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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
9  名を封じられし霊峰攻略
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9-37 名を封じられし霊峰力の泉

―1―


 シロネとミカン、14型と羽猫、俺と分身体の順番で3時間交代の夜番を行うことになった。14型の時が不安だが、羽猫が一緒ならサボって寝るとか、そういうこともないだろう。にしても、6時間睡眠かぁ。長すぎるような短いような。


 シロネが簡易的な寝床を作り、その周囲に変な匂いのする粉を振りまいていく。

「迷宮内ですから、むふー、効果は無いかもしれませんが、一応ですねー」

 えーっと、確か、魔獣避けの粉だったか。シロネのこういうマメなとこ、ホント、凄いと思うよ。


『では、先に休ませて貰う』

 まぁ、寝るか。


 むにゃむにゃ。


 と、誰かが俺の肩を叩く。いや、今の俺には肩がないからッ!


 って、うん?

「マスター、自分で決めたことも守れないのは王者の特権だと思っているのですか?」

 14型!?


 あ、ああ。


 そうか。


『今、起きた』

 あー、野営の途中だったか。

「マスター、お目覚めですね。私は眠る必要がないので、このまま夜番を続けても良いのですが?」

 いやいや、お前、いつも寝てるよな、寝てるよな?

『いや、大丈夫だ。お前たちも休め』

「マスター、了解です」

「にゃう」

 さ、では一人で――いや、分身体と二人で頑張りますか。ま、何も起こらないと思うけどさ。


 そして、何事も無く朝を迎える。


 うむ、何も起こらなかったな。


 さあ、皆を起こしてまわるか。


「あ、ああ。主殿、朝ご飯の時間なのだな」

 いや、俺、用意してないからな。

「むふー」

 ミカンとシロネ、二人とも冒険者だからか、寝起きがいいな。それに対して冒険者ではない眠る必要が無いと言い張るロボメイドの寝起きは悪いけどな。


 俺が14型のツインテールを引っ張ると、眠っていた14型が跳ね起きた。

「マスター、敵襲です」

 いや、敵なんていないからな。


 と、そうだ。


――[クリーン]――

――[クリーン]――


 シロネとミカンにクリーンの魔法をかける。


「あ、あの、主殿、いや、あの、心遣い感謝します、する」

 何故かミカンは照れていた。

「むふー、ランちゃん、私が汚れているって言いたいんですかねー」

 シロネがジト目で睨んできた。いやいや、気を利かせただけじゃん。さっぱりするかなぁって、さ。


『さあ、先を急ごう』

 そうそう、雨期の間に攻略する必要があるんだからさ!

「ランちゃん、むふー、誤魔化しましたか」




―2―


 自然の迷宮と化した森の中を進んでいく。途中、ジャイアントリザードに騎乗したリザードマンが現れたので、ゴールデンアクスを持たせた分身体で戦ってみることにした。


 相手に対抗するよう俺の背に分身体を乗せる。そのまま駆けるぜ。


 ジャイアントリザードに騎乗したリザードマンが長剣を振り回し、こちらへと駆けてくる。俺と分身体も駆け抜け、そのすれ違いざまに黄金の斧を振り回す。黄金の斧がリザードマンの長剣を打ち砕き、そのまま突き抜ける。俺と分身体が駆け抜けた後には、上下に分かれたリザードマンが転がっていた。

 そして、騎乗していた主がいなくなったことに気付かず、そのまま駆けていたジャイアントリザードをミカンの長巻が真っ二つに切断する。


 ふむ、今の俺なら、分身体でも普通に、この重たいはずのゴールデンアクスを持てるな。この重たさと切れ味、意外と良い武器かもしれないな。でも、斧なんだよなぁ。斧だぜ、斧。斧って三下が持っているイメージが強すぎてなぁ。三すくみのはずなのに、普通に他の武器に負けるのが斧だよなぁ。まぁ、だからこそ、良いのかもしれない。弱武器を使いこなしてこそ、だよな!


「ランちゃん……。むふー、いつの間にかノアルジーさんが増えているし、いつものようにライドしているし、もう考えるのが馬鹿らしくなってきますねー」

 俺たちの戦いを見ていたシロネが大きなため息を吐いていた。


『このまま進もう』

 俺の天啓にシロネは再度、ため息を吐いた。

「魔獣の多い方にですねー。むふー、分かってると思うんですけどねー、多分、道が違うと思うんですよ」

 いやまぁ、うん。俺もさ、多分、この魔獣が多い方のルートって外れなんじゃないかなぁって思ってるよ。思っているけどさ、ここまで来たら、最後まで行きたいじゃないか! そう、急いでいるよ、確かに急いでいる。しかし、だ。世の中には急がばまわれって言葉があるじゃないか!


 さらに俺たちは魔獣の多い方へと進んでいく。


 途中、騎乗したリザードマンだけではなく、鎧を着込んだ個体、盾と長槍をもった個体など、様々な種類のリザードマンが現れるが、それらを難なく蹴散らして進んでいく。


 そして、石柱の立ち並ぶ大きな広場に出た。広場は半分ほど、足下が浸かる程度の水溜まりになっており、そこにリザードマン達が並んでいた。


 広場の一番奥には王冠をかぶったリザードマン。そして、そのリザードマンを守るように鎧と盾、剣と槍を構えたリザードマンたちの姿が見える。えーっと。


「むふー、ランちゃん、どう見ても行き止まりですねー」

「主殿、あれが親玉であろう」

「マスターの寄り道には、私には想像出来ない深い考えと深い思惑があると思うのです。ただ、引っ込みがつかなくなって仕方なく行けるところまで行ってみようとやけくそになったようにしか見えないのですが、そう、とても深い深い深淵な思惑があると思うのです」

「にゃ、にゃ」


 ……。


 えーっと、あれだよ。


『と、とりあえず、あれを倒すぞ』

 そうだよ、倒そう。それで道が開けるとかあるかもしれないじゃないか!

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