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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
10 三神殿攻略
857/999

10-48 これで準備は整ったな

―1―


「ラン! 行ってくる」

 ジョアンたちが大きくなった羽猫の背に乗る。

「にゃあああ!」

 羽猫が大きな鳴き声を上げ、空へと舞い上がる。


 ま、ジョアンたちなら大丈夫だろう。


「では、マスター行って参るのです」

 14型が優雅なお辞儀をする。行って参るとかよく分からないけど、はいはい、任せたよ。

「俺様が確実に送り届けるぜ」

 ファット船長頼んだぜ。


 14型たちを乗せたファット船長のネウシス号が飛び立っていく。


 まぁ、14型がいるからな、大丈夫だろう。


 後は俺たち、か。



「王様、もう少し待って欲しいんだぜ」

 俺と一緒に皆を見送っていたキョウのおっちゃんが、こちらへと声をかけてくる。

『ああ、分かっている』

 俺たちもさ、すぐに出発したいんだけど、まだ準備が出来ていなからなぁ。俺たちの場合は帝国の首都、帝都に攻め込まないとダメだからな。その為の兵の準備、食料の用意、そして何よりも、まだフルールに頼んだ天鎖剣が完成していない。


 それらが全て終わったときが、俺たちの出発だ。


 焦るが、もうやる事は決まったからな。少しだけ、気は楽になっている。




―2―


 兵の出発準備が終わってしばらくしての事だった。

「ついに完成しましたわぁ」

 疲れたような、それでいて何処か高揚しているような、そんな表情の犬頭が現れる。もちろんフルールだ。


 ついに、出来たか。


 フルールが俺の前に4つの品を並べる。


 ん? 4つ?


「まずは王様から頼まれた天鎖剣ですわぁ」

 フルールが鎖刃が連結した剣のような物を指差す。


 あれ?


 俺が夢で見た天鎖剣よりも凶悪な姿をしているぞ。どういうことだ?

「王様のご要望通り、握り部分の取っ手を動かす事で鎖刃が動きますわぁ。素材が良かったので、フルールの思い付きで2連式にしてみましたわぁ。威力2倍ですわ」

 えーっと、なるほど。その思い付きが吉と出るか凶と出るか、ま、まぁ、女神に効果があれば、それでいいんだ。

「王様の言っていた通りにしたら、神に対して特効がついたようですわぁ。これを作った事で女神様に命を狙われないか、不安で夜も眠れなさそうですわぁ、ふわぁぁ」

 疲れているからか、最後は欠伸をかみ殺していた。特効とか、そういう特定の相手に特別効果があるみたいな属性がつくとさ、ホント、ゲーム的だよなぁ。まぁ、この世界は女神からしたら、そういう遊技場みたいな物なんだろう。その世界で、自身に特効がある属性を作っておくとか、女神はお馬鹿なのか、それともそれだけ自身の力に自信があるのか……まぁ、後者だろうな。


 これは《スイッチ》スキルで亜空間に保存しておこう。女神と相対するまで隠しておかないとか。とっておきは、最後の最後に取り出さないと、なッ!


 で、だ。


 残りの3つは何でしょう?


 どれも、今の俺の状態では鑑定出来ない。そうなるとフルールの解説だけが頼りだからな。まぁ、《変身》した状態の赤い瞳で調べてみれば、また別なんだろうけどさ。


『残りは?』

 俺の天啓にフルールが頷く。


「これはブルースターと名付けた盾ですわぁ」

 青い星?

「ラン王が持ち込まれた朽ちた竜の盾を加工した物ですわぁ」

 ああ、あの竜の墓場で無数のアンデッドドラゴンを倒したときに手に入れた盾か。

「癒やしの力を持ち、あらゆるものから持ち主を防ぐ、フルールが作った中で最強で最硬の盾ですわぁ」

 防げないものは無い、的な感じなのかな。これはジョアンに持たせてやりたかったなぁ。まぁ、タイミングが合わなかったんだ、仕方ない。これは分身体にでも持たせるかな。


 次にフルールは恐ろしく繊細な装飾が施された弓を取る。

「これはレインボウですわ」

 レインボウ? 虹? まさか、あの鉱石を使った弓だから? いやいや、そんな冗談みたいな名前の弓を……。

「統治の弓、全ての属性に打ち勝つ矢が放てる最高級の弓ですわぁ」

 まさか、全属性持ちみたいな感じなのか? それとも全ての属性に特効があるとか? どちらにしてもふざけた名前の割には強そうだな。ここで弓が手に入るとは思わなかったなぁ。


 で、最後のは? 腕輪みたいに見えるけどさ。


「最後のこれは、フルールからではなく、あの錬金術師が作った魔法具ですわぁ」

 フルールが作った物じゃ無い? 錬金術師? 誰だ?


 フルールがフードをかぶるような仕草を繰り返す。えーっと、ああッ! そうか、紫炎の魔女か。って、これ、あいつが作ったのかよ。直接、渡してくれたらいいのにさ。


「スカーレットデザイア、全ての属性を持っている『だけ』の腕輪ということですわぁ」

 本物の紫炎の魔女が作ったのも腕輪かよ。偽物とかぶってるじゃねえか。つけるのに躊躇しちゃうなぁ。

 にしても、全部の属性を持っているだけとは……。つまり、だ。これをつけていれば、どんな場所でも全ての魔法が使えるってことだよな? 何というか、最後に凄いものが出てきたな。これを身につけていれば、魔法を使う為だけに弓を出すとか、そんなことをしなくても良くなるわけだ。


 俺は有り難く紫炎の魔女が作った腕輪を身につける。俺の体でも腕輪なら問題が無いな。


 よし。


 これで全ての準備は終わった。


 後は帝都に乗り込み、全てを終わらせるだけだッ!

2020年12月13日修正

特攻 → 特効


2021年5月7日修正

特攻 → 特効

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