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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
8  二重螺旋攻略
720/999

8-68 予想外なのだった

―1―


 分身体は何かの精神的な攻撃を受けたのかな? 余り近付くのは得策じゃないかもしれないな。


 俺が分身体の状況と周囲の様子を観察していると、倒れている分身体の、ちょうど真下の床が開いた。へ? 落とし穴?


 じゃなくてッ!


――《魔法糸》――


 《魔法糸》を飛ばし、今にも落とし穴へと落ちようとしている分身体を回収する。危ない、危ない。

 俺が分身体を回収したからか、落とし穴がゆっくりとふさがっていく。ホント、危うく、俺の分身体がボッシュートされるところだったよ。

 にしても、ここだけさ、妙に闇の属性の靄が多いな。もしかして、闇魔法か何かが発動するようになっているのかな?


 となると!


 取り出しますは、じゃじゃーん、白と黒の仮面です。


 ……。


 ホント、仮面をつけた芋虫ってどうなんだ? ま、まぁ、考えても仕方ない。これをつけてどうなるか試すだけだな。

 《魔法糸》で分身体を背中に結びつけてっと。


 それじゃあ、進みますか!


 白と黒の仮面をつけた状態で恐る恐る分身体が倒れていた場所へと踏み込む。しかし、何も起こらない。そのまま進む。


 よっし、無事に通過出来たな。


 多分、俺より前に挑戦したダンソン、メディア、テス、ステラの4人は、このトラップに引っかかって落とし穴に落ちていったのかな? もしかするとさ、以前に迷宮都市で踏破した試練の迷宮のことを考えると、そっちの方が正解ルートかもしれないんだけどさ。


 そのまま進むが、やはり4人の姿は見えない。


 そして、大きな両開きの扉が見えてきた。うーむ、何処かで見たことがあるようなデザインの扉だな。


 俺が両開きの大きな扉に触れると、扉が――まるで錆び付いていたのかのように、大きな悲鳴を、金属と金属が擦れるような音を立てて内側へと開いていった。

 おー、オートで開くとかハイテクだねぇ。


 部屋の中は――中央に置かれている燭台に火が灯っているからか、充分な明るさがあった。


 うーむ。


 広さは――少し狭い講堂って感じだな。部屋の奥にはガラス? によって作られたステンドグラス。そして、そのステンドグラスの下には祭壇、部屋の中央にはまるで儀式の途中でも言わんばかりに灯りの灯った燭台が円上に配置されている。

 その円上に配置された燭台の中央には見覚えのあるモノが置いてあった。


 クラスモノリス!


 上半分が壊され削り取られているが、それは間違いなくクラスモノリスだった。何で、ここにクラスを取得出来るモノリスが置いてあるんだ? しかも、上半分がないとか、誰かが持ち帰ったのか?


【クラスモノリス(魔法使い):基本クラスの魔法使いを取得出来る】


 鑑定結果は……魔法使い、か。


 どういうことだ?


 確か、魔法使いは魔法学院を卒業すれば取得出来るんだよな? まぁ、その際に、クラスモノリスがある場所へと案内されるんだろうなとは思っていたけどさ、それが、ここなのか?


 ……。


 いや、多分、多分だけどさ、魔法学院を卒業した際に取得出来る魔法使いのクラスは、このモノリスの上部分を削り取った方を使うんじゃないかな? 俺の予想は当たっている気がする。


 にしても、この燭台の中央にモノリスがあるのか。これと同じ感じの部屋、これで3回目だよな。1回目は闘技場の地下、2回目は迷宮都市の試練の迷宮――そして、ここ、と。もしかして、他の二ヶ所もさ、もともとは、こんな感じでクラスモノリスがあったんじゃないか?

 闘技場は戦士かな、そして迷宮都市は、多分、探求士だろう。そういえば、闘技場の地下の小迷宮って、魔法が使えないって特性があったよな。もしかすると、あそこも試練の迷宮で、その特性だったのかもな。


 うーむ。


 まぁ、とりあえず魔法使いのクラスをゲットしておくか。


 俺は崩れたクラスモノリスに触る。


【基本クラスの魔法使いを取得しますか? Y/N】


 もちろんイエスです。


【魔法使いを取得しました。詳しくはステータスプレートをご確認ください】


 あっさり取得出来たな。えーっと、この魔法使いのクラスを取得する為に、卒業しようとしていたのに、何というか、えーっと、アレだ。


 うーん、これで無理に卒業する必要もなくなったか。


 後は、うん。とりあえず銀の燭台をインゴットに変えて持ち帰ろう。今更、銀なんて要らないかもしれないけどさ、戦利品、戦利品。


――[クリエイトインゴット]――


 燭台が光に包まれ四角い金属の塊になる。


【上質な銀のインゴット】

【銀を精製し作成された上質な銀の塊】


 パパッと回収です。置かれている8個の銀の燭台を全てインゴットに変える。ま、これはフルールへのお土産だな。まぁ、余り喜ばないかもしれないけどさ。


 後は、アレだよなぁ。


 俺は祭壇へと近寄る。その祭壇の上には金属の塊が乗っていた。


【謎のパーツ】

【何かに使う謎の部品】


 はい、出ました。謎のパーツです。これはグレイシアに戻った時にさ、14型に渡すか。


 うーむ、にしても、だ。本来は、この試練の迷宮を抜けないとクラスが取得出来なかったのか? の割には迷宮の裏をかかないと進めない場所に置いてあるしさ、よく分からないなぁ。


 まぁ、帰るか。魔法使いのクラスについては、後でゆっくりと確認しよう。




―2―


 気絶したままの分身体を背負ったまま来た道を戻る。帰り道も白と黒の仮面をつけているからか、何かが起こるようなことはなかった。


 そして試練の迷宮の外に出る。


 そこにはアルテミシアを初めとした教師陣が待っていた。

「まさか、ノアルジーさん!?」

 俺の姿を見て、驚いたアルテミシアが、こちらへと駆け寄る。


「気絶している……。気絶したノアルジーさんを運んでくるなんて、なんて忠義に厚い魔獣なんでしょう!」

 いや、俺が本体だからな。

「でも、これでノアルジーさんは失格です」

 へ?

「彼女ならあっさり攻略するような、そんな印象があったのですが、意外です」


 もきゅ!?

2021年5月7日修正

部屋の中は。 → 部屋の中は――

忠義に熱い → 忠義に厚い

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