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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
10 三神殿攻略
860/999

10-51 アンダースフィアとは

―1―


 俺がよく水を作っていた、懐かしの地下室を目指し階を降りていく。と、その途中で分身体1号が足を止めた。


 俺にも何かが抜け落ちたような感覚が走る。まさか? この感覚は……分身体かッ!


 分身体2号がやられたようだな。しかし、2号は分身体でもさ……って言っている場合か。やられちゃった、やられちゃったのか!?

 俺がキョウのおっちゃんたちと別れてから、どれくらい経った? 《永続飛翔》スキルで駆け抜けたし、そこまでの時間は経っていないよな? 最強の盾を持たせて守りに特化したはずなのにやられたのか!? やはり、何をしているか分からないオートモードだと無理があったか?


 どうする、どうする?


 ……。


 いや、何だろう。


 こう、普通に新しい分身体を呼び出せそうな気がする。普段は――今までは翌日にならないと使えなかったんだけどさ、今は、何とかなりそうな気がする。


 そう、やられたなら、もう一度呼び出せば良いか、そんな風に思える。


 よし、やってみるかッ!


――《二重分身》――


 《二重分身》スキルが発動し、盾を持った分身体2号が現れる。よし、出来た、出来たよッ! しかも、女神に消滅させられたときと違って、ちゃんと装備品を持ったまま現れたな。良かった、良かった。


 と言うわけで、もう一度行ってくるのだッ!


――《永続飛翔》――


 オートモード化している盾を持った分身体2号が《永続飛翔》スキルを使い飛び立っていく。いやいや、あのさ、建物の中で《永続飛翔》スキルは止めてくれ。俺とか、建物とか、俺とか、俺とかが大変な事になるからッ! 初めて自分自身で《永続飛翔》スキルの衝撃波を喰らってみたけど、意外と威力があるな。これ、もしかして、攻撃にも使えたんじゃないか? それとも《永続飛翔》にパワーアップしたからか? うーむ。




―2―


 分身体1号とともに地下室へと降りる。懐かしいな。ここで、よく水を作っていたんだよな。一番使えないと思っていた魔法がさ、一番実用性があったんだもんなぁ。しかも、それがノアルジ商会の、グレイシア国の発展の礎になったんだから、ホント、分からないものである。


 と、感慨にふけっている場合か。扉に向かわないとな。


 地下室の一角には、昔見たそのままの姿で豪華な装飾の施された扉が取り付けられていた。いや、昔とは少しだけ違うな。扉の一部にカードを通す部分が作られている。


 これ、か。


 分身体1号を使い、カードを通す。すると罠は音も無く外れた。えーっと、こう、認識しました的なピーとか、チャチャっみたいな音が鳴ってくれないと本当に罠が外れたのか不安になるな。

 探求士のスキルで確認する限り、大丈夫そうだけどさ。


 まぁ、進むか。


 扉を開け、地下へ降りる階段を進む。さあ、ここからが本番だな。フエは兵が来るって言っていたし、急がないと追いつかれるかもしれないな。


 長い長い階段を飛び降りるように降りていくと周囲の壁が透明に変わり、外の景色が見え始める。無数の建物に巨大な3つの神殿、あの神殿の1つが星の神殿なのだろう。目指すはあそこ、か。

 建物があるというのは分かるが、よく見えないな。まぁ、それも門を抜ければ分かる話か。


 階段を降り、見えてきた巨大な門は開かれていた。あー、すでに開いているんだ。全ての八大迷宮をクリアした者が立つと開くとか、そういう感じじゃないんだな。何だろう、ちょっとそういう仕掛けを期待していただけに、すでに開いているのは少しがっかりだな。


 開かれた門の前には台座が置かれている。描かれているのは――月と星と太陽か。今なら分かるけど、間違いなく月と星と太陽なんだろうな。隠れ属性というか、上位属性というか。属性は8個しかないって伝わっていた割には、さ、実際には結構、色々な属性があったよなぁ。


 うん。


 で、だ。


 ここが三神殿の入り口。


 ついに、この先へ進むことが出来るワケ、か。




―3―


 門を抜けると空気が変わった。


 何だ、これ。


 凄く、重い。


 何だろう、海の中を歩いているというか、魔素が濃すぎて、キツい。今の俺でも、これって、他のチームは大丈夫なんだろうか。

 いやいや、俺はみんなを信じるだけだ。


 とにかく、あの上から見えた神殿を目指し進もう。


――《永続飛翔》――


 《永続飛翔》スキルを使い分身体とともに星の神殿を目指し地下世界(アンダースフィア)を飛ぶ。そして、すぐに気付いた。


 何だ、これは?


 空間が歪み、黒い渦が、竜巻がところどころに巻き起こっている。確かにそれは異常な光景だ。


 しかし、そう、俺が驚いたのは、それじゃない。


 何だ、これは?


 建物。


 金属で作られた正方形の建物、長く伸びた建物、三角屋根の建物。そして、その三角屋根の建物の横には前と後ろ四ヶ所に半円の穴が開いた凸型の錆びた金属の箱が置かれている。橋のように伸びた通路。その上に切り分けられた金属の箱が並んでいる。


 俺は知っている。


 俺には分かる。


 これはビルだ。


 あれは家だろ?


 横に置かれているのはタイヤが無くなっている車だろ?


 アレは鉄道に汽車? 電車? いや、配置的にモノレールか?


 こ、ここは何処だ?


 何だ、この世界は?


 何で、こんなものが……?


 と、その時だった。


 黒い渦から黒い液体状のモノが飛びだし、その形を変えていく。黒い液体は蛇のような竜の姿へと変え、俺と分身体に襲いかかってきた!

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