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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
2  世界樹攻略
87/999

2-78 黙祷

―1―


 よし、気持ちを切り替えて進もう。


 鍾乳洞を進むと前方にミーティアラットと書かれた線が見えた。ついに来たか。名前付き(ネームドモンスター)ではない、普通のミーティアラット。先程のディアトリマクロウは、こいつから逃げていたのか? まぁ、良い。俺は倒すだけだ。ラットキングは魔法に弱かったな。こいつも同じかな。しかし、まずは、っと。


――《集中》――


 コンポジットボウに鉄の矢を番える。遠視の効果か薄暗い洞窟内でも遠くのミーティアラットの姿がしっかりと見えた。角が無く、角の代わりに角が潰れた塊のようなモノが付いた片方が異様に大きく丸い耳を持ったネズミ。サイズは人と同じくらいか……さすがにラットキングほど大きくは無いな。よし、この距離だと魔法は射程外だからな、まずは弓で試してみる!

 コンポジットボウから鉄の矢が放たれる。鉄の矢は狙い違わず、こちらへ走ってきていたミーティアラットの脳天に当たり、そのまま跳ね返された。むぅ、やはり効果は薄いか。となると……。


――[ウォーターカッター]――


 俺の手から圧縮された水のレーザーが放出され、そのままミーティアラットを貫通した。俺は水のレーザーの方向を上に。放出されたままの水のレーザーはそのままミーティアラットの上半分を真っ二つにする。体を半分にされて生きている生物はいないよなぁ。うん、恐ろしい威力だ。これ、水が効果的な魔獣なら必殺の一撃になるよなぁ。


 上半身真っ二つのミーティアラットの体から魔石を取り出す。魔石が無事で良かったっと。後は体内にある隕鉄も取り出さないと駄目なんだったよな。ぐちゃぐちゃと体内を探っていると肺胞のような器官が見つかった。うぅ、気持ち悪い。その器官を切断のナイフで切り開いてみると中に凝固した鉄のような塊があった。これが隕鉄か。隕鉄って名前なのに隕石じゃないのな。

 ま、何にせよ、これで1個目をゲットだな。俺は隕鉄を背中の皮の背負い袋に入れる。これが後9個もいるんだよなぁ。




―2―


 ミーティアラットを探し、更に奥へと進む。


 しばらくすると大きな地底湖が現れた。そして地底湖を囲むようにいくつかのミーティアラットとディアトリマクロウの死骸があった。そして地底湖を臨むように壁により掛かった猫人族が居た。いや、猫人族の死体があった。


 え? あ? 死んでる?


 俺はすぐに駆け寄り、死体を確かめる。和装に胸当てのような皮鎧を着けた猫人族の青年かな……見た感じ非常に若い猫に見える。胸元には銅色のステータスプレートが光っていた。死体の手元には折れた刀が落ちている。

 死んでから間もないようで魔獣に喰い漁られてはいないようだ。死因が分からないな――外傷が多く、それが原因のようにも見える。先程のミーティアラットやディアトリマクロウの集団に、この地底湖まで追い詰められ、奮闘するも刀が折れ、そのまま力尽きたって感じか。

 俺がトレント退治なんてせずに、この小迷宮を優先して、昨日のうちに来ていればこの子は助けられたのかな。


 この子は、何で、力も足りないのに、一人で、来たんだ。


 ……。


 …………。


 俺は魔法のウェストポーチXL(0)からトレントの木片を取り出し、全て地底湖に流した。近くにあった魔獣の死骸も地底湖に流す。よし、周辺は綺麗になったな。

 俺は猫人族の若者の死骸を魔法のウェストポーチXL(1)に入れる。入らないかなっとも思ったが、生きていないモノは普通に入るようだ。装備していたモノも一緒に入ったので、それで一個扱いなんだろうな。人を一個って扱うのは心苦しいけどな。


 こちらの道はこの地底湖で終わりか。現状、この先に進む方法は無いし、戻るか。ま、トレントくらいなら、すぐに狩れるしな。後、後。

 猫人族の青年よ、ちょっと待ってくれよ。さすがに隕鉄の10個だけは譲れないんだ。




―3―


 駆け足で分岐路まで戻り、もう一つの道へ。


 そのまま駆け出す。薄暗く前が見えにくいことなんて些細なことだ。俺は視界が悪いことを無視して駆けて、駆け抜ける。


 駆けているとすぐに視界にミーティアラットの線が見えた。


――[ウォーターカッター]――


 駆けながら、水のレーザーを放出しすれ違いながら切断する。すぐさま魔石の回収や隕鉄の回収をする。時間を惜しむように乱暴に取り出す。駆ける、放つ、駆ける。ミーティアラットはウォーターカッターで切断し、ディアトリマクロウは赤槍で貫き駆けていく。ブルーバットは無視して進む。俺の敏捷補正なら無視することも余裕だ。


 奥へ、奥へ。更に分岐路が。えーい、勘だ。左へ一歩踏み出すとぞわりとした感覚が俺を襲った。よし、こっちが正解だな。


 そのまま左へ駆け出す。


 道を塞ぐかのようなミーティアラットを切断し進んでいくとちょっとした天井の高い広間に出た。広間の中央には木で出た箱が置いてあった。結構、天井までの高さがあるな。いつの間にか結構深くまで潜っていたってことか。

 そして天井に見える魔獣の線。なるほどな。魔獣の線を鑑定してみるか。


【種族:アクアスライム】


 やはり名前は表示されないか。にしてもスライムかよ……。セフィロスライムは洒落にならない魔獣だったよなぁ。俺はサイドアーム・ナラカが使えたから良かったけど、アレ、普通にやって倒せるとは思えないぞ。


 俺はコンポジットボウに火の矢を番える。


――《チャージアロー》――


 火の矢に紫の光が集まる。


――《集中》――


 天井に張り付いているアクアスライムのコア目掛けて火の矢を放つ。


 火の矢はアクアスライムに当たり、溶かされながらもコアへと進んでいく。しかしコアに触れたか触れないかくらいで全て溶かされてしまった。しかし、俺の攻撃に刺激を受けたからかアクアスライムが天井からぽとりと落ちてくる。

 俺は降ってきたアクアスライムにサイドアーム・ナラカを伸ばしスライムの体内へ、そのままコアを握り、引きずり出す。コアの取り出されたアクアスライムだったモノが木の箱の上に落ちる。そして、そのまま溶け出した。

 対処法が分かっていれば楽勝なんだよッ! それに落下するだけで攻撃してくる気配も無く無防備だったからな。


 さあ、箱の中は、っと。


 箱の中には装飾の施された銀色の小ぶりな盾が入っていた。まずは鑑定だな。


【祝福された銀の小盾】

【女神セラの祝福を受けた銀製の小盾。高い魔法耐性を持つ】


 ……これ、かなり良い物じゃないのか? というか、気になるのが女神って単語とセラって名前だよなぁ。女神とかが居る世界なのか? にしては今まで宗教的なモノにはまったく触れる機会が無かったし……うーん。しかし、盾か、盾かぁ。


――《魔法糸》――


 俺は魔法糸で小盾を胸元に結びつけ、その上から夜のクロークを着込む。魔法耐性が高いみたいだし、魔法を受けそうになった時に胸元で受けて回避するのだ! 胸元に盾を付けるなら、本当は魔法反射の盾が欲しいよね。

 さあ、分岐路に戻ろう。


 まだ隕鉄は足りない。ぱぱっと集めて、はい終了って感じで終わらせないとな。

2021年5月9日修正

俺は振ってきた → 俺は降ってきた

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― 新着の感想 ―
[一言] 馬さんのあれだよね? シャハルの盾だっけ?
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