表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
9  名を封じられし霊峰攻略
790/999

9-45 名を封じられし霊峰一合目分岐路

―1―


 俺とミカンは青色の鳥居を、シロネ達は緑色の鳥居を選び、くぐり抜ける。


 並んでいる8個の鳥居の色は、この世界に存在する属性と一緒で、紫、青、緑、黄、橙、赤、黒、白の八色だよな。てっきり、その色に対応したエリアが続いているのかと思ったら、そんな事もなかったし、色の順番で正解が決まるのかと思ったら、そんな事もなかったなぁ。


 さてと、中は、さっきと同じかな?


 鳥居の中は岩肌の剥き出しとなった山道に、まばらな木々、その先は白い霧に覆われている。そう、先程と変わらぬ風景だった。うーむ、外れかな?


 って、あれ?


 気のせいかな? ちょっと数えてみよう。


 俺の周囲を漂っている魔素の色を数えてみる。火の紫、水の青、木の緑、金の黄、土の橙、風の赤、闇の黒……あれ? 光の白色がない。白い魔素が漂っていないぞ? さっきの場所は漂っていたよな? もしかして、これはきたんじゃないか? 風景は同じ感じだけどな。

『ミカン進むぞ』

「うむ。主殿、露払いは任せて欲しい」

 こと、戦いにおいてはミカンちゃん、ホント頼りになるなぁ。


 山道を進み続けると、またも羽音が聞こえてきた。蝿かなー?


 現れたのは巨大な翼を持ったトカゲだった。って、竜かよッ!


 とりあえず弓で撃ち落と……はっ、弓がない。弓と矢を14型に持たせたままだった。あー、《スイッチ》スキルで保管しておけば良かったッ!


 何か効果的な魔法は、と。あいつが火属性だとしたら、うむ、今、俺が習得している中にはなさそうだな。


 空飛ぶ蜥蜴の口から紫の炎がほとばしる。


 ミカンは空飛ぶ蜥蜴の正面に位置し、腰の刀に手をやる。


――[アシッドランス]――


 俺は酸で作られた槍を生み出し、紫の炎をまき散らす蜥蜴に投げ放つ。酸の槍が蜥蜴の羽に当たる。飛んでいた蜥蜴は浮力を失い、錐揉みしながらこちらへと突っ込んでくる。


 ミカンの片方の目が大きく見開かれる。そして、そのまま刀を抜き放つ。


――《無拍子》――


 一瞬でミカンと蜥蜴の間合いがつまり、そのまま真っ二つに切断され吹き飛んでいく。相変わらず戦闘能力だけは高いなぁ。魔石まで真っ二つにしたのはやり過ぎだと思うけどな!


 まぁ、でもさ、現れる魔獣もこの程度なら、二人でも苦労せずに進めそうだな。多分、シロネの方も大丈夫だろう。




―2―


 現れる雑魚魔獣を蹴散らしながら進み続けると、二つの鳥居が見えてきた。やはり、結構な距離があるなぁ。足の速い俺とミカンでも、先程と変わらない時間って結構大変な迷宮だな。もう、これだけで4時間だもん。ここも不正解だったら、もう休憩って感じだったな。


 にしても、鳥居が二つって、これ、間違いなく正解ルートだったって事だよな。二回目で正解か。まぁ、4分の1の確率だし、こんなもんか。


 鳥居の色は、青と白、か。これ、多分、青い鳥居が戻る方で白い鳥居が進む方だよな。


『ミカン、すまないが青い鳥居から戻ってシロネたちを呼んで来て欲しい』

 俺の天啓を受け、ミカンが頷く。

「主殿、行ってきます」

 はい、頼みます。


 ミカンが青い鳥居の中へと消えていく。これさ、見れば見るほど思うけどさ、台座の転送と同じ感じで、どこかに転送されているんだろうな。


 にしてもさ、この正解ルートを固定する為に俺が残る必要があるってのがなぁ。パーティメンバーの誰かが残る事によって正解ルートを固定化させるってさ、何というか裏技的な攻略法だよな。本来は運で乗り越える感じなのかな。いや、待てよ。


 ここさ、白色の魔素が消えていて、次へ進む為の鳥居の色が白ってことは……? もしかしてさ、白い鳥居が正解になることって無いんじゃないか? となれば、正解の確率は7分の1。1個除外できるだけでも大きいよな。それに一番最初が白って事は、次は黒なんじゃないか? 属性の逆順でさ。この鳥居ルーレットが次もあるっていうなら、黒以外って可能性は高そうだな。ふむふむ、楽しくなってきたぜ。


 さあて、さて、俺はミカン達が戻ってくるまで待ちますか。


 ミカン達が戻ってくるまで、か。シロネが順調に進んでいれば、同じくらいの時間だろうし、そこから、この場所まで、だから……2、3時間ってとこか。それまで暇だなぁ。


 何して待ってようかな。


 俺が手持ち無沙汰のまま待っていると、この二つの鳥居のある広場へ続く道、先程、通ってきた道を塞ぐように光の粒子が集まり始めていた。何だ、何だ? 何が起ころうとしているんだ?


 そして、光が集まり、巨大な口が生まれた。何だ、こいつ?


 ワニのように牙の生えた巨大な口、そして、その大きな口に手足が生えただけの魔獣。口だけで生きているかのような存在感だな。こいつが居たら、来た道が戻れないな。まぁ、鳥居をくぐるだけなんだから、来た道を戻る必要は無いんだけどな。


 ……って、いやいや、そうだった。俺はミカン達が戻って来るまで待たないと駄目じゃん。ってことは、こいつと戦わないと駄目って事か。


 巨大な口が歯を噛み鳴らし威嚇する。こいつ、強いのかな?


 巨大な口が大口を開けて、こちらへと迫る。い、意外と早いッ!


――[アイスウォール・ダブル]――


 突進してきた大口の前に氷の壁が生まれる。しかし、大口は氷の壁をものともせず噛み砕き、そのままこちらへと迫る。俺の強化した氷の壁があっさりかよ。こいつ、さっきまでの魔獣と比べものにならないぞ。


 強敵だ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ