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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
10 三神殿攻略
843/999

10-34 いろいろと考えた結果

―1―


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い平原へと向かう。ソード・アハトさんたちには俺が何とかするから戦争の準備を急いでくれって頼んでいるからな、これで間に合わなかったら格好悪いなぁ。

 羽猫ではなく《飛翔》スキルを使うのは、もちろん帝国軍に見つからないようにする為、する為なんだけどさ、どうしても《飛翔》スキルの効果時間が切れたときに止まってしまうからなぁ。何というかアクセルを全開で踏む、離す、休憩、アクセルを全開、を繰り返しているみたいな無駄というか、手間というか、思っているよりも進まないというか、《飛翔》スキルもさ、MPをガンガン消費するんだから、効果時間とか気にせずにずっと使えてもいいのにな。


【《飛翔》スキルが成長限界に達しました】

【《飛翔》スキルが《永続飛翔》に変異しました】


 へ?


 いきなりシステムメッセージが?


 って、このタイミングで?


 何、コレ?


 狙ったかのように、というか、思った事が現実になったというか、いやいや、タイミングが良すぎるだろう。どういうことだ? これも俺の存在がバグった影響か? いや、まぁ、有り難いか。


――《永続飛翔》――


 俺の背にうっすらと光輝く翼のようなものが生まれる。そして、そのままMPをバカスカと消費しながら空を飛ぶ。あ、これ、どっちみちMP回復の休憩が必要なパターンだ。うん、凄い、微妙。


 まぁ、それでも、それまでは飛び続けられるようになったんだ、頑張って平原に向かうか。


 なかなか空っぽにならないMPを不思議に思いながら、平原に到着する。おいおい、一日で到着したぞ。普通は数日かかるくらいの距離じゃないか? 俺、凄いな。って、自画自賛している場合か、急がないとッ! 一日で平原まで着けたとはいえ、帝国軍は俺と同じくらい足が速いはずだからな。この状況の中、一人でかち合ったら洒落にならん。


 さてさて、長距離の移動で疲れたけどさ、サクサクッとやってしまうか。


――[エル・サモントレント]――


 俺の魔法に応えるよう平原に大きな木が生まれる。ニョキニョキってな。


――[エル・サモントレント]――


 俺は次々と木を作っていく。


 しばらくすると、平原は森になっていた。うむ、我ながら、馬鹿みたいな力だな。これは、こんな力を持っているんだ、世界の敵(ワールドエネミー)って呼ばれても仕方ないかもしれないな。

 恐ろしい速度で進んでいる軍隊の目の前に、突然、無いはずの森が現れるんだ。大変な事になるだろうな。迂回するか、突っ切るかするにしても、大きな時間稼ぎになるはずだ。どちらにせよ、一旦動きを止めないと駄目なワケだしな。一度止まった軍隊を動かすのは大変なはずだ。これで時間稼ぎは大丈夫だろう。


 ……。


 と、そうだ。


――《魔法糸》――


 《魔法糸》を飛ばし、木と木の足下を結びつける。


――《魔法糸》――


 これもちゃちゃっとやってしまおう。これで、連中が気付かずに森の中に入れば、大惨事だな。ここまでやれば完璧だろう。


 さ、帰るか。


 帰りはコンパクトを開くだけだから、一瞬なんだよなぁ。




―2―


 コンパクトを開き、王城に戻る。


 さてさて、後はソード・アハトさんたちに任せよう。《永続飛翔》スキルで帰って、その途中でソード・アハトさんたちに合流しても良かったけどさ、まぁ、城側から余り進んでいないだろうし、俺は俺でセシリー対策を考えないと駄目だからなぁ。


 そろそろ分身体の攻撃から抜け出ていてもおかしくないだろうしさ。ホント、頭が痛いよ。根本的な考え方の相違による平行線だからなぁ。俺の常識ではセシリーは自殺志願者にしか思えないけどさ、それが、この世界では正しいんだろうから始末に負えない。俺の国や俺に味方してくれている人の方が異端なんだもんな。ホント、やってられないぜ。


 説得は無理だろう。


 だからといって殺すのは、絶対にダメだ。それは、それなら女神と同じだもんな。まぁ、それ以前にさ、俺にそんなことが出来るわけがない。


 セシリーからしても、圧倒的力で敵わない俺に頭を悩ませているだろうな。そこは、まぁ、折れない心で、俺の心を折りに来ているんだろうけどさ。力で勝てないから、心で勝つ、か。本当に厄介だなぁ。敵に回るとこれほど厄介とは……。


 殺し合い以外で何か決着でもつく方法があればなぁ。例えば、勝った方の言う事を何でも聞くとか条件をつけてさー。


 ……。


 待てよ?


 待てよ、待てよ。


 これ、なかなか良い考えじゃないか?


 誰か代表を出して闘技大会を行う? いやいや、それはダメだ。結局、戦力バランスがこちらに傾いているのが問題なのに、それが、そのままスライドしてしまう闘技大会みたいなのはダメダメだ。


 何か、そう、何かスポーツで決着をつける。うん、それがいいんじゃないか? 両方が同じ条件で戦力差が生まれないようなスポーツ。

 戦力で負けていて勝つ事が出来ない俺に勝つチャンスがあるとなれば、セシリーは必ず乗ってくるはず。俺も、心を折る事が出来ないセシリーを押さえる事が出来るんだから、文句なしだ。

 ただ、まぁ、全てがさ、上手く行って勝つ前提だから、負けた瞬間に全てが崩れ落ちるんだけどさ。


 むむむ。


 これも大きな賭だよなぁ。


 いや、女神に勝つっていう大ばくちを行うんだ。こんなところで躓いてられるかってんだ。となると、何のスポーツにするか、だな。


 むむむ。

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