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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
10 三神殿攻略
839/999

10-30 またこういうことです

―1―


 俺の体が強い衝撃によって跳ねる。


 何だ、何が起こった?


 俺はゆっくりと視界が戻っていくのを感じる。いつもの慣れ親しんでしまった6つの視界に別けられた世界。

 そして、変わらぬ俺の部屋。


 俺は、何で、ここに?


 眠っていた?


 思い出す。


 もっと思い出す。


 深く思い出す。


 ……。


 うん、はぁッ!


 思い出したぞ。そうだよ、俺は、俺は……。


 部屋の中を見回す。分身体の姿は見えない。遠隔操作をしようとするが、分身体の存在が感じられない。

 お、おいおい、まさか、分身体が消滅している? もしかして、俺が死んだから消滅した? いやいや、死にかけただけで俺は生きているからな。でも、俺が倒れたから消滅したんだよな? では失敗したのか? でもさ、それなら、俺は死んでいるはずだ。はずだよな?

 どういうことだ?


 と、そうだ。俺の体に変化がないか確認をしよう。


――[ウォーターミラー]――


 ウォーターミラーの魔法を使い、俺の目の前に水の鏡を作り出す。うーん、何だろう、少し周囲の魔素が少ない気がするなぁ。まぁ、普通に魔法は発動したからいいけどさ。


 鏡に映る――そこに居たのは、いつもの芋虫姿の俺だった。


 ああ、これが、これこそが俺の姿だよな。《変身》も解けてしまっているのか。


 はは、こうも芋虫の姿を見させられるとさ、見せつけられるとさ、かつての人であった頃の姿を忘れそうだよ。ノアルジではない、かつての自分を、さ――いや、もう、もやもやとした記憶になってしまって、あの頃の自分の姿がよく思い出せないな。それだけの月日が経ってしまった、経ってしまっていたという事実に我ながら、信じられないくらいのショックを受けるよ。凹みそうだ。はぁ……。


 ……。


 て、おや?


 よく見ると、少しだけ姿が、姿に変化があるぞ!


 足の先端が――8本ある足の先端にちょびっとだけ色が付いている。一番上のメインのお手々の右側が赤、左側が青、そして順番に紫、緑、黄、橙、黒、白……。すっごい微妙な変化が起きているなぁ。でも、これ、全ての属性を得たから起きた変化だよな? まぁ、外皮は変わらず青色だけどな。


 自分を鑑定してみるか? 何か変化が分かるかもしれないな。


 【名淡・冒嵐χ主】

 【穣族:・てケrゥラー(組獣)】

 【筋力: 体力: 敏捷:酷い 器用: 精神:まあまあ】


 何だ、コレ?


 よく分からない事になっている。鑑定スキルがバグった? いやいや、ゲームじゃないんだからさ。

 いや、違う。ももも、もしかして、もしかしてだけどさ。


 このゲームみたいな世界が――敢えて、そう、あえて女神がゲームみたいな世界として創ったものだとしたら?

 バグったってことは、その創造主の枠を超えたって事じゃないのか?


 成功か? 成功だよな?


 命を賭けたんだから、賭けに勝ったと思いたい。成功したと思いたい。成功、だよな?


 とりあえずラナジウムを作りに行くか。ここは魔素が少ないから、行くなら、城の屋上だな。




―2―


「マスター、もうよろしいのですか?」

 扉の外に出ると、俺の命令を守っていたのか14型が律儀に立っていた。

『14型、自分が、お前にここを守るように頼んでから、どれくらいの時間が経っているだろうか?』

 そうそう、どれくらい気を失っていたかが重要だよな? それによっては今後の方針も変わるしな。まさか、一週間経っていました、何てことはないよな?

「マスターが安易に命令を出されてから、この場を守り続け48時間と4時間が経過したところです」

 安易に、てさ。俺も、そんな時間が経つようなことになるとは思っていなかったから……って、へ? 48時間プラス4時間? 52時間も経過しているのか? ふ、二日間も、これに使ってしまったのか。

 た、確かに二日間守り続けろってのは、酷い命令だよな。もう少し柔軟な命令にしておくべきだったか……。


 って、アレ?


 14型をよく見れば、自浄作用のあるメイド服は綺麗なままだが、いつの間にか装着している凶悪な篭手が赤く汚れていた。どういうことだ?


『14型、何かあったのか?』

 俺が天啓を飛ばすと、14型は視線の変わらぬ作り物の笑顔で答えてくれた。

「有能な無能ならば、何も問題は起きていないのですと言うところですが、考える力が足りないマスターの為に説明しますと、マスターの命令後、マスターの命を狙った賊が侵入した為、処分しておいたのです」

 長い! そして、よく分からない。と、とりあえず賊が侵入したから撃退したってことか?

「フー家の者が神国とやらの小競り合いに行っている為、賊の侵入を許してしまっているようです」

 あー、まだ神国との戦い、続いているんだ。そりゃあ、折れない心を持ったセシリーだもんな。そこに有能なキョウのおっちゃんが取られているのは痛いなぁ。こういう、賊の侵入を未然に防ぐとか、キョウのおっちゃん、得意そうだもんなぁ。そういう人が居ないのはキツいなぁ。


 やれやれ、セシリーの問題も早く何とかしないとなぁ。


『14型、自由に動いて良い』

「了解です、マスター」

 俺の天啓を受けた14型が一瞬にして、その姿を消した。あー、うん、もう驚かないぞ。多分、侵入者とか、そういった感じの方々を排除しに向かったんだな。有能な14型さんだもんな。


 ま、まぁ、俺はラナジウムを作成するか。


 今度は、成功するよな!

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