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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
9  名を封じられし霊峰攻略
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9-4  フミコンの頼み事だ

―1―


 城内を歩きフミコンの部屋へと向かう。


「おおう、ラン王、ご足労申し訳ないのじゃよ」

 少年の姿をしたフミコンが、こちらに気付き片手を上げる。


『用件を聞こう』

「まずはこれじゃのう」

 フミコンが机の上に置かれたコンパクトを持ってくる。


「もう問題無く転送出来るはずじゃ。さらに! ステラ女王のお力を借りて結界越えも可能にした一品じゃ!」

 おー、結界を越えることが出来るようになったのか、それは凄いな。それなら八大迷宮『二重螺旋』のある島からでも戻ってくることが出来るな。うーむ、もう少し早く欲しかったなぁ。

『それは素晴らしい。ちなみにだが、量産したり、転送する場所を変えたりは出来るだろうか?』

 俺の天啓を受け、フミコンは大きく息を吐きながら首を横に振った。

「無理じゃのう。以前にもお話ししたと思うんじゃがのう、この城に埋まっている杭を起点としておるからのう転送先は選べぬよ。量産するにしても、こんばーたぁは残ってないと思うしのう」

 専門家のフミコンが無理っていうなら無理なんだろうな。まぁ、無理なモノはしゃーないか。


『用件はそれだけか?』

 フミコンが真剣なまなざしで俺を見る。

「ラン王に頼みたいのはのう、これを使って、パンデモニウムから残った同胞を連れてきて欲しいのじゃよ」

 あ、なるほど。魔族の本体って、無駄に大きかったり、自分では移動が出来なかったり無茶苦茶だもんな。


『分かった。しかし、誰が彼らの面倒を見るのだ? さらに彼らが住む場所の問題もある』

「なんじゃ、聞いておらぬのか?」

 フミコンは俺の天啓を受けて、大きなため息を吐いていた。ええ、聞いてませんとも。


「この城の西側に施設を作って貰っておるのじゃ。そちらは完成済みじゃ!」

 へ、へぇ。俺、そんな話、まったく、一度も、聞いてないんだけど、初耳なんですけどー。俺、一応、この国のトップなんだよな? うーむ、下が有能すぎて、俺が完全にお飾りなんですけどー。

「ただ、そうじゃのう、これもラン王に頼まねばならぬのじゃが、同胞と一緒に機械人形も運んで欲しいのじゃよ」

 機械人形?

「壊れるまで半永久的に動く、メイドのような存在じゃよ」

 へー、有能な14型って感じか。

「ラン王の連れておる14型にコードは教えておるでのう、問題無いはずじゃ」

 コード? ま、まぁ、14型を連れていけば問題ないんだな。


『分かった』

 まぁ、魔族の受け入れは俺が言い出したことだし、問題無いな。ステラが学院で学生をやってる間にやってしまうのは少し不安だが、まぁ、大丈夫だろう。


 さ、ついでにクリスタルドラゴンも狩って、Bランクだな!




―2―


『エミリオ、頼む』

 俺の天啓を受け、エミリオが、その姿を大きな羽の生えた獣へと変えていく。おー、でかい、デカい。2、30メートルクラスか?

 何だろう、猫ぽいんだけどさ、今の姿だと毛の生えた竜というか、そんな感じだな。まさしく神獣って言葉が相応しい神々しい姿だな。ホント、こいつも成長したもんだよ。


「にゃう」

 エミリオが首を曲げ、こちらを不思議そうに覗き込む。その姿でも鳴き声はにゃう、なんだな。いや、もしかして、鳴き声じゃないのか? うーむ。


「体を下げるのです。そのままではマスターの小さな足ではよじ登ることが出来ないのです」

 何故か、14型が俺の体を持ち上げようとする。いやいや、俺には《飛翔》スキルがあるし、《軽業》スキルもあるからな。自分で登れるから!

「にゃ、にゃ」

 エミリオが面倒臭いなぁ、とでも言わんばかりに手を振り払う。14型が、振り払われた手を回避する。

「私を狙ったのですね。この立場を弁えぬ……」

 14型とエミリオは仲がいいのか悪いのか。端から見ているとじゃれついてるようにしか見えないな。ま、いいや。


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使いエミリオの背中に乗っかる。おー、広々だなぁ。これだけ大きくて広いとさ、ここに櫓とかを置きたくなるな。あー、でもエミリオが元の小さな姿に戻った時が困るのか。お前が常にこのサイズだったならなぁ。

「マスター、待って欲しいのです」

 14型さんが、シュタッとでも擬音が付きそうな感じで、俺の背後に着地する。ホント、忍者みたいだな。このロボメイドは、いつの間にか忍者にクラスチェンジしているよな。


『14型、準備はいいな? エミリオ、頼む』

 俺の天啓にエミリオが応える。

「にゃあああ!」

 周囲を震わせる大きな声で鳴き、その翼をはためかせる。これ、ちょっとした魔獣なら、これだけで倒せるんじゃないか?


 そして、空へと舞い上がる。おー、早い早い。前のサイズでも充分早いと思ったが、このクラスまで来ると別格だな。世界を狭く感じてしまう早さだぜ。

 これなら八大迷宮『二重螺旋』までも、あっという間だったかもなぁ。まぁ、そこを攻略して手に入れた力だから、言っても仕方ないんだけどさ。


 エミリオが飛び続け、『世界の壁』を越える。おいおい、こいつ結界を素通りしやがったぞ。何か、そんな力を手に入れたのか?

 もしかして八大迷宮『二重螺旋』で手に入れた《ライトウィング》ってスキルだろうか? まぁ、分からないけど、結界を無視出来るのはいいことだ!


「マスター、食事の用意が出来たのです」

 14型さんが、ポンちゃんとタクワンが作ってくれたお弁当をひろげる。いやぁ、飛びっぱなしのエミリオには悪いけど美味しそうだな。


 もしゃもしゃ。


 エミリオの力か、周囲の吹雪もここまでは届かないしさ、快適、快適。


『エミリオ、このまま、パンデモニウムのさらに南にある竜の墓場まで頼む』

「マスター、まさか、気が付いていないとは思いませんが、到着予定時刻頃には日が落ちそうですが、よろしいのですか?」

 あー、吹雪で時間が分からなかったけど、そんな時間になってしまうか。うーむ。その手前のパンデモニウムで一泊するか?


 いや、俺は疲れてないし、大丈夫だろう。俺の、この今の体だとさ、夜通し活動しても、そこまで疲れるわけじゃないしな。

『いや、このまま進む。今、休憩をし、そのまま攻略してしまおう』

 ささっと終わらせるに限るぜ!

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