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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
11 深淵攻略
904/999

11-27 これらのこと、作戦開始

―1―


「次の杭破壊は来栖二夜子、雷月英、安藤優、お前の4人だ」

 完全に休んでいたメンバーと入れ替えか。

「オー、セッシャもバトルしマース」

 リッチが立候補する。あー、来栖二夜子と一緒に居たい的な感じか? で、バトルって何だよ、バトルってッ! 意味が分からない。

「駄目だ」

「オー、何故デスカー!」

 リッチは大げさに、困ったように頭を抱えていた。

「リチャード・ホームズ、お前には単独で第四の杭を調べてもらう」

 単独なのか。

「オー、バッド……」

「お前の能力なら、可能なはずだ」

 へー、無形はリッチのことを高く買っているんだな。

「さすがやねー」

「マカセテクダサーイ、ノープロブレムデース。諜報活動得意デース」

 来栖二夜子が言った瞬間にこれか。調子がいいなぁ。でもさ、そんな片言で得意って言われてもなぁ。


「三本目の杭の破壊の作戦はねぇ、三日後を予定しているらしいわぁ。次の杭は、このアマテラスで近くまで行くわよ!」

 妖しいおっさんの言葉に皆が頷く。

「リチャード・ホームズには明日から動いてもらう。そのための足は用意した」

 続く無形の言葉にリッチも静かに頷く。


 しかし、だ。思うのだ。

「三日後、そんなにのんびりしててもいいのか?」

 俺の言葉に無形は静かに首を横に振る。

「そうやねー。駄目だと思うんよ。この間にも、瘴気による感染被害は増えていると思うんよね」

 だったら、なおさらじゃないか!

「立場上、作戦に関われない私が言うのもおかしいけどぉ、休養って重要だからじゃないかしら?」

「そうさのう、それがしが思うに、元気なように見えても、戦いとは心を蝕むものよ」

 円緋のおっさんが格好つけて、それらしいことを言っていた。

「先輩、焦る気持ち、分かるぜ。でもよ、俺も円緋のおっさんに賛成だぜ」

 まぁ、俺一人で駆けていって、ばあーっと解決って訳にはいかないからさ。従うけどさ。でもなぁ。


「本日は以上だ」

 無形が解散を告げる。

「いや、ちょっと待ってくれ」

 作戦というか、これからの行動予定は分かった。


 でもさ、俺には確認しないと駄目なことがあるからな。

「何だ?」

 無形が軍帽の下の冷たいまなざしをこちらに向ける。

「皆にも聞きたい」

 俺は立ち上がり、集まった皆を見回す。

「杭を破壊したとき、貯められていた力が解放されたように感じた。杭は、隕石に竜脈のエネルギーを送ってバリアを作っているんじゃあなかったのか?」

 俺の言葉に対する皆の反応は様々だ。よく分かっていないもの、驚いたもの、考え込んでいるもの、無表情なもの……。

「それが?」

 無形の表情は変わらない。それが、ってさぁ。

「……何もないなら解散だ」

 解散って、いやいや、おかしいと思わないのかよ。

「いや、待てよ。エネルギーを送っているはずのものが、送られておらず、たまっていたんだぞ。おかしいだろ?」

「たまたま、送られていなかったときだった可能性、一度貯めきってから送信している可能性、どうだ?」

 無形の言葉は冷たい。むむむ。

「俺は何か思い違いをしている気がする。不味い気がするんだよ!」

「その根拠は?」

 根拠? 根拠ってなぁ。

「勘だよ」

 そうかもしれないって疑問に思っただけだからな。

「話にならん」

 無形は話を打ち切り、部屋を出て行く。取り付く島もない。


「まぁまぁ、先輩の不安も分かるぜ。でもよ、俺たちは、杭を壊すしかとれる手段がないんだ。やることをやろうぜ」

 安藤優はサングラスを下ろし、俺に笑いかける。でもなぁ。


「ちなみに、杭を壊したらバリアが消えるって誰が言い出したんだ?」

 これも重要だよな。

「作戦本部ですよ」

 ゆらとが呆れたような顔でこちらを見ている。確かに、巴もそう言っていたよな。

「調べたのは、うちと月英ちゃんに巴ちゃんやねー」

 来栖二夜子はのほほんと笑っている。調べたのは、その三人か。巴は、このことを初めて言ったときの反応から信用出来るだろうし、うーむ。調べた結果が、そうなんだよな?


 俺の思い過ごしか?


 確かに安藤優が言うように、これしか取れる手段がないってのも本当なんだよな。


 隕石が――今回の瘴気って呼ばれる感染の発生源。それを壊そうと思ってもバリアがあって無理。そのバリアは四つの杭から竜脈のエネルギーを吸い取って作られている。そして、事件の首謀者と思われるのがフミチョーフ・コンスタンタンって人物、か。


 うーむ、うーむ。


「ダイジョーブデース。セッシャ、それも調べてくるデース」

 リッチはそんなことを言っていた。まぁ、俺が考えても分かるわけでもないし、頼るか。

「ああ、頼む」

「お任せデース」

 リッチがわざとらしく髪を掻き上げていた。イケメンだから、そういうのは様になるけどさ、片言なのが台無しだよなぁ。


 まぁ、任せたぜ。


 そして、次の日、リッチだけではなく、無形の姿もなくなっていた。

「無形隊長も一緒したみたいやね」

 来栖二夜子が教えてくれる。えーっと、あいつ、結局、自分で調べに行ったのかよ!


 俺の意見で不安になったのか? ツンデレか? 素直に、俺の方でも調べておくとか言ってくれればいいのにさ。


 ホント、一言足りないヤツだよ!

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