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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
11 深淵攻略
909/999

11-32 作戦説明、これだけ!?

―1―


 エレベーターは静かに下へと降りていく。エレベーターの中を見回せば、皆が静かに、その階への到着を待っていた。


 にしても、ホント、俺たちって異常な格好だよなぁ。鉄の棒を二本持ち、革ジャン、サングラスの安藤優、長い金属の棒を持ちタブレットをいじっている北条ゆらと、巫女服のコスプレ姿の巴に、作務衣の大男の大空坊円緋、獣耳にスーツ姿の雷月英、その容姿の良さを台無しにしているジャージ姿の来栖二夜子、そして、ゴテゴテした小手を着け、布に包まれた長物を持っている俺。こんなのが集まって町中を歩いていたら、距離を取るよなぁ。来栖二夜子なんて、ジャージ姿なのに、フロントでやりとりしているんだもん。場違い感が半端ないよな。


 エレベーターが止まる。


 降りた先は、ロビーと同じような大広間だった。ここもロビー?


 そこでは、上機嫌なリッチと疲れた顔の無形が待っていた。他に、人の姿は見えない。

「オー、ニャーコ、今日も、ビューティフルデース」

 美しい? ジャージ姿だよなぁ。


「話は聞いている」

 無形はロビーに用意されているソファに深く沈む。何だろう、本当に疲れているって感じだな。

 リッチはジャージ姿の来栖二夜子を座席に案内している。いや、だから、ジャージだよな?

「で、どうするんだい?」

 安藤優が用意された椅子を引き、裏返し、背もたれに腕を乗せて座る。それにあわせて皆が好きな場所に座る。

 俺は、とりあえず、そのまま地べたに座った。

「あなたは、本当に……自由ですね」

 巴が呆れたようにこちらを見ている。いや、だってさ、小手が絶妙に重いからさ、椅子に座るの、キツいんだって。俺自身、異形化し始めているからか、凄く力が増しているのにさ、それでも、この小手、重いんだよな。それにさ、このロビー、俺たち以外に誰も居ない、完全に貸し切りじゃん。


「最後の杭へは、リチャード・ホームズ、お前の案内だ」

「トウゼン、デース」

「突入メンバーは安藤優、水無月巴だ」

 それに、俺、か。

「俺は当然として、最後なのに全員参加じゃないんだな」

 なら、何で全員集まったんだって話だよな。

「突入は、ってことやね。他のメンバーはバックアップってことかな?」

 来栖二夜子の言葉に無形が頷く。

「状況は、どうでしょう?」

 巴の質問。

「杭周辺には、今のところフィアの姿は見えない。しかし、油断するな」

 無形の言葉に皆が頷く。居ないのか。そう言えば、瘴気の影響が薄いって言っていたもんなぁ。それなら、俺一人でも大丈夫なんじゃないか? まぁ、念のため、なのかな。


 って、ちょっと待てよ。

「真紅妃は、瘴気の塊を喰らって力を発揮するんだ。その、敵が居ないのは、それはそれで困る」

 俺の言葉を聞いた無形が、テーブルの上に八個の小さな袋を置く。

「これは?」

 何だ?

「瘴気の塊ってことですネ」

「一人一個だね」

 雷月英が獣耳をピクピクと動かし、ゆらとが納得したように頷く。


 八個、か。


 皆が立ち上がり、その小さな袋を受け取る。俺も立ち上がり、取ろうとしたところで無形に手を捕まれた。

「お前の分は、無い」

 へ? いや、さっきの俺の話を聞いていたか?


「先輩、現場で渡すからよ。それを使ってくれよ」

 安藤優が椅子に座り直し、ニヤリと笑う。


「現場マデ歩きデース。ウォーキング、ウォーキング」

 はぁ。

「作戦開始はトゥモロー、お昼デース」

 リッチが何故か指を振っている。

「おいおい、それはあんたの考えか? 昼開始なんて、時間的に遅いんじゃねえか?」

 安藤優の言葉にリッチは首を振る。

「朝は、メニーピーポー、人、多すぎデース」

 はぁ? 人が多いから、昼開始? いやいや、そんなことを言っている場合じゃないだろ。

「無形隊長、どうにかならねえのかよ」

 安藤優の言葉に無形は首を振る。

「作戦本部の決定だ」

 だから、作戦本部って何だよ。結局、こういった特殊な部隊でも、上司がいて、上の決定に従うしかないってのは、なぁ。個人じゃないことの不便さだよなぁ。

「杭周辺は封鎖されている」

 だから、それで、何とかしろってことか? むむむ。まぁ、異形の姿が見えないからこそ、昼開始なのかもなぁ。油断しているようにしか思えないけどさ。


「ところでさ、俺が言っていた、杭の件、調べてくれたのか?」

 俺は無形に聞いてみる。しかし、無形は肩を竦めるだけだった。

「以上だ。明日に備えて休め」

 以上かよ。簡単過ぎないか?


 皆が席を立ち、ロビーから用意された個室へと移動しようとする。

「お前と北条ゆらとは残れ」

 しかし、何故か、俺とゆらとだけが引き留められる。他の皆は少しだけ、おや? って顔をしていたが、すぐに個室へと消えていった。


 リッチ、無形、ゆらと、そして俺だけがロビーに残った。


「で、何の話だ?」

 俺は残ったリッチと無形に聞いてみる。しかし、無形は肩を竦め、何も答えない。そのまま軍帽を深くかぶり直し、立ち上がる。


「こっちだ」

 無形がエレベーターの方へと歩いて行く。何処に行くんだ?


 俺とゆらとは顔を見合わせ、その後を着いていく。


 俺とゆらと、無形、リッチでエレベーターに乗り込む。何処に行くんだ?


 無形がエレベーターの階数ボタンを押す。何だ、何だ? 何処の階に行く予定だ?


 無形は階数ボタンの一つを押さえながら、何か適当にいろいろな階の番号を押しているようだ。そして、階数ボタンの表示が消えた。


 エレベーターが動き出す。いや、ホント、何処に行こうとしているんだ?

2017年10月16日サブタイトル修正

作戦説明、これだけ? → 作戦説明、これだけ!?

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