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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
10 三神殿攻略
856/999

10-47 晩餐会のもしゃもしゃ

―1―


『次は月の神殿だ』

 ここは迷宮都市の近くだよな。

「マスター、そちらは私に任せて欲しいのです」

 14型がスカートの裾を掴み優雅にお辞儀をする。えーっと、ここを守っているルナティックはすでに倒しているから、後は機械人形ばかり……。そうだよな、14型と縁の深い、あのメイドロボたちが待ち構えているだろうから、ここは14型に任せるべきだよなぁ。すでに2体倒しているから、残りは6体か。これなら、14型一人でも楽勝――ってワケにはいかないよなぁ。


 他の人員をどうしよう?


「むふー、私もそちらに」

 シロネ先生が声を上げる。へ? 何で、シロネが。14型とは特に絡みもなかったと思うんだが……。


『シロネが月の神殿に向かうのか?』

 俺の天啓にシロネが頷く。

「むふー、私にも待たせている人がいるのですよ」

 待たせている人? ま、まぁ、14型一人では不安だったから、シロネが参加してくれるのは嬉しいな。


「ならば、主殿、私もそちらに参加する許可を貰いたい」

 ミカンが刀を持ち上げ、意志を表明する。ミカンちゃん、そっちかー。まぁ、なんだかんだでシロネと仲がいいもんな。


「俺らもそっちにするぜ」

「おうさ。その神殿とやらまでは行くかは分かんねぇけどよ、あの降ってきたのを見ると迷宮都市が無事か心配だからよー」

 つるつるとモヒカンのおっさんズがそんなことを言っている。行って、戻って、何しに来たんだってくらい忙しい連中だな。

「あー、私たちもだぜー」

「はーい、はーい」

「戻るじゃんよー」

 3姉妹も、か。何だろう、助けになったような、なってないような……。まぁ、俺にも味方がいるんだって分かっただけでも大きいか。


 となれば、だ。

『バーンはどうするのだ?』

 バーン君も冒険者組だからなぁ。

「ちっ。聞くな」

 何、その態度。どっちか分からないじゃん。


「ふん、俺様のネウシス号で送ってやるぜー」

 ファット船長はやる気充分だ。あー、確かに空から行った方が近いもんな。歩きだと、日数的に間に合わない可能性の方が高いし、うむ、ファット船長がネウシス号を出してくれると非常に助かるな。


 まぁ、これで月の神殿は決定かな。


 14型、シロネ、ミカンがメイン。フォローでグルコン、クアトロのおっさん二人、キャッツルガ、ウリュアス、ゼロターの探求士3姉妹、送迎はファット船長のネウシス号って感じか。戦力的には心許ない気もするが、まぁ、そこは守護する天竜族が居ないってコトで。


『最後の星の神殿は自分が行こう』

 星の神殿は――かつての我が家、そしてノアルジ商会が始まった場所。14型と出会った場所でもあるな。あそこは俺が行くべきだろうなぁ。


「ジジジ、では、その露払い任せて貰おう」

 蟻人族のソード・アハトさんが声を上げる。

「任せて欲しいんだぜ。俺と剣の旦那で、帝都に、帝国軍にランの旦那が通る為の道を作るんだぜ」

 キョウのおっちゃんも目を細め、頷く。


 そうなんだよな。帝都は、今や敵国だからなぁ。敵国にある地下世界(アンダースフィア)の入り口へ進む為には、攻め込まないとダメなんだよな。俺たちの存在が警戒されている今、《転移》スキルでこっそりってのは難しいだろうしな。


「ほっほっほっほ。となれば、この城の守りはわしが引き受けるかのう」

 フミコンは居残り、か。まぁ、フミコンなら安心して任せられるな。


 これで担当は決まったか。


 太陽の神殿の担当は、ジョアン、セシリア、ステラ、ソフィア、デザイア、エミリオ。

 月の神殿の担当は、14型、シロネ、ミカン。

 星の神殿の担当は、俺、キョウのおっちゃん、ソード・アハトさん、バーン君。


 勝てるよな?


 ……。


 いや、そうだな。




―2―


「ラン! 時間が無い。僕たちは行ってくる」

 ジョアンがこちらを見る。ホント、こいつも成長したよな。鎧に着られているようなクソ生意気だったクソ餓鬼だったのに、その面影しかないぜ。


『いや、待て』

「ラン?」

 ジョアンが驚き首を傾げる。


『ポン』

 俺はポンちゃんを呼ぶ。


「おうさー。ランの旦那、待ってたじゃんかよ。俺の出番がないかと思ったぜ」

 ポンちゃんが剃り上がった頭を光らせニヤリと笑う。


『待って欲しい』

 俺の天啓を受け、全員が俺の方を見る。

『皆、待って欲しい』

 もう一度、確認の天啓を飛ばす。


『この国で出せる、最高の料理を用意した。行動は、その食事の後だ!』

 美味しい料理を食べて、頑張ろうぜ!

「ふむ。最後の晩餐というワケですかのう」

 フミコンが、そんな事を言っていた。いやいや、最後って、不吉な事を言うなぁ。


 そして、食事会が始まった。


「この天才の作った料理が!」

 猫人族のタクワンが料理を持って現れ、蘊蓄を垂れ始める。余り、ぺらぺら解説されると料理が美味しくなくなるよな。確かに、タクワンの甘味は天才的な味だけどさー。この性格だけが残念だよ。


『皆、勝つぞ。勝って、女神を止め、もう一度、皆でこうやって食事をしよう』

 そうだよな。終わりじゃないんだぜ。


 頑張ろうぜ。


 余り言うと縁起でも無いフラグが立ちそうだから、考えないけどさ。特に俺は、そういう不運というか、マイナス方向には外れないからな。でも、だ。


 それでも、今回だけは、な。


 もしゃもしゃ。

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