10-61 スターマインとも戦う
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星の瞬きが消え、その中からスターマインが現れる。
スターマインが腕にもう片方の手を置き、肩で息をしていた。どうやら、かなりお疲れのようだ。にしても、こいつの魔法の所為で周囲の星獣が消し飛んだぞ。完全に自爆魔法じゃないかッ!
「な、何をした、何をしたんだよ!」
別に。魔法の情報を読み取って発動場所と対象を逆転させただけだよ。それに情報を調べさせて貰ったから、多分、俺も同じ魔法が使えるようになっているだろうな。俺のコトを知りもせずに、安易に魔法を使ったのが悪かったな。
「この地上では僕たちが最強なんだぞ。セラ様に最強の存在として創って貰ったのに、それをお前ごときがっ!」
SPの層が厚いからか、スターマインはすぐさま元気になり、こちらへと喚き散らしていた。
「しかし、どうやら頭までは最強に『作って』貰えなかったようだな」
このスターマインもさ、あのルナティックもさ、ホント、小者だよな。
「お前、お前ごときがっ!」
星の冠をかぶった少年の姿をしたスターマインが震える。どうした? 震えるほど燃えているのか? ヒートしているのかい?
と、そうだ。せっかくだから、さっきの魔法が使えるか試してみよう。
――[ネビュラストリーム]――
周囲が暗闇に閉ざされ、星々が輝く。そして、スターマインを中心に星の渦が生まれ、取り囲んでいく。おー、出来た、出来た。あっさりだな。
うん? こ、これ、MPが千くらいは減ってるぞ。MPが凄い勢いで回復しているけど、それが追いついていない。何だ、この魔法。こんな魔法をこいつは使っていたのかよ。そう考えると、確かに、こいつは地上最強かもな。いやまぁ、俺がいるから、お前は2番目だなッ!
星の瞬きが消えた後には、今にも倒れ込みそうなスターマインが居た。
「何故、お前が、この魔法を!」
何だろう、凄い必死だな。でもさ、てっきり星属性だから、星属性を持っているであろうスターマインには効果が無かった的な感じになるかと思ったら、ちゃんと通るんだな。うーむ、それだけ星属性が優秀なのか、それともスターマインが星属性に耐性を持っていないのか、どっちなんだろうな。
「なあ、何で星属性の魔法で、そこまで傷付いているんだ?」
俺が気さくに話しかけると、スターマインはさらにわなわなと震え始めた。
「星属性は貫通の属性、そう易々と防げて……はっ! いかんいかん、僕とした事が君のペースに乗るところだったね」
へー、そうなのかー。後、一発くらいぶち当てたら倒せそうだなぁ。
「つまり、このように、ね!」
不意打ちのつもりか、スターマインから光る星の力を集めた槍が放たれる。俺はすぐさま魔法の情報を読み取る。スターバーストの魔法かな。星属性版のランスって位置づけの魔法かなぁ。で、星属性だから、貫通持ちっと。こりゃ、危険だわ。
――[エルスターウォータミラー]――
飛んできた星の槍の前に水の鏡が生まれる。そして、そのまま弾き飛ばした。おー、さすがに貫通属性持ちを相手に直接反射は無理か。でも、ちゃんと跳ね返ったな。
「へ?」
スターマインは驚き、こちらを見ている。えーっと、スターバーストの魔法か。こうかな?
――[エルスターバースト]――
スターマインが作った光る星の槍よりも巨大な星の槍を作り上げる。そして、それをそのままスターマインへと投げ放つ。
驚いた顔のスターマインは一瞬で真顔に戻り、地中から黒い液体を呼び出し、それを盾とする。
鋭い星の槍が黒い液体を削り吹き飛ばしながらスターマインへと襲いかかる。スターマインが必死に黒い液体を操り、耐え、そのままなんとか上方へと打ち上げる。そして、黒い液体の隙間から顔を覗かせたスターマインが、こちらへと勝ち誇った笑顔を向ける。はぁ、そうですか。
――[エルスターバースト]――
そのまま次の星の槍を飛ばす。
「ば、そ、そんなぁ」
スターマインが驚いたようにこちらを見る。しかし、何かを思い出したのか、すぐに嫌な笑顔を作る。何だ、まだ余裕があるのか。
――[エルスターバースト]――
もう1本、星の槍を作り、そのまま放つ。この星の槍もMPがすっごい減るな。最大MPの数値がよく分からなくなっているが、次の槍はもう少し待たないと放てそうに無い。が、これで充分じゃね?
スターマインは両手を広げる。伸ばした両手の先に黒い空間が広がり、その中へと手を伸ばす。そして、何かを引っ張り出し、それを盾とする。
それは、2匹の白い虎だった。こいつら、この舞台の入り口にいた2匹の星獣だよな? 確かに舞台の上の星獣は魔法やらなんやらで殆どが死に絶えているだろうけどさ、だからって残っているこいつらを盾にするのか? こいつ、本当に最低な奴だな。
星の槍は白い虎に受け止められ、消滅した。星の槍を喰らった白い虎は……絶命しているな。恐ろしい威力だ。にしても、受けきれないと思うや、すぐに仲間を使い捨ての盾にするとか、こいつはッ!
こいつは何かをされる前に、完全にぶっ潰した方が良さそうだ。MPの回復を待って、連続で魔法をぶち込んでやろう。もう防ぐ手段はないだろうからな。