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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
10 三神殿攻略
824/999

10-15 前途多難、暗雲が漂う

―1―


『14型、自分はどれくらい眠っていたのだろうか?』

 俺は14型へと天啓を飛ばす。あー、俺、元の芋虫姿に戻っているな。

「マスター、申し訳ありません。私も再起動に時間をかけていた為、よく分からないのです」

 あー、そういえば14型もフリーズしていたもんな。となると、14型も俺と同じくらいに目覚めた可能性もあるのか。

 誰か話の分かる人を呼ばないと……。

「マスター、外で待っている者を呼びます」

 あ、ああ、そうか。俺は眠っていて、14型もフリーズしていたんだもんな、誰かがここまで運んでくれたはずなんだ。そうか、そうだな。


 誰かを呼びに行っていた14型が、すぐに戻ってくる。


「王様、起きるのを待ってたんだぜ」

 それはキョウのおっちゃんだった。


『キョウ殿! 教えて欲しい……』

 俺の天啓をキョウのおっちゃんが手で止める。

「聞きたい事はわかるんだぜ。こちらでも、あの女神の話は聞いたんだぜ」

 そりゃあ、キョウのおっちゃんも、いや地上の人全てだな――は、あの巨大な映像で見ているはずだもんな。

「女神が30日で世界を滅ぼす、それは分かったんだぜ。それで王様――いや、ランの旦那はどうするんだぜ」

 キョウのおっちゃんが目を細め、こちらを見る。


 どうする?


 どうするだって?


 そんなの、もう決まってるじゃんかよ。


 決まっているんだぜ!


『女神をぶっとばし、止めるッ!』

 そうだぜ。決まってるぜ。


 俺の言葉を聞いたキョウのおっちゃんが大きく目を見開き、そしてニヤリと笑う。

「さすがはランの旦那なんだぜ。俺も手伝うんだぜ」

『キョウ殿、良いのか?』

 キョウのおっちゃんは俺の元へ、ゆっくりと歩いてくる。

「今更、何だぜ。ランの旦那なら、そう言うと思って、俺たちは、すでに準備していたんだぜ――まぁ、ちょっと問題も起きているが、それよりも、なんだぜ」

 さすがはキョウのおっちゃんだぜ! ちゃんと俺の考えを呼んで準備してくれているなんてな!


「今から状況を説明するんだぜ」

 キョウのおっちゃんが片眼を閉じる。ああ、頼むぜ。


「まずは知りたいだろう情報からなんだぜ。ランの旦那が、この城に戻ってきてから、ちょうど一週間、そう八日も経っているんだぜ」

 さすが、キョウのおっちゃん、俺が知りたい情報を的確に教えてくれるぜ。にしても8日も気絶していたのかよ。いや、それだけ俺の体の再生に時間がかかったって事か? 女神が世界を滅ぼすまで、後22日か。まぁ、30日眠っていた、なんて状況じゃなくて良かったとするべきか。


『女神は、世界は』

 俺の天啓を受け、キョウのおっちゃんが頷く。


「そして、これが重要なんだぜ」

 キョウのおっちゃんが再度、目を細め、こちらを見る。


「ランの旦那は、世界の敵(ワールドエネミー)と認識され、各地で討伐部隊が組まれ、この国を目指しているんだぜ」

 な、何だと!? 確かに、女神のあの言いようだし、そんな予感はしていたけどさ、マジか、凹むなぁ。

「帝国のみならず、神国でもなんだぜ」

 って、ちょっと待て。


 今、何て言った?

『キョウ殿、今、神国と言ったか?』

「ああ、言ったんだぜ。一応、迷宮都市だけは中立なようなんだぜ」

 ちょっと待て、ちょっと待て。神国が俺の国と敵対している? 神国の女王は、あのセシリアだぜ? 俺の親友のセシリーなんだぞ。あり得ないだろ。ま、まさか、また反乱が起きてセシリーが幽閉されているとか、そんな感じなのか?


『セシリア女王からは?』

 キョウのおっちゃんは首を横に振る。

「連絡がつかないんだぜ」

 ま、まさか、本当にッ!


 俺は慌てて自分のステータスプレート(螺旋)に取り付けられたフミコン通信機のスイッチを入れる。しかし、セシリーからの反応は返ってこない。

 冗談じゃない。


 これは、本気でセシリーの身に何か起こったのか!?


「ランの旦那、待って欲しいんだぜ」

 動き出そうとした俺をキョウのおっちゃんが引き留める。

「ランの旦那と、あの神国の女王さんが仲が良かったのは知っているんだぜ」

 なら……。

「それよりも急ぎ解決しないと不味い問題が山積みなんだぜ」

 いやいや、セシリーを救うよりも重要なコトなんてないんだぜ。


「冒険者ギルドが活動しなくなり、冒険者の反乱が起きているんだぜ」

 へ?


 冒険者ギルドが動かない?


 あ!


 そ、そうか。


 俺が冒険者ギルドのグランドマスター、ルナティックを殺したから、か。いや、でも、それが?


「今は、剣の旦那が頑張っているが、突破されれば、この国は滅びるんだぜ」

 へ? ま、まさか、冒険者にも、この国が攻められているのか?


 一大事じゃん!


 女神と戦う準備どころの話じゃないよ!


 たく、何なんだよ、世界が滅びるかもしれないって時にさ。


「冒険者の力は恐ろしいんだぜ。こんなところで消耗させられてしまえば、女神と戦う為の準備が、それどころじゃなくなってしまうんだぜ」

 あー、何だってこんなことに……。


 そうか、この世界って、戦えば戦うだけ、魔獣を倒して魔素を吸収すればするだけ強くなる世界だもんな。そりゃあ、戦う事を仕事としている冒険者の力は強大、か。

 それを、そんなならず者達を抑えていた、いや、洗脳していたと言うべきか、そういう役割の冒険者ギルドが機能しなくなれば、こんな事態も起きてくるか。


 たく、世界が滅びるかどうかって時にッ!


 いや、待てよ。逆に言えば、強大な力を持った冒険者の反乱を抑え、上手く味方に取り込めれば、対女神の貴重な戦力になる、のか?


 セシリーの事も気がかりだが、まずは足場を固めないと、それどころじゃない、か。


 あー、くそう。


 最悪だぜ。

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