表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
9  名を封じられし霊峰攻略
792/999

9-47 名を封じられし霊峰三合目

―1―


 黒の鳥居以外――となれば、6分の1だな。二手に分かれれば、3分の1……でもさ、さっきの戦闘を経験してしまうと二手に分かれるのは推奨出来ないよなぁ。


 6分の1を選び取るか、いや、違うな。


「むふー、ランちゃん、このまま進むつもりですか?」

 進むつもりだけど?

「主殿、一度、休憩するべきだ」

 の、脳筋のミカンちゃんまで、どうしたことだ。


 確かに、さっきの戦いで体を食いちぎられたり、魔法をガンガン使ったり、そりゃあもう大変だったけどさ、傷は回復魔法で、消費したMPは、今も魔素を吸って回復させているし、すぐにでも元の状態に……あッ!


 そ、そうか。


 確かに俺は回復して元の状態に戻ろうとしているけどさ、シロネやミカンはそうじゃないんだよな。使ったMPや疲労は、そうだよな。俺基準で考えたら駄目じゃないか。


 確かに急ぐ、でも無理をすべきじゃないな。


『そうだな、ここは安全なようだ。ここで一度、野営しよう』

 なんだかんだで、もうすぐ夕方になりそうな時間だしな。はぁ、やはり迷宮は無駄に広いよなぁ。


「むふー、そうですよー、迷宮で無理は禁物ですねー」

「うむ、そうなのだ。命にかかわる」

「マスター、今回も私が食事の用意をするのです」

 いや、14型さんは食事の手伝いだけでいいからな。


 野営の準備をするか。


 俺が用意するのは木と火と水だな。ホント、魔法って便利だよなぁ。万能だぜ。




―2―


 翌日、野営を終え、出発の準備を行う。にしても、例の冒険者たちは来なかったな。ということはさらに先へと進んだか。あの冒険者たちの実力は確かなんだろうからさ、タッチの差で先に攻略されるってのだけは防がないとな。


 と言うわけで、だ。


 1日ロスしてしまったワケだし、俺もちょっと本気を出そう。


 ちょっとした思い付きだけどさ、多分、これで行けるはず。


 いくぜッ!


――《風の探求者》――


 スキルの発動により、周囲に漂っていた魔素が隠された情報をひもといていく。立ち並ぶ鳥居の先へと、風が、線が、伸びていく。


 俺が、俺の意識だけが、赤い風となって鳥居の先を、その先を吹き抜けていく。


 ……。


 道は――見えたッ!


 正解は橙の鳥居だったな。しかし、黒い鳥居の先には宝箱があったんだよなぁ。もしかして消える順番の鳥居には宝箱があるのか? うーむ、その先に進むのも魅力的だが、この先、どれくらいの広さが、長さがあるかもわからないし、急ぐべきか。


 むむむ。


「むふー、ランちゃん、ぼーっとして、どうしたんですかねー」

 ああ、そうだ。俺1人じゃないんだ、相談してみるか。

『いや、この鳥居、今回の正解は橙色の鳥居のようだ。しかし、黒い鳥居の先に宝箱があるようなのだ』

 俺の天啓を受けたミカンとシロネは驚きの声を上げる。


「さすがは主殿」

「むふー、どうやって正解を……相変わらず、ランちゃんはデタラメですねー」

 余り褒めるなよ、天狗になりそうだぜ。


「しかし、むふー、確かにそれは迷いますね。探求士として宝箱を、と言いたいところですが、今回は迷宮の攻略が目的ですからねー」

「ああ、主殿。迷宮の攻略を優先すべきだ」

 2人とも、先に進むべきって意見か。こういう時、14型さんは自分の意見を言わないんだよなぁ。聞けば、皮肉交じりにオススメを教えてくれるんだろうけどさ。

 いや、一応聞いてみるか。


『14型はどう思う?』

 俺の天啓を受けた14型が優雅なお辞儀し、作り物の笑顔を返してくる。

「マスター、私に意見を聞くまでも無いと思うのですが、それでも迷ってしまう優柔不断さはマスターの美徳だと思うのです」

 はいはい。


 先に進むか。


 これ、入った瞬間に正解が変わるとか、無いよな?




―3―


 橙の鳥居の先を、魔獣を倒しながら進み続けると、二つの鳥居が見えてきた。


 橙の鳥居と黒の鳥居。先へ進む道は黒の鳥居の方だろうな。


 黒の鳥居に入ると、またも広場に出た。


 そこに並んでいるのは6つの鳥居。アレ?


 火の紫、水の青、木の緑、金の黄、土の橙、風の赤。背後を振り返れば、黒い鳥居と白い鳥居が並んでいた。あー、そういう感じになるのか。多分、白をくぐれば一番最初のテントがあった広場、黒をくぐれば、さっきの、正解ルートだった広場って感じなのか。


 なるほど、なるほど。


 次は風の赤が除外だろうから、5分の1か。これ、進めば進むだけ楽になっていくんだな。最後が、火の紫、と。そういえば、ここ火属性の迷宮だったよな? 最終的には使える属性が火だけになるってワケか。そういえば、どこかの誰かの授業で八大迷宮は使える属性が少ないって言っていたような気がするなぁ。


「むふー、本当に正解だったんですねー」

 シロネ先生は疑い深いなぁ。もっと俺を信用して欲しいぜ。

「さすが、主殿」

 そして、この何も考えてなさそうなミカンちゃんの言葉。さすがは脳筋だぜ。


 さあ、サクサクと進むぜッ!


――《風の探求者》――


 スキルの発動により、俺の意識が風となり、鳥居の先へと吹き抜ける。しかし、緑の鳥居をくぐった瞬間にスキルの発動が解除された。


 アレ?


 ……。


 あ、まさか。


 次って風が消えるんだよな? スキルの発動自体は真紅妃がいるから問題無いけどさ、その鳥居を抜けた先は……そういうことかよッ!


 次の正解は緑だろうけどさ、その先は、また運試しか。


 ま、まぁ、少しだけでも楽できたと思うべきか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ