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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
10 三神殿攻略
841/999

10-32 何も進まないのだった

―1―


「王様、どうするんだぜ?」

 ホント、どうしようなぁ。


『まずは自分が神国軍を蹴散らす。その後、皆で一斉に城へと戻り帝国軍に当たるぞ。キョウ殿は撤退の準備を頼む』

 そうそう、まずは神国軍を何とかしないとなぁ。で、撤退と。軍を残した方が賢いようだけどさ、俺的にはキョウのおっちゃんと紫炎の魔女は城に戻って貰わないと困るからさ、そうなると軍を指揮する人間がいなくなるからなぁ。必然的に全員で帰る事になるんだぜ。

「分かったんだぜ」

 キョウのおっちゃんが目を細めて頷く。さあ、俺は俺で頑張るぜ。


『では行ってくる』

 サクサクッと片付けてくるか。と、俺の国の兵隊さんたちさ、凄い数だけどこれでも、皆、コンパクトで帰れるよな? 大丈夫だよな?


 ……ま、まぁ、何にしても神国軍を蹴散らしてからだな。


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い、神国軍陣地へと戻る。羽猫のブレス攻撃で壊滅しているかと思いきや殆ど被害が出ていないようだな。どういうことだ?


「にゃうぅ」

 ブレスを吐きながら飛び回っていた羽猫がこちらへとやってくる。そのまま、いつものサイズまで小さくなり、俺の頭の上に納まった。お前、俺の頭装備みたいだな。よしよし、よく頑張った。

 さて、と。数が数だから、魔法をぶっ放すか。この世界ってさ、魔法があるから集団になると一掃出来ちゃうんだよな。人の数が多い方が有利かっていうと、そういうことを考えると微妙だよなぁ。


 というわけ、でッ!


――[エル・アイスストーム]――


 荒れ狂う巨大な氷と風の嵐が神国軍の陣地に巻き起こる。


 ん?


 あれ?


 俺、《変身》スキルを使っている状態じゃないのに上位魔法が発動した。どういうことだ? もしかして、これがバグった事によって手に入れた力の一つか? いや、でもなぁ。こうなってくると《変身》スキルの優位性が失われたというか、残された優位性なんて、人型になることと手先が器用になるくらいじゃないか。う、うーむ。


 そして、発生した氷の嵐は光る巨大なドーム状の存在に弾かれていた。へ? あれ? 誰かの防御的なスキルなのか? なんだか、完全に防がれている気がするけど、どういうことだ? 神国軍全体を守るような、あんな規模で守る為の盾を発生させるなんて……って、盾? そうか、こんな事が出来るのはジョアンくらいだよな。


 さすがだなぁ。


――[エル・アイスストーム]――


 もう一度、殺人的な規模の氷の嵐を発生させる。しかし、生まれた氷の嵐は、再度作り出された光る巨大なドームに防がれていた。


 ふむ。


――[エル・アイスストーム]――


 氷の嵐を光りの壁が防ぐ。ふむ。


――[エル・アイスストーム]――


 氷の嵐を光りの壁が防ぐ。ふむ。


 俺は防がれるのを分かっていながら、何度も、何度も氷の嵐を発生させる。


 何度も、何度も、何度も。


 そして、その回数が20回を超えた辺りで光りの壁が弱まってきた。何度も明滅し、今にも消えそうな弱い光へと変わっていく。ここら辺が限界、か。


――[エル・アイスストーム]――


 氷の嵐が生まれる。そして、今度は光りの壁が生まれなかった。氷の嵐が神国軍の陣地を蹂躙する。いや、俺が思っているほど被害は出ていないだろう。それだけ、セシリーたちは優秀だからな。さて、と。


――《二重分身》――


 《二重分身》スキルを使い二人の分身体を呼び出す。そのままオートモードに変え、二体に魔法を放ち続けるように指示を出す。


――[アイスストーム]――


 分身体が交互に休憩を挟みながらアイスストームを唱え続ける。


――[アイスストーム]――


 まぁ、これで時間稼ぎは出来るかな。


――[アイスストーム]――


 一旦、キョウのおっちゃんたちのところに戻るか。


――[アイスストーム]――


 いやぁ、MPが回復出来る俺だからこその固定砲台、恐ろしいなぁ。


――[アイスストーム]――


 さて、と。


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い自陣へと飛ぶ。その間も俺の背後では氷の嵐が吹き続けていた。


 自陣に戻るとすぐにキョウのおっちゃんが出迎えてくれた。

「王様、エグい事をするんだぜ」

 ん? いやいや、キョウのおっちゃんも見誤っているぜ。

『キョウ殿、時間稼ぎにしかならぬよ』

 キョウのおっちゃんからは乾いた笑いが出ていた。

『向こうにはセシリア女王とジョアンがいるのだ。あの二人なら、どのような状況でも突破口を見つけ、食い破ってくるだろう』

 俺の天啓を受けたキョウのおっちゃんが表情を引き締め、頷く。そうなんだよなぁ。あの二人とも付き合いが長いからさ、この程度なら何とかするんだろうな、って分かるくらい信じてしまえるんだよな。


 まぁ、でもさ、そうやって稼げる時間が、今の俺には貴重だからな。

『キョウ殿、戻るぞ』

「あ、ああ。王様、準備は出来ているんだぜ」

 さって、帝都から逃げたとき以来の大規模転送だけど、まぁ、大丈夫だろう。


 戻ったら、まずは帝国軍への対策か。その辺はある程度ソード・アハトさんたちがやってくれているだろうし、大丈夫かな。

 そして、帝国軍を蹴散らしたら、その間に進軍してくるであろう、この神国軍か。


 むむむ。


 いや、ホント、セシリーを何とかしないとジリ貧だなぁ。

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