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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
11 深淵攻略
879/999

11-2  出会うべくして出会って

―1―


「そのタンタンが何をやったんだ?」

 白い制服の男は俺の質問を無視して狭い通路を歩いて行く。


「こっちだ」

 会話タイムは終わりってことかよ。


 しばらく歩き続け、そして一つの部屋へと案内される。


 少し広めの部屋にはホワイトボードやパイプ椅子が無造作に置かれており、ブリーフィングルームと呼ぶのがぴったりきそうな作りだった。作戦会議室か?


 そして、その部屋には5人の男女がいた。


「君はすでに知っているだろうが、第七魔導分隊の面々だ」

 白い制服の男が大げさに手を広げて紹介する。こいつら、はッ!


「無形い……ああ、いや、無形から自己紹介を頼む」

 何を言い淀んだんだ?


 旧式の軍服を着込んだ男が一歩、前に出る。

「この隊の隊長を務めている無形だ」

 それだけ言うと、言うべきことはすべて終わったとばかりに、そいつは後ろに引っ込んだ。


「隊長は人見知りの照れ屋だからなー。俺は安藤優、よろしく頼むぜ」

 革ジャンにサングラスのうさんくさい男が、サングラスを少しだけずらし、ニヤリと笑った。


「私は水無月巴です」

 巫女服を着た、ちょっときつめの少女は氷でもまとっているかのようだ。


「僕は北条ゆらと」

 そう自己紹介した少年はふてくされたかのように横を向いている。


「それがしは大空坊円緋よ」

 作務衣を着た、とてもがたいのよいおっさんがガハハハハと笑っている。作務衣が筋肉で弾けそうだ。俺、それがしとか現実で言う人に初めて会ったよ。にしても坊さんぽい名前なのに作務衣なのか、作務衣かー。まぁ、でも巫女服を着ていてもコスプレにしか見えないから、こっちの方が親近感はわくか。


「彼の隊には、後3人ほど居るんだが、今は、所用で出てもらっている」

 全部で8人? 軍隊ぽい感じの割にはメンバーが無茶苦茶だな。まるで愚連隊だ。


「会わせたいってのは、こいつらのことか?」

 殺されかけているからね。俺の言葉もきつくなっちゃうよ。


「そうだ!」

 そうだと来ましたか。


「君には彼らと協力してほしい」

 協力って何を協力するんだよ。こいつら、俺を殺そうとした連中だよな? ほら、そこの巫女服と槍を持っていたガキ、嫌そうな顔しているじゃん。俺も嫌だよ。


「言っていることの意味が分からないのだが?」

 わからんよなぁ。


 すると、白い制服の男は、俺が予想していた反応と違い、うんうんと頷き始めた。

「そうだろう、そうだろう。順を追って説明しよう。アルファ、モニターを頼む」

 アルファ? 誰だ? この部屋に――まだ他に誰か居たのか?


 突然、部屋の明かりが落ちた。って、明かり? 明るかったよな? ここって電気が来ているのか?


 そして、部屋の中央に映像が映し出される。おー、立体映像? いや、ぽい何かだな。


 5枚の映像。空間に浮いているようだけど、一枚絵だな。浮かせて映像を出している分、無駄な技術だよなぁ。

「これは?」

 一枚は海? 湾か。それに何かの建築物が映っているようだな。ちょっとボケ気味でよく分からないな。

 後の四枚はどれも同じだな。地面に杭が刺さっている映像か。場所は微妙に違う感じだな。


「さて、どこから話したものか……」

 白い制服の男が腕を組み、そんなことを言っていた。話すことを決めてなかったのかよ! ここまで案内して、それはないんじゃないか。


「アルファ、一枚目を拡大してくれ」

 白い制服の男の言葉を受けてか、何かの建築物が映っている映像が拡大される。


「それは?」

「運命の日――自分たちは運命の日と呼んでいるが、隕石が降ってきたと騒ぎになった日を覚えているかな?」

 運命ねぇ。隕石のニュースなら知っているよ。って、そういえば、そのときのニュースに巫女さんが写っていたような……。それって、ここにいる水無月って少女とそっくりだったような……。

「その隕石は湾に落ち、そして、そこからショーキを発生し始めたのだ」

「本郷様、瘴気です」

 その水無月が突っ込みを入れていた。

「そうだ、そのショー、ショウキか。それが、瞬く間に周辺地域へと広まった」

 隕石から毒が出たってことか?

「ちょっと待て、ちょっと待ってくれ。普通に隕石が落ちたと言っているが、どうにかすることは出来なかったのか? こうミサイルで撃ち落とすとか」

 俺の言葉に北条ゆらと少年が「ミサイルって……」とくすり笑っていた。ミサイルの何が悪い。そういうのってミサイルで落とすんじゃないのかよ!


「隕石は突然現れたのだよ――話を戻そう」

 突然、現れた?

「そのショウキを浴びた、吸った人間は狂ってしまうようだ」

 狂う? あれを狂うと簡単に言ってしまってもいいのか? 鬼に変わるのも狂うのうちなのか?


「それが原因だって言うのか?」

 そんなことで、あんな、あんな絶望的な状況が起きたってのか? それだけじゃあ、いろいろと解決出来ないことが多すぎないか?


「その隕石に突如、人工的な建築物が現れた。そこで自分たちは、今回の事件が人為的な出来事だと気づくことが出来た。隕石に気づかなかったのも、レーダーが感知しなかったのも、全て人為的な工作故だったのだよ」

 人がやった? 誰かが何かの目的を持って?


 まさか、それが、途中の話に出てきたタンタンとかってヤツの仕業ってことかッ!

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