで動くね。前から、こんな感じだったかなぁ。


 ま、まぁ、とにかく、これで神国へ出発だ。いやぁ、何だろう、その場のノリで、そのまま出発してしまったが、これで良かったんだろうか。ヤズ卿に挨拶をしたりとか、おっさん連中のフォローをしたりとか、全て投げ出しているけど、えーっと、まぁ、うん、多分、大丈夫だ。だって、迷宮都市は冒険者の本拠地だもんな。色々と図太い冒険者の国だから大丈夫なはずだ。うん、うん。


 ……。


 後でフォローに来よう。




―2―


 ネウシス号が全力で進み、迷宮都市と神国の境目である刹那の断崖へとさしかかる。刹那の断崖に住む飛竜たちが、こちらに気付き襲いかかってくる。しかし、その飛びかかってきた速度よりも早くネウシス号が飛んでいく。おー、高速、高速。これならすぐに神国の首都に到着するな。


 刹那の断崖を抜けると、何処からか竜に乗った竜騎士が飛んできた。ファットがネウシス号の速度を落とす。それにあわせて竜騎士がネウシス号と併走する。


『ファット船長、大丈夫なのか?』

「だ、大丈夫だ、だぜ、よぉ!」

 ファット船長が、先ほどまでのテンションと違い、少しだけうろたえながらも俺の方を見る。いやいや、それ、本当に大丈夫か。


 ネウシス号と併走している竜騎士が、何か小さくため息を吐き、前方を指さす。進めってことか?


「ほら大丈夫だったんだよ」

 何故か、ほっとしたようにため息を吐いているファット船長であった。あ、ああ、確かに大丈夫だったな。


 ネウシス号は、手を振っている竜騎士を後にして、さらに進む。


 もう、ここからは神国か。

「このまま神国の首都ミストアバンのクリスタルパレスまで飛ぶぜ。行き先は、そこでいいんだよな?」

 ああ、頼むぜ。一応、八大迷宮『空中庭園』のあるクリスタルパレスまでは学院の方からでも行けるけどさ、結局、その首都にあるクリスタルパレスに行くわけだからな。それなら、直接、そちらに向かった方が正しいだろう。


 ネウシス号は神国の上空を何事もなく通過していく。うむ、確かにこれなら、ファット船長が言っていたように任せて良かったな。


 やがて海に落ちた首都のミストアバンが見えてくる。さあ、目指すは、その中心クリスタルパレスだな。


 あー、でもさ、神国の首都のミストアバンって、八大迷宮『空中庭園』の上に作られた都だよな? これ、八大迷宮『空中庭園』を崩壊させたら不味いんじゃないか?


 うーん、でも、今は、以前と違って、空に浮いていないからな。海上だし、なんとかなるかなぁ。上の首都部分は迷宮じゃないからね。そのまま浮いたままかな。た、多分、大丈夫だよな?


 駄目だった時が怖いなぁ。


 それこそ世界の敵(ワールドエネミー)って呼ばれていたのが正しいって言われかねないな。


 ……。


 ま、まぁ、その時は、その時で、何とかなるように考えよう。


「さあ、クリスタルパレスだ。中庭に降りるからよぉ」

 ファット船長がクリスタルパレスの中庭へとネウシス号を進める。攻撃とかされなくて良かったぜ。それに中庭なら、他の人に見られずに、そのまま八大迷宮『空中庭園』に挑めるしな。


 一応、セシリーの方針で、ある程度は、普人族以外にも友好を掲げていくって言ってもさ、昔からの方針がすぐに変わるわけじゃないだろうからなぁ。特に貴族連中なんて、納得していない連中も、まだまだ残っているだろうしさ。


 こっそり、忍び込めるなら、それが一番だ。


 さあ、次は八大迷宮『空中庭園』だな!

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