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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
10 三神殿攻略
850/999

10-41 あーフミコンだもんな

―1―


――《インフィニティスラスト》――


 3回目の《インフィニティスラスト》の発動で巨大な天使像は砕け散った。こいつ、恐ろしく固いな。固いだけで苦戦らしい、苦戦はしなかったけどさ。でもさ、それは、多分、俺だから、だろうなぁ。

 こいつが俺に対して行ってきた攻撃方法は、破壊光線と翼ではたく、の2種類だけだ。こいつは、考える知能の無い、全自動で動く機械みたいな存在なんだろう。ただ、動きが2種類だから楽勝かって言うと、結構、手強いんだよな。


 破壊光線は、俺みたいな高速で空を飛ぶスキルなどを持っていたら、回避出来るだろう。ただ、地上で戦う事を強いられたら、防ぐ事しか出来ないだろうし、そうなったら、防げるのはジョアンくらいじゃないのか?

 翼ではたく攻撃もそうだ、巨体から繰り出される一撃は、素早く、広く、重い――単純なだけに脅威だよ。

 こんな馬鹿げた存在が世界各地に降ってきてるなら、ホント、洒落にならないぞ。こいつらに人が駆逐されてもおかしく無い。


 よし、ちょっと近辺の天使像も破壊してくるか。


『もう少し壊してこよう』

 まだまだ、この近辺だけでも降ってきた巨大な天使像は沢山いるみたいだからなぁ。俺の国の周辺だけでも安全にしておかないとな。これ、明日になったら、また補充されます、なんてないよな?


――《永続飛翔》――


 次の天使像を目指し飛ぶ。




―2―


 近辺の天使像を壊し続けているときだった。


 またしても空が割れる。おかわりかよッ! それとも、俺がこの近辺で倒しすぎたから、呼び寄せてしまったのか?


 空からは、先程、俺が倒し続けていた天使像よりもさらに巨大な天使像が姿を見せる。な、な、な、なんだよ、これ!? さっきまで倒していた天使像の10倍? 20倍? さすがに俺でも、どう対処したら良いか、全然、分からないぞ。


 その時、俺のステータスプレート(螺旋)が震える。誰かの通信か?


――《浮遊》――


 《浮遊》スキルを使い、その場に浮かぶ。そして、サイドアーム・アマラを使ってステータスプレート(螺旋)に取り付けられたスイッチを押す。


「ラン王、聞こえているかのう」

 聞こえてきたのはフミコンの声だった。どうしたんだ? うーむ、このフミコン通信機だとさ、今の声が出せない状態では返事が出来ないんだよなぁ。

「こちらでも、存在を確認したのじゃよ。急ぎ、城に戻って欲しいのじゃ」

 何だ? 何かあるのか? とりあえず戻るか。


 俺はいつものようにコンパクトを開く。


 そして、空に浮かんでいたはずの俺が城の屋上に立っていた。浮かんでいても関係ないんだな。

「ラン王、お待ちしていたのじゃよ。こちらじゃ」

 そこにはフミコンがいた。

『フミコン、どういうことだ?』

 少年姿のフミコンはちらりとこちらに振り返り、ニヤリと笑う。

「こんなこともあろうかと、用意していたものがあるのじゃよ」

 そ、そうなのか。ホント、フミコン、準備がいいなぁ。俺も、こんなこともあろうかとなんて言葉を言ってみたいよ。


 フミコンが案内したのは玉座の間だった。んー、そういえば人影が見えないな。今、この城、フミコンだけしかいないのか? ちょっと前までジョアン君がいたように思ったんだが。

「ラン王、こちらなのじゃよ」

 フミコンが玉座に手をかける。もしかして、例の玉座の下? 何か秘密兵器でも用意しているのか?


『他の者達は?』

「危険なので離れて貰っているのじゃよ」

 えーっと、でも、俺は巻き込まれるのか。


 フミコンとともに玉座の下に降りる。

「少し待って欲しいのじゃよ」

 フミコンが8×8のパネルをポチポチと押していく。俺には適当に押しているようにしか見えないな。

「さあ、ラン王、中央左のボタンを押して欲しいのじゃ。これは今の城の所有者であるラン王にしか出来ぬことなのじゃよ」

 見れば文字が浮かび上がっている。


 防衛システムを起動しますか?


 Y/N


 これ、か。


 こういう時の為の防衛システムだろうからな。起動するか。


 俺の小さなまん丸お手々でボタンを押す。


 すると警報が鳴り響き、俺の周囲に外の景色が映し出された。360度パノラマ? 何だ? 何だ? 外の景色が揺れているぞ? もしかして、今、この城、動いているのか? この場所だと感じないけどさ、何か城が持ち上がっているような、そんな動きが……。


 城が持ち上がり、その周辺の大地を突き破り巨大な金属の棒が現れる。いや、これは手か? ま、ま、ま、まさか。


 そ、そういえば、フミコン、以前、言っていたような。えーっと、まさか?


『フミコン、周囲の被害は……』

「ラン王、目前の脅威の為には多少の犠牲は致し方無しなのじゃよ」

 いやいや、お前、ポンちゃんの裏庭の畑とか大変な事になってるじゃん。


 そして、地面から這い出すように城を頭と体に見立てた巨大な人型が現れた。あー、うん。フミコン、冗談じゃなかったんだ。これ、巨大ロボだよな?

 この城、多分、フミコンが作ったんだよな? これ、フミコンの趣味か?

『フミコン、これは?』

「ラン王が驚かれるのも分かるのじゃよ。これは人型を模した、こういう場合の為に用意した決戦兵器なのじゃよ!」

 あ、はい。動力は魔法的な何かかなぁ。

『フミコン、人型である意味は?』

「やはり、ラン王もそれを言われるのじゃな。人と同じように物を扱ったり出来るのが大きなメリットだと思うのじゃがのう」

 そ、そっかー。そうだね、でも、俺はどんびきだよ。俺は普通に皆で集まって、協力して、あの巨大な天使像を破壊した方が良かった気がするなぁ。


「あのあく――女神も、アレを呼び出す事はそうそう出来ぬはずじゃからのう。今回動かす分くらいしかない動力でも、アレを倒せば、何とかなるはずなのじゃ!」

 今、少し不安な事を言わなかったか?


 外の風景を見れば、超巨大な天使像がこちらへと飛んできていた。いや、このまま、この場所で戦闘になるのは不味いよな?

『フミコン、動かせるか?』

「ふぉっふぉっふぉ、任されたのじゃよ!」

 あ、ああ。戦うにしても他に被害が出ない場所でないとな。


 と、その時だった。

「あらあら、何やら化石のような物が動いてますわ」

 超巨大な天使像から声が聞こえてきた。

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