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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
9  名を封じられし霊峰攻略
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9-46 名を封じられし霊峰二合目

―1―


 地中を滑るように大口がこちらへと駆けてくる。おー、凄い勢いだ。


――《魔法糸》――


 《魔法糸》を飛ばし、大口の突進を回避する。大口は、その大きな口で大地を削り、噛み砕く。怖いなぁ。これは遠くから魔法でチクチク頑張るか。


――[アイスランス]――


 俺の手から生まれた木の枝のように鋭く伸びた氷の槍が大口へと突き進む。さあ、氷の槍を喰らいやがれ。


 大口が大きく跳ね、氷の槍を躱し、そのまま大口で噛み砕く。うお、意外と機敏ッ!


 となればッ!


 槍形態のスターダストを踏み台にして、上空へと飛び上がる。ここからのッ!


――[アイスランス]――


 氷の槍が、


――[ファイアランス]――


 炎の槍が、


――[ウッドランス]――


 樹の槍が、


――[アクアランス]――


 水の槍が、


――[アシッドランス]――


 酸の槍が、


――[ダークランス]――


 闇の槍が、


 大口を囲むように6つの槍が生まれ、逃げ道を塞ぐように四方八方から襲いかかる。これで、どうだッ!


 大口が、その口を大きく開き、前方から迫る魔法の槍を喰らう、喰らい続ける。しかし、その後ろからアシッドランスとダークランスが炸裂する。ふぁふぁふぁ、魔法の槍は全方向から囲むように発動させたからなッ!


 大口の体皮がボコッと削れ落ちる。しかし、すぐに肉が盛り上がり、傷を治していく。うわぁ、こいつ、再生持ちかよ。結構、キツい相手だな。


 再生持ちの時はッ!


――[アイスコフィン・ダブル]――


 二重に強化された氷の棺が大きな口を押さえ込んでいく。よし、このまま消滅させろ。


 大口から大きな咆哮がとどろき氷の棺を震わせる。へ? いやいや、まさか。


 氷の棺にヒビが入り、そのまま砕け飛ぶ。あー、もうね。もっと弱らせないとダメか。


 しーかーたーねーなー。


――[ハイスピード]――


 風の衣に包まれ、そのまま走り出す。俺の前方に上下から迫る赤い線が何本も走る。それを避け、前、前へと突き進む。

 素早く背後に回り込むが、それを見越していたかのように大口の体が回る。早いッ! しかし、だ。


 俺はもっと早いぜッ!


 さらに回り込む。大口の体が回る。


――[アイスウォール・ダブル]――


 氷の壁が生まれ、大口の回転を止める。しかし、それすら噛み砕き、振り返る。いーやッ! 遅いねッ!


――《Wインフィニティスラスト》――


 真紅妃とスターダストから無限の螺旋が放たれ、大口の体を削り、えぐり取る。大きな口はその上顎を失い、そのまま崩れ落ちた。


 やったか!?


 しかし、残った下顎部分から肉が盛り上がり、体を再生し始める。まぁ、そうだよな。俺もやってないと思ったから、やったかって言ったわけだしさ。


 でも、これで終わりだぜ。


――[アイスコフィン・ダブル]――


 二重に強化された氷の棺が残された下顎を押さえ込んでいく。そのまま小さく、小さく閉じ込めていき、そして、消滅した。


 いやぁ、なかなか危険で強い魔獣だったな。これ、半端な冒険者なら太刀打ち出来ないよな? あの冒険者連中、偉そうな事を言うだけはあるのか。


 さあて、これでミカン達を待ちますか。


 ……。


 ん?


 広場の各所に光の粒子が集まり始めていた。


 んん?


 そして、光が集まり、巨大な口が生まれた。広場の各所から次々と巨大な口が生まれていく。いやいや、いや、あの、これ冗談だよな?


 一匹倒すのでも結構、大変だったんだぞ。


 えーっと、一、二、三……八体っと。マジか。聞いてないぞ。何だよ、これ。


 生まれた大口たちが、その大きな口を開け、こちらへと襲いかかって来る。


 マジ、かよッ!


 ……。


 ……。


 えーい、やってやるぜッ!




―2―


「主殿、お待たせしました」

 うむ、すげぇ、待ったよ。

「むふー、ランちゃん、疲れてますか?」

 ああ、疲労困憊だよ……。


「マスター、無理をせず休憩する事を推奨するのです」

 珍しく14型さんが優しい。いや、でもな。

『いや、先に進もう』

 そう、急いでここから離れるべきだ。


「むふー、どういうことです?」

『進んでから説明するぞ』

 とりあえず先に進むべきだよな。


 シロネは、何か言いたそうだったが、それでも、それを飲み込み頷く。


 皆で白い鳥居をくぐると、そこは最初の場所と似たような広場だった。


 並んでいる鳥居の数は7個。白い鳥居が消えている。いや、消えているというのは間違いだな、白い鳥居は並んでいる7個とは別の場所、広場の端っこに立っていた。多分、あそこをくぐれば元の場所に戻れるのだろう。


 と言うわけで1個目、突破か。


 例の冒険者たちの姿は見えないな。さらに先へと進んだか。

「むふー、ランちゃん、どういうことです?」

 まぁ、ここなら安全だろう。

『あの場所は、どうも留まり続けると強力な魔獣が召喚されるようになっているようだ』

 しかも無限に、な。多分、裏技的な居座りへの対策なんだろうな。居座り続けたものを制裁するって感じで本来の生息している魔獣以上の強さの魔獣が召喚されるようになっているんだろう。最初、一匹だったのが、倒したら次々と現れるようになったのも居座り対策だから、だろうな。


 ホント、俺じゃなかったら死んでるぞ。シロネ、分身体、14型のチームだったら、と思うと、ああ、考えたくないな。

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