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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
8  二重螺旋攻略
739/999

8-87 二重螺旋最終螺旋

―1―


 扉を開けると、そこは、もう何度も見た――見飽きた部屋だった。


 二つの扉、その間に挟まるようにスフィンクスの像。お前の顔も見飽きたぜ。


 スフィンクスもどきに近付くと、その口が開いた。

「さて、問題です」

 何が問題だ、こんちくしょー。この謎を突破出来ないのが問題だよ!

「最初は4本足、やがて2本足になり、最後は3本足になるものは?」

 おいおい、その問題、3回目だよ! これは、そろそろ問題のストックが切れてきたのか?


「答え、普人族はこちら」

 スフィンクスが左足を上げる。俺から見ると右だな。

「答え、普人族はこちら」

 スフィンクスが右足を上げる。俺から見ると左だな。


 ……。


 って、おーい! 答えが同じじゃないか! これは何だ? このスフィンクス像に悪い虫でも入って壊れたのか? この像も機械ぽいからなぁ。こういう故障もあるか。


「右へ進んでくれ給えよ」

 フミコン通信機からの声は右に進めと言っている。右なぁ。適当に右に進めとか言っているんじゃないか? 大丈夫か?


 俺たちは右の扉を開け、その先に進む。扉の先は、いつものように右回りの下へと続く螺旋階段になっており、いつものように降りていく。


 ……。


 そして、スフィンクスが居た部屋と同じような扉が見えてきた。ふむ、今回は騎士鎧が現れなかったな。


 扉を開けると、そこは、もう見飽きた、見飽きすぎた部屋だ。


 スフィンクスもどきに近付くと、その口が開いた。

「さて、問題です」

 今度は壊れていないだろうな?

「八大迷宮『世界樹』で使用可能な属性は?」

 えーっと、何だったかな。というか、あそこって殆ど使用可能だったような……。


「答え、水属性はこちら」

 スフィンクスが左足を上げる。俺から見ると右だな。

「答え、風属性はこちら」

 スフィンクスが右足を上げる。俺から見ると左だな。


 ……。


 これさ、両方使えるよな。俺はそこに住んでいたから知っているけどさ、両方使えるぞ。じゃないと、俺の氷魔法が使えないもんな。


「次も右に進み給え」

 また、右ですか。ホント、適当に言っているんじゃないか?


 まぁ、言うとおりにしますがね。


 右の扉を開けて進む。


 そして次の部屋へと進む扉が見えてきた。あれ? 騎士鎧が出てこなかったな? これは、もしかしてループを抜けたか?


 しかし、扉を開けた先はスフィンクスの像がある部屋だった。攻略したかと思ったが、儚い夢だったな。


「では、問題です」

 知ってる、知ってる。

「レッドイーターが無効化する属性は?」

 聞いたことの無い魔獣だな。レッドって言うくらいだから、風か?


「答え、風属性はこちら」

 はいはい、右の扉な。

「答え、土属性はこちら」

 はいはい、左の扉な。


 これは右かなぁ。

「左に進み給え」

 へ? 左、なんだ。まさか、適当に言ってないか? 右を続けすぎたから、左にしてみようって感じでさ。

 まぁ、一応、左に進むけどさ。


 左の扉を開けて進む。見飽きた螺旋階段。ただ、今回も騎士鎧は現れなかった。まさか、正解?


 しかし、扉を開けた先は、スフィンクスの像がある部屋だった。あー、やはり続くんですね。これ、やっぱり何かさ、左右の扉を抜ける以外の脱出方法があるんじゃないか?


「さて、問題です」

 もう問題はお腹一杯だよ。

「ゴブリンキングが……」

「右に進み給え」

 スフィンクスのリドルを遮るようにフミコン通信機から声が発せられる。おいおい、まだ問題の途中だぞ。


 まぁ、右に進むけどさ。これ、分かんなくてヤケになっているとか、適当に言っているんじゃないだろうな?


 右の扉を抜けて進む。そして、いつもの扉だ。まぁ、今回も騎士鎧は出なかったけどさ。


 扉を開けて中に入る。そこは……うん、スフィンクス像のある部屋だな。


 近付けば、いつものようにスフィンクスが口を開く。

「では、も……」

「左に進み給え」

 って、おい! まだ問題が出題されてもいないぞ。何だ、問題を聞くまでもないとでも言うのかよ。


 まぁ、左に進むけどさ。


 左の扉を抜けて進んだ先は、いつもの扉だ。はい、また、ここー。


 そして、スフィンクス像。

「さて、も……」

「右に進み給え」

 ホント、この人、問題を聞かないんだな。


 まぁ、進むけどさ。


 その後もフミコン通信機の言葉に従い扉を選択する。


 そして、八部屋目を抜ける。


 その俺の目の前に、違う光景が広がった。


 そこは、何個も連なった四角い塊が描かれた巨大な両開きの扉と、その下に転送の台座が置かれた部屋だった。突破、出来た?


 何でだ? どういうことだ?


 俺には適当に進んでいたようにしか思えなかったぞ?

「どういうことだ?」

「ふむ。その様子では無事突破出来たようだ」

「あ、ああ」

 俺は分身体で、そう返事をするのがやっとだった。


「何、推理ですらない、簡単な思考の切り替えだよ」

 向こうの人間は、それだけ言うと満足したのか、フミコン通信機の通信が途絶えた。思考の切り替え? よく分からん。


 で、結局、答えは何だったんだよ!


 気になるじゃないかよ!


 教えてくれてもいいのに!


 俺、結局、分からなかったじゃないか!

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