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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
10 三神殿攻略
810/999

10-1  神の座に至る芋虫たち

―1―


 俺の目の前には迷宮王の頭蓋骨を持ったクロアさんがいる。クロアさんが頭蓋骨を動かし喋り続ける。

「全ての迷宮を攻略したお前には神の前に立つ資格が与えられた。さあ、そこへ誘おう」

 神? 女神の事か?


「マスター、お気をつけください」

 頭蓋骨を持ったクロア、14型は、そんなクロアを警戒体勢のまま見つめ続ける。ホント、何が起こっているんだ?

『待って欲しい。クロア殿が迷宮王なのか?』

 そうだよ、それを聞かないとッ!


 しかし、クロアは俺の問いに首を横に振る。

「んんー。違います。言うなれば、そう、私はただの使いっ走りですねー」

 ん?

「星獣様である、あなたでは……いえ、そうですねー。まずは、どうぞ後ろの石碑に触れてください」

 どういうことだよ。いや、まずは、そうだな、クロアが言うようにスキルモノリスからスキルをゲットするべきか。そこを、不意打ち、とかしないよな?


 俺は改めて14型を見る。14型はクロアを見張ったままだ。まぁ、14型が見ているなら大丈夫かな。


 スキルモノリスまで近付き、手を触れる。


【復活系のスキルツリーを取得しますか? Y/N】


 これはイエスで。まぁ、取得しない選択なんて無いよな。


【復活系スキルツリーを取得しました。内容はステータスプレートをご確認ください】


 無事ゲット出来たな。

「にゃ!」

 頭の上の羽猫も嬉しそうだ。よし、ちらっとだけ確認しておくか。


 サブスキル :復活ツリー

 MP再生 LV0(0/100)

 スキル合成LV0(0/800)

 スキル分解LV0(0/800)スキル合成LV1

 復活   LV0(0/800)MP再生LV8


 うーん、必要MSPが異常に多いな。それだけ便利なスキルなんだろうけどさ、うーむ、うーむ。


「んんー、取得出来ましたか」

 クロアは俺を見て驚いている。いや、何、その反応。俺が取得出来ないと思っていたかのような反応だな。


『どういうことだ?』

 クロアは再度、首を横に振る。

「んんー、何でもありません。さあ、神の座に向かいましょう。私の近くに来て欲しいですねー」

 神の座、か。まさか、女神が現れるのか? この世界って、本当に神がいる世界みたいだからなぁ。


 警戒している14型と共にクロアへと近付くと、彼女は、その懐からコンパクトを取り出した。おや? 俺がグレイシアの王城へ帰る時に使うコンパクトとそっくりだな。


「では、行きますねー」

 そして、クロアがコンパクトを開いた。




―2―


 周囲の風景が――世界が変わる。


 そこは見慣れぬ、真っ白な空間だった。真っ白な空間に無数の巨大な水晶が浮かんでいる。いや、俺が立っている場所も真っ白な空間に浮かんだ水晶の上のようだ。


 そして、俺の前方には並ぶ人の姿があった。


 一番奥には、これまた水晶で作られた三つの玉座があり、そこに三人の少女、いや少年か? が座っている。その見た目は《変身》スキルを使った俺やウルスラ、紫炎の魔女ソフィアなどの天竜族とそっくりだ。

 さらに、その三人を守るように武装した8人のメイド姿の女性が立ち塞がっていた。


 ここは何処だ? 彼女たちは何なんだ?


 俺たちの隣にいたクロアはメイドたちの前へと歩き、そして跪く。

「ついに八大迷宮が全て攻略されました」

 クロアが普通の喋り方で喋っただと!? って、いやいや、そこは驚く事じゃないな。クロアよりもメイド達の方が立場が上なのか?


「ちょうど、その場に居合わせた最多攻略者を連れてきました」

 最多攻略者、か。なるほど、最後の迷宮を攻略した者をここに連れてくるってワケじゃなかったのか。って、事は、クロアは俺が他の迷宮も攻略したということを把握している? 何だろう。俺の動きが監視されていたんだろうか。それとも、八大迷宮は攻略すると、その攻略者に何か印がつくんだろうか。例えばステータスプレートにマークがつくとか、さ。

 あー、そういえば、八大迷宮を攻略したらGPが貰えるもんな。やはり、何か分かるようになっているんだろうな。そっかー、そうだよなぁ。じゃないと、攻略しましたーって騙るヤツが出てくるしさ。バーン君の場合はさ、ちゃんと、あの場に居合わせたもんな。なるほどなー。


 にしても、メイドかぁ。まるで14型みたいだな。14型も戦闘する感じだけどさ、メイドを名乗っているもんな。

 俺が14型の方を見ると、その動きが止まっていた。フリーズしている? ま、まさか、驚いているのか? まぁ、14型は機械だもんな、作ろうと思って表情を作らないとさ、自然に顔が表情を作ったりはしないだろうから仕方ないな。でも、こんな完全にフリーズしている状態とか、大丈夫か?


 えーっと、まさか、本当に14型の同型機とか、無いよな?


 クロアの報告を受けたメイド達の中から一人が前に出る。そして、そのままクロアを無視し、こちらへと歩いてくる。


 長く伸びた艶やかな黒髪の、そのメイドは俺たちの前で止まり、スカートの裾を掴みお辞儀する。いや、そのスカートの腰に刀が刺さっているから、違和感が凄いんだけどさ。


 そして、黒髪のメイドが口を開く。


「私は0型。そこの14型の姉です。気軽にゼロとお呼びください」

 へ?


 え?


 やはり、というか。同型機?


 俺は14型と目の前のメイドを見比べる。目の前のメイドの方がポンコツ感がなく、大人びた感じだな。いかにもお姉さんというか。


 にしても、0かよ。試作機とか、そんな感じなのか。えーっと、俺の中の厨二魂が叫んでいるぜ、試作機が一番凄いってのは良くあるパターンだってなッ!

 こいつは油断出来ないぜ。

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