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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
11 深淵攻略
922/999

11-45 天から降り注ぐ破壊の光

―1―


 空に何かが浮いている。いつの間に?


 銀色の四角い塊?


 俺たちが船渠(せんきょ)の方へと向かうのを邪魔するかのように次々と空飛ぶ銀色の塊が飛んでくる。

 何処から、飛んできているんだ? 海の方か?

『マスター、危険、危険』

 さっきからゼロの警報がうるさい。だからさ、どうやって――こいつらは現れたんだ?


 飛んでいる銀色の塊に光が生まれ、それが放たれる。次々と銀色の塊から光線が生まれ、周囲に火柱を上げる。レーザー光線か何かか!?

 まるで天から降り注ぐ破壊の光って感じだな。

「あれらを何とかしないとドックに近づくのは難しそうやねー」

 今までは化け物だったのに、急に機械みたいなのが現れだしたな。さあ、どうする、どうする?


『聞こえるかね』

 俺が銀色の四角い塊をにらんでいると、ゼロから急に渋い声が発せられた。この声は――アマテラスの艦長、本郷大和か。

「艦長なのか?」

『敵の攻撃が激しくて艦を動かすことが出来ない。外部から何とか出来な……』

 しかし、すぐにゼロから聞こえていた艦長の声が途切れる。

「艦長、そっちは、どうなっているんだ?」

『通信エラー、通信エラー』

 ゼロを振っても揺すっても反応はない。これ以上は通信出来ないようだ。船渠側でも、そんなことになっているのかよ。通信が出来たのが一瞬だけとか、ヤバい感じしかしないな。


「おい、ゼロ」

『はい、マスター』

 抱えたゼロは縦長の黒目を点滅させている。

「何処から敵が現れているか検知出来ないか?」

『エラー、敵の出現を検知出来ません。目標は視覚範囲に突如出現しています』

 こいつ、役に立たねぇ。

「まるで空間転移でもしてるみたいやねー」

 銀色の塊は増え続け、レーザー光線を放出して基地内を破壊していく。くそッ!

「とりあえず、俺は、こいつらを破壊していくッ!」

「って、あんな空中のどうするんよ。うちが重火器取ってくるま……」

 俺は二夜子の言葉を途中で止める。

「大丈夫だ。任せてくれ」

 俺はゼロを地面に置き、真紅妃を強く握る。


 そして、黄金妃の力で空へと飛び上がる。空中に浮かぶ銀色の塊へと飛ぶ。そのまま真紅妃で銀色の塊を貫く。銀色の塊はバチバチとショートし、そのまま爆発する。その勢いに乗って、他の銀色の塊へと飛ぶ。そして、それも貫く。


 次へ飛ぶ。


 そこを狙うようにレーザー光線が放出される。俺は黄金妃の力で空を蹴り、飛ぶ軌道を変える。そのまま真紅妃を振り払い、銀色の塊を吹き飛ばす。


「はえー、なんだかもう無茶苦茶やね」

 二夜子は地上で呆れたような声を出しながらも、何処からか取り出した拳銃で、他の銀色の塊を撃ち、こちらの援護をしている。


 俺たちが銀色の塊を破壊し続けると、またもゼロが喚き始めた。

『急接近、急接近、急接近!』

 ゼロの声に反応したのか二夜子が海の方を指さす。そちらから、恐ろしい勢いで迫る物体が――ハングライダーのような金属の塊がこちらへと迫る。そのハングライダーの下には人の姿が見えた。何だ? 何が迫ってきてる?


 鉄のハングライダーは俺たちの頭上を越え、飛び去っていく。そして、その際に――俺たちの目の前に、鉄のハングライダーに掴まっていた『人』を落としていく。

 俺たちの目の前に、そいつは降り立った。


 深いしわを刻み歴戦の強者としてのオーラを感じさせる強い瞳を持った容貌。着ている軍服を盛り上げる、はち切れんばかりの筋肉。そして、一番異質なのが、その右手と両足が金属の――機械へと変わっていることだ。

「なんだか凄いお爺ちゃんが降ってきたんやね」

『危険、危険、危険』

 機械の体を持ったジジイがこちらへと顔を向け、そして口を開いた。

「初めましてかな、諸君」

 その声は重い。

「お前は何者だ?」

 俺の言葉に目の前の機械ジジイは笑う。

「それを答えると思うのかね? まぁ、いい。ただ、だがね、私などは一兵士に過ぎぬから、名乗る名前を持っていないのだよ」

 こいつ、何者だ?

「随分と流暢に喋るんやね」

「ははは、同志フミチョーフとは違い、私には時間があったからね。君たちの言葉を学ぶのは良い時間つぶしになったよ」

 同志フミチョーフ? やはり、こいつはヤツの仲間なのか?

「お前は何の為に、ここへ……」

 まぁ、聞くまでもないだろうけどさ。

「テレポート・ポッドが予想外に次々と破壊されているようだからね。私が自ら挨拶に出向いたって訳だよ」

 テレポート・ポッドだと?

「まさか、これは何処からか転送して来ているとでも言うのか? 馬鹿げてる、そんなSFみたいなことが……」

 目の前の機械ジジイは首を横に振る。

「そのまさか、だよ。同志フミチョーフは天才だ。アレの力を解明し、わずか50年ほどで完成させるのだからね。まぁ、まだ、この程度のサイズしか送り込むことは出来ないのだがね」

 アレの力? 50年?

「何を言っているんやろうね。フミチョーフ・コンスタンタンは50年も生きてないと思うんやけどねー。それとも、うちらの情報が間違ってたのかしら?」

 二夜子の言葉に機械ジジイが笑う。

「ははは。気付かないのか? それとも認めたくないのか? 信じたくないのか?」

 機械ジジイが大きく両手を広げる。まぁ、どちらにせよ、だ。

「お前は、あの化け物どもの仲間って訳だな」

 しかし、機械ジジイは首を横に振る。

「あんな化け物と仲間にしてもらっては困る。あのような私たちの崇高な理念を理解しない為れ果てとな!」

 どういうことだ?

「お前は俺の、俺たちの敵なんだよな?」

「お前たちが同志フミチョーフの前に立つ限り、私は敵対する」

 つまり敵ってことだよな?

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