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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
11 深淵攻略
889/999

11-12 作戦を説明する、だよな

―1―


 朝の食事が終わり、作戦会議が始まる。


 あまり広くない部屋に集まったのは、

 旧式の軍服の男――無形、

 サングラスの男――安藤優、

 槍を持っていた少年――北条ゆらと、

 巫女服の少女――水無月巴、

 作務衣の大男――大空坊円緋、

 そして、初めて顔を見る緑の迷彩服を着込んだ男女の計7人、いや、俺を入れると8人か――だった。


「えーっと、このお二人は?」

 俺が疑問に思ったことを口にすると、向こうから頭を下げ、挨拶をしてきた。

「今回の任務で現場までの運転を任されています。任務の特殊性の為、名乗ることは出来ませんが、よろしくお願いします」

 あ、はい。

「運転ですか、よろしくお願いします。しかし、何故、お二人?」

 車の運転なら一人で大丈夫だよな? 何か二人必要な特殊車両なのか?


「はい、どちらかに何かあったときの為に――すぐに行動できるように、です」

 えーっと、片方の人は予備ってこと? いやいや、何かあったら、なんて、何も起こらないで欲しいぜ。


「疑問は解けたか? 作戦を伝える」

「いや、もう一個だけいいか?」

 俺の言葉に、巫女服の少女は苛立たしげにため息を吐いていた。空気が読めなくて悪いね。

「構わない」

 旧式の軍服の男は、逆に楽しそうにこちらを見ていた。

「あの、あた、ハ――いや、えーっと、オカ……いや、なんだ、なんて言えばいいかな。議員の人は作戦会議に参加しないのか?」

 俺の言葉に旧式の軍服の男は頷く。それが質問の答えだと言わんばかりに、作戦の説明を開始しだした。いや、よく分からなかったんだが……。


 俺が困っていると、迷彩服の女性が俺の隣に座り、小さく、耳元で教えてくれた。

「あの方は、表の顔です。表と私たちをつなぐ、その特異な立場の為、作戦の指揮権、命令権を持ちません」

 へー、だから、作戦会議に顔を出していないのか。つまり、この特殊部隊が、あの妖しいおっさんの私物化しない為に、か。


「今回の作戦の目標を伝える」

 俺が、そんなことを考えている間にもブリーフィングは続く。


「彼が持っている槍――真紅妃の護衛」

 いやいや、真紅妃が主役みたいじゃないか。そりゃまぁ、真紅妃が居なければ、駄目なんだろうけどさ。

「その真紅妃による杭の破壊。難しい場合は即時撤退だ」

 俺の責任、重大だな。

「そして――」

 そこで旧式の軍服の男は一呼吸止める。

「瓜生の救出だ」

 旧式の軍服の男の言葉に、周囲から驚きの声が上がる。瓜生って、確か、獣耳の女性ともう一人を逃がす為に囮になった人だよな?


「た、隊長、しかしよー、瓜生は、もう……」

 サングラスの男の言葉を旧式の軍服の男は、首を横に振って否定する。

「瓜生がそう簡単にやられるものか。しかし、作戦の優先順位を取り違えるな。最優先目標は杭の破壊だ」

 その旧式の軍服の男の言葉に皆が静かに頷く。俺も真似して、とりあえず頷いておく。


「今回の作戦は、俺と安藤優、北条ゆらとで行う」

 えーっと、俺は? って、俺は強制参加ですよねー。

「無形隊長! 私は!」

 巫女服の少女が慌てたように立ち上がる。

「待機だ」

「しかし!」

 旧式の軍服に飛びかかりそうな勢いの巫女服の少女を作務衣の大男が肩に手を置き、止める。

「この基地の防衛の任務、それがしたちが承った」

 作務衣の大男の言葉を聞き、意味が分かったのか、巫女服の少女がはっと息をのむ。


「ここは杭に近い基地だからよー。負傷者、二夜子、月英の姐御の二人も療養中だしなー。巴嬢ちゃん、頼むぜ」

 サングラスの安藤優も巫女服の少女の肩に手を置く。しかし、巫女服の少女は、すぐにそれを振り払っていた。

「もちろんです!」

「おー、こわっ」

 サングラスの安藤優は肩を竦めている。


「現地到着、作戦開始は一二(ひとふた)時とする」

 そこで、旧式の軍服の男は何故か、こちらを見た。

「水無月巴、何故、この時間か分かるか?」

「日中が一番フィアの力を弱めるからです。逆に夜間では力を増す為、危険が増すことが予想されます」

「その通りだ」

 いやいや、学校の授業をやっているんじゃないからさ――って、もしかして、俺に分かるように説明してくれたのか?


「素人がいるから仕方ないね」

 北条ゆらと少年が肩を竦めている。素人ですいません。


「北条ゆらと、アルファは?」

 肩を竦めていた少年が慌てたように旧式の軍服の男へ向き直る。そして、タブレットパソコンのような物を取り出していた。


「作戦の内容、敵数、敵の予想配置、進行ルート、全てアルファに学習させています。二夜子さんの情報、無駄にはしません!」


『=D』


 タブレットには顔文字が表示されていた。


「こちらの生死を分ける。頼むぞ」

 旧式の軍服の男の言葉に北条ゆらと少年が力強く頷く。そして、旧式の軍服の男がこちらへと向き直った。


「俺たちが護る。杭までの道を切り開く。後は頼む」

 旧式の軍服の男が鋭い眼光でこちらを見る。ああ、分かってるさ。俺にしか出来ない、何で俺がって思うけどさ、それでも、俺がやらないと、この国がやばいんだろ?


 やってやるさ!

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