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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
10 三神殿攻略
815/999

10-6  狂ってるのはどちらか

―1―


 さて、どうする? 真紅妃を構えてみたものの、こいつら、女神に次ぐ実力者なんだよな? どうする、どうする?


「わたしに任せてくれ。この不敬なやからに立場というものを思い知らせてやろう」

 月の冠をかぶった少年が立ち上がり、言葉を続ける。

「いや、女神セラ様の御意志が理解出来ぬような魔獣だ。立場という意味も理解出来ぬかもしれんな」

 好き放題言いやがって。いや、でも三人ではなく、一人で相手してくれるみたいだし、これはチャンスか?


「言葉を理解する知恵だけはあるようだから、教えておこう。いやはや……魔獣に話しかけるとはわれながら滑稽な気もするのだがね」

 月の冠をかぶった少年がこちらへと歩いてくる。えーっと、確かルナティックだったか。名前的に狂ってるのか? いや、もしかすると女神の狂信者的な意味かもしれないな。


「お前は、この世界にレベルという仕組みがあることを知っているな?」

 ルナティックはこちらへゆっくりと、さらに一歩、また一歩と近付いてくる。こいつ、何を言い始める気だ?


「お前のレベルはいくつだ?」

 俺はルナティックの会話を聞きながら、ステータスプレート(螺旋)を操作する。

「そのちっぽけな魔獣の姿、30くらいか?」

 今の内に、最後の八大迷宮『名を封じられし霊峰』で手に入れたスキルツリーを取得しておこう。少しは有利になるかもしれないからな。

「いや、迷宮を踏破したのだ、50くらいか?」

 《MP再生》スキルは魔素からMPを回復出来る俺には必要無いな。ここ、溢れるくらいに魔素が満ちているみたいだしなぁ。あー、でも《復活》スキルの前提条件が《MP再生》スキルのレベル8みたいだし、うーむ、悩むなぁ。まぁ、時間も無いし、とりあえずスキル合成だけ取っておくか。


「この世界の住人ならば、高くても、その程度よなぁ」


【《スキル合成》スキルを獲得しました】

【《スキル合成》スキル:スキルを合成し新しいスキルを作成する】


 なるほど、予想通りのスキルだ。多分、《スキル分解》スキルの方で元に戻す事も出来るんだろうな。


「お前達が苦労して戦っていたであろう魔族たちの強さですら、高くても50、その程度なのだよ」

 へー、魔族って50レベル相当の強さなんだ。って、考えている場合か。こいつが余裕ぶっている間に《スキル合成》スキルを試してみよう。


――《スキル合成》――


 《スキル合成》スキルを発動させると空中にスキルの一覧が表示された。うお、びっくりするな。ルナティックは、そんな驚いている俺を見ても特に気にした様子はなく、こちらへと歩いてくる。ん? もしかして、これ、俺にしか見えてない感じなのかな。


《二重分身》―《二重》《分身》


 こんな感じでスキルの一覧がずらずらっと表示されているから、多分、左が合成後、右が合成元って感じか。

 とりあえず合成して《二重分身》を作ってみるか。これ、《分身》の効果が2倍になるって感じかな?


 《二重分身》スキルが完成っと。


「絶望的な事を教えてやろう」

 ルナティックが大げさに両手を掲げる。


「わたしの、わたしたちのレベルは99だ」

 ん? そうなのか。お前達でもカウンターストップは99なんだな。8が好きな世界なのに意外だなぁ。上位者なら変わるのかと思っていたよ。

「上限に、この世界の極みに到達しているのだよ」

 ルナティックは得意気だ。


 俺は大きく息を吐く。

「どうだ、絶望したかね」

 そうか、良かった。


 それが聞けて、本当に良かったよ。


 俺が不安だったのは、な。お前達が、この世界の仕組みの外に居た場合なんだよな。この世界を作ったのが女神って事だからさ、そういう可能性もあるんじゃないかって不安だったんだよなぁ。ゲーム的にレベルとかを作ったのも女神の仕業だろうしな。


 そうか、お前達も、俺たちと同じ枠組みの中か。


 ルナティックの背から無数の黒い手が生える。そして、それにあわせて何処からか音楽が流れ始めた。荘厳な何かを称えているかのような音楽――何だ、これは?

『何だ、この曲は?』

「わたしの《楽曲》スキルだよ。戦いには曲が必要、これも女神セラ様の教えなのだよ」

 女神セラ、か。変わったヤツだ。


 と、向こうは曲も流して、やる気十分、準備万端って感じだな。

『エミリオ、そこでフリーズしている14型を連れて離れているのだ』

「にゃ!」

 俺が天啓を飛ばすと、エミリオが一声鳴き、フリーズしている14型のメイド服を咥え、無理矢理引き摺りながら動かしていく。14型は復活まで、もう少し時間がかかりそうだな。


 ……。


 俺は改めてルナティックを見る。


 もきゅもきゅ。


「何のつもりだね」

 俺としては不敵に笑ったつもりなんだが、うまく行かないな。

『ここに来る前に出会った冒険者が言っていたのだがな』

 俺は天啓を飛ばす。

「いまさら、何を言うつもりかね?」

『誰かが到達した頂は、他の誰かでも到達出来る可能性がある、とな』

 そうだ、あのヒイロという蛮族姿の冒険者が言っていたな。そこは俺も同意しておこう。同じ枠組みの中にいるのなら、そこには至る事が出来るはずだ。


 到達している者がいる可能性、その上を行っている者がいる可能性。


 お前が極まっているというなら、俺も本気でやらせて貰うッ!


――《変身》――


 さあ、俺の本気の力を見ろッ!

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