2-82 従う
―1―
このまま道場に戻って侍のクラスを取得するか。
侍かぁ、侍ですよ、侍ですよねッ!
ミカンさんを見ているから侍というクラスがどういうモノかは大体分かっているけど、ワクワクするよなぁ。
そのままミカンさんと共に道場へ。
道場の中にはお爺ちゃん猫だけが居た。他の門下生は居ないようだ。……そういえばお爺ちゃん猫の名前を聞いてないや。いやまぁ、この方もシラアイさんなんだろうけどさ。
「ふむ。どうやら無事に初心の刀を手に入れられたようですな」
もふもふのお爺ちゃん猫が片眼を見開きニヤリと笑う。お、武芸者の貫禄ですな。
『これを』
俺は初心の刀をお爺ちゃん猫に渡す。
「確かに。ではこちらへ」
そう言ってお爺ちゃん猫が足下をトントンと叩くと足下の床がスライドし階段が現れた。うお、何、そのカッコイイギミック。
俺はお爺ちゃん猫の後を付いて階段を降りる。
『なかなかに凝った入り口だな』
お爺ちゃん猫は自分のひげを触りふぉふぉふぉと笑っている。
「自慢ではありませぬが、この里はかなり整備され、大きな施設も多いと思われませんでしたかな?」
確かにな。スイロウの里が一番発展しているってシロネさんから聞いていたのに、この里の方が発展している気がするもんなぁ。
「実は8年前に魔族の襲撃を受けましてな」
黙々と階段を降りていく。ミカンさんも静かに俺の後を付いてくる。
「その時にこの里は全て燃やし尽くされ侍の石碑も奪われそうになりまして……」
侍の石碑? クラスモノリスか。にしても魔族って何だ? 魔人族のことか?
「その時に命をかけて侍の石碑を守ったのが、私の息子夫婦と――ミカンの両親と姉でしてな」
うお、重いなぁ。いきなり重い話を聞いてしまったぞ。というか、そんなことを聞いても良かったのだろうか。
「それから侍の石碑を奪われぬように、このように厳重に隠している訳ですな」
な、なるほどなぁ。
「まぁ、それから8年、里もファー様のお陰で元の里よりも発展しましたしのう」
なるほど、だからスイロウの里よりも発展していたのか。更地からの方が追加で発展させるよりも計画的に発展させられるからね。
「さあ、着きましたぞ」
目の前にあるのは予想通り侍のクラスモノリス。
【クラスモノリス(侍):基本クラスの侍を取得出来る】
鑑定結果も間違いなし。
「さあ、それに触れるのです」
お爺ちゃん猫に言われるまでも無いんだぜー。俺はクラスモノリスに触る。
【基本クラスの侍を取得しますか? Y/N】
もちろんイエスで。
【侍を取得しました。クラス枠が一杯のためサブクラスに配置されます。詳しくはステータスプレートをご確認ください】
自動的にサブクラスに配置されちゃった。
―2―
ステータスプレート(銀)を確認しよう。
ステータスは増えていないな――括弧の中は弓士と同じですね。アレ? 侍のスキルも表示されない。サブクラスに入っているけど経験値も表示されてないな。
指で動かすと侍のクラスをメインに出来るみたいだ。よし、入れ替えてみよう。
入れ替えるとステータス補正とスキルが表示された。
クラス:侍
クラスEXP 0/8000
筋力補正:4 (3)
体力補正:2 (0)
敏捷補正:26(3)+8
器用補正:7 (1)
精神補正:2 (1)
クラス : 侍
侍技 LV0(0/100)
心眼 LV0(0/20)
陣 LV0(0/20)
刀マスタリィLV0(0/40)
お、武器マスタリィが初登場だな。ということは槍マスタリィや弓マスタリィもあるのかな。でも弓士には弓マスタリィが無かったよなぁ。
逆にサブクラスに入った弓士の方のステータス補正が無くなった。更に習得していたスキルも早弓LV1だけが表示されていた。もしかしてサブクラスって習得したスキルが半分になるのか……。うわ、凄い微妙。これ、もっと強くなってからじゃないと余り有効じゃないかも。
「ミカンや、ラン殿に説明を」
ミカンさんが頷く。
「侍は一撃の威力が高く、瞬発力の高さが売りの前衛職です。陣を張り味方を補助することも出来ます。得意な武器は刀、槍、弓です」
ふむふむ、基本は攻撃職だけど支援職としても動けるって事かな。
「侍技は刀と槍で使用が出来ます。一撃の威力を上げる《斬》、前方範囲を斬り裂く《一閃》などです」
あ、槍でも使えるのか。
「心眼は相手の動きがある程度読めるようになります」
ほほー、相手の行動を読んで機先を制するんですね、分かります。
「《陣》はラン殿も見たと思いますが、パーティに効果を及ぼす陣を張ります。《隼陣》はパーティ内の敏捷補正を高める陣を張ります。ただ、効果時間も短く、再度使用出来るまでの時間が長いです。《疾風陣》は回避補正を高め、周りの魔獣の攻撃を自身に集中させます。ただ攻撃力が激減します。魔法を使う方とは相性の良い陣です」
ふむふむ。
「どの場合でも陣を張っている時は使用者はスキルや魔法を使えません」
なるほどなるほど。
「上位クラスに将軍、派生クラスに遊び人があります」
うん? 遊び人って何だ? 何で侍の派生が遊び人になるんだ?
「将軍は侍を極めた者が得ることが出来るクラスで、侍よりも《陣》スキルに特化したクラスと聞きます」
ほうほう、バッファー系なのか。指揮能力とか付きそうだもんな。
「遊び人の取得方法は不明です。侍クラスを得た瞬間になることが出来る方も多いそうです。私は未だに遊び人を取得出来ていません。2刀流と言った二つの武器を持って戦うことが得意なクラスです」
遊び人なのに2刀流なのか。是非、欲しいクラスだけど条件が不明だとなぁ。侍クラスを入手した時になれる人も居るって事だけど――うん、俺のステータスプレート(銀)には無いな。くそぅ、ホント、何が条件なんだろうなぁ。
「説明は以上です」
ふむふむ解説してくれたのは有り難いなぁ。
よし分かった、とりあえず侍はサブクラスに戻そう。俺には陣と刀マスタリィは要らないかなぁ。侍技は槍でも使えるならちょっと欲しいかも。でもサブで使うにしても倍はスキルレベルを上げないと駄目なんだろう。ちょっとなぁ。まぁ、とりあえずは弓を頑張ろうか。
無事、侍のクラスも取得出来たので道場に戻ることにする。
長い階段を抜け、道場に戻ると道場が燃えていた。は、へ?
俺は火を見て怯えているミカンさんをお爺ちゃん猫に任せて外へ。里が、フウキョウの里が燃えていた。
辺り一面、火、火、火である。
なんだコレは。
名前:ラン(氷嵐の主)
所持金:211208円
ギルドランク:E
GP :20/6400
MSP :70
種族:ディアクロウラー 種族レベル:5
種族 EXP 284/5000
クラス:弓士 クラスレベル:2
クラスEXP 50/16000
サブクラス:侍 クラスレベル:1
HP: 100/100
SP: 810/810
MP: 66/ 66
筋力補正:4 (2)
体力補正:2 (2)
敏捷補正:26(4)+8
器用補正:7 (8)
精神補正:2 (0)
所持スキル : 中級鑑定(叡智のモノクル)
サイドアーム・ナラカ:-
魔法糸:-
念話:熟練度6872
毒耐性:熟練度3200
危険感知:-
クラススキル: 槍技:熟練度2920
スパイラルチャージ:熟練度1888
払い突き:熟練度792
弓技:熟練度992
チャージアロー:熟練度1248
集中1:熟練度128 遠視1:-
早弓2:-
クラス : 弓士
弓技 LV1(0/200)
集中 LV1(0/40)
遠視 LV1(0/40)
早弓 LV2(0/120)
サブスキル1: 浮遊3:熟練度1400
転移2:熟練度170
サブスキル : 飛翔ツリー
浮遊 LV3(0/40)
転移 LV2(0/240)
飛翔 LV0(0/300)浮遊LV4 転移1以上
超知覚LV0(0/100)飛翔LV1以上
所持属性: 水:熟練度612
風:熟練度424
所持魔法: アイスニードル:熟練度100
アイスボール:熟練度748
アクアポンド :熟練度102
ウォーターボール:熟練度54
ウォーターカッター:熟練度32
装備品: 風槍レッドアイ+2
コンポジットボウ
切断のナイフ
魔法の矢筒(32)
鉄の矢25本 爆裂の矢1本 火炎の矢2本
麻のベスト
夜のクローク
夢幻のスカーフ
所持品: ステータスプレート(銀)
叡智のモノクル
魔法のポーチS(魚醤)
魔法のウェストポーチXL(1)
ショルダーバッグ
皮の水袋
皮の背負い袋
4月28日追加
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