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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
8  二重螺旋攻略
722/999

8-70 餞別の品ください

―1―


「もう! 何で、失格になってるんですのぉ!」

 張り付けられた結果を見ていた分身体に何処かで聞いたことのある声がかけられた。振り返れば、そこには懐かしい豪華な髪型があった。

「やあ、エミリア」

 エミリアの手には何か鎖の巻き付いたメダルのようなモノが握られている。

「もう、やぁ、ではないのですわ!」

 今日も元気でもりもりな髪型です。それが、ぐわんぐわんと横に揺れている。

「ところで、その手に持っているモノは?」

 分身体の言葉を聞いたエミリアは、メダルを隠すように胸元へ握り込む。

「もう! 気付いていたんですのね。こ、これは、別に、ノアルジーさんに渡す為に取ってきたわけじゃないんですからね」

 あ、はい。


 とりあえず、こっそり鑑定してみようかな。


【初心の護符】

【初心者用の護符。魔法の威力を気持ち高めてくれる】


 あー、これ、初心者シリーズなのか。でも、これがどうしたんだろうか?

「初心者の護符、か。それは、どうしたんだ?」

 分身体の言葉にエミリアは口を尖らせていた。

「もう! 気付いていたんですのね。これは、ちゃんと私が自力で取ってきた物ですわ。ノアルジーさんが、卒業試験を受けると聞いて、私も負けてられないと思ったのです。だから、本来の卒業試験と同じように森の小迷宮を攻略して、この護符を手に入れてきたのです!」

 あー、本来は、これを手に入れるのが卒業試験なのか。だから、初心者シリーズなんだな。


 あ。


 もしかして、俺が卒業試験を受けていた時にエミリアがいなかったのって、これを取りに行っていたからなのか……。


「べ、別に、卒業したら会えなくなるかもしれないノアルジーさんの餞別の為に、取ってきて……そうですわ! 別にノアルジーさんに差し上げる為に取ってきた訳じゃありませんのよ」

 エミリアは豪華な髪型を揺らしながら必死に否定している。

「くれないのか?」

「差し上げたり――そんなことしませんわ! だって、これを渡してしまったら、ノアルジーさん、卒業を待たずに消えそうですもの! そんな勝手、させませんわ!」

 う、うむ。そうだよなぁ、もう、この学院に通う必要性が殆どないし、クールに去るのもありかなぁって思っていたんだよな。


 まぁ、でもさ、何か急ぐ用事があるワケでも無いしな。


「ちゃんと卒業まで顔を出すよ」

「約束ですのよ!」

 豪華な髪型のエミリアはぷいっと横を向いている。


「そうだな。その時は、その餞別の品、くれるんだろう?」

「もう! ノアルジーさまはずるいですわ」

 最後の方は独り言のように小さな声だった。


 はぁ、まぁ、これで当分、学院での用事は無くなった感じかな。たまに月一の試験を受けて、卒業まで退学にならない程度に頑張るだけか。


 うん、これで、心置きなく八大迷宮『二重螺旋』に挑めるな。何だか、国を作ったり、魔王討伐をしたり、回り道ばかりしていた気がするなぁ。




―2―


 さてと、八大迷宮『二重螺旋』の攻略開始だな。ナハンにあるっていう、もう一つの八大迷宮の方は、雨期にしか挑戦出来ないらしいからなぁ。となると、必然的に、こちらからの攻略ってなるわけだ。


 で!


 で、だ。


 問題はどうやって行くか、何だよなぁ。


 えーっと、確か八大迷宮『二重螺旋』は、このグレイシアからだと、遙か北西、海に浮かぶ島なんだよな?


 周囲は断崖絶壁に囲まれていて、船では侵入出来ない。空から、侵入する必要がある島っと。その島にあるのが八大迷宮『二重螺旋』だよな。


 さて、問題は、どうやって島に上陸するか、なんだよなぁ。


 一つはファット船長のネウシス号で空から普通に。


 二つは大きくなった神獣状態のエミリオで乗り込む。


 三つ目は俺が《飛翔》スキルや《浮遊》スキルで頑張る。


 ……。


 まぁ、三番はないな。だって、俺が疲れるもんな!


 二つ目はさ、エミリオが、どれだけの長距離を飛べるかって問題があるんだよなぁ。結構な距離があるだろうからなぁ。まぁ、島に着いてしまえば、後は《転移》スキルなりで自由に出来るんだけどさ。


 となると、ファット船長のネウシス号に頼るのが一番なんだよなぁ。でもさ、ファット船長の空飛ぶ船は、俺の国の交易の要だからさ。魔法学院の試験を受ける為に無理を言って一週間以上穴を開けてしまったし、ちょっとこれ以上はなぁ。


 ホーシアから船を借りて、近くまで連れて行って貰って、そこからエミリオなり、俺の《飛翔》スキルを使うなんてのも有りか。いや、でも、出来れば、俺の国の中だけで、知っている人たちの間だけで、こっそり攻略したいんだよな。


 うーん。


 うーむ。


 よし!


 とりあえず、エミリオの神獣化で行けるところまで行ってみるか! それで無理そうなら、ファット船長に泣きつくってことで。


 うん、そうしよう!


 となると人員は最小限の方がいいか。


 俺1人でもいいけど、うーむ。連れて行くとしたら、頼りになるのはキョウのおっちゃんやソード・アハトさんだよなぁ。でもさ、あの2人は国のことを任せているし、他に空いてそうなのは、暇そうなのは、ミカンと14型か……。


 両方、微妙に脳筋だからなぁ。でも、それでもまぁ、戦闘なら頼りになるのはミカンだけどさ、汎用性なら14型なんだよな。14型、あれで、一応、メイドだしさ。そうなると、14型かなぁ。


 よし、俺と14型とエミリオで頑張ってみるか。


 そうと決まれば、ポンちゃんにお弁当を沢山作って貰わないと、だな!

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