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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
2  世界樹攻略
69/999

2-61 実食

-1-


 再度メニューの書かれた木片を見る。


 本日のメニュー(夜間)


 豆:40円(潰銭5枚)

 グリーンヴァイパーの包み焼き:640円(銅貨1枚)

 ジャイアントリザードの塩焼き:1920円(銅貨3枚)

 ジャイアントリザードの小麦粉焼き:3840円(銅貨6枚)

 タケノコ漬け:320円(潰銭40枚)

 蜂の子:1280円(銅貨2枚)


 うーん、金額的には上から下まで全部とか出来そうなんだよなぁ。あ、飲み物はミルクください。

 今の空腹状態だと全部頼んでも余裕みたいに思えるが……。うーん、実際に食べ始めるとすぐにお腹一杯で残してしまう……俺的あるあるだよなぁ。俺ってば毎度毎度学習をせずに同じ過ちを繰り返す大馬鹿野郎なのだ! しかし、今回の俺は違う。異世界に来て生まれ変わったんだ。無理はしない!


 良し決めたッ!


『まずは豆を。それとジャイアントリザードの塩焼きにジャイアントリザードの小麦粉焼きにタケノコ漬けを貰いたい』

 うん、加減したし……大丈夫だよね? 全部、頼んでいないし大丈夫だよね。

「はい、オーダー入りますー」

 マスター? が奥にオーダーを伝えている。ああ、この食堂ではマスターが料理をするわけじゃ無いんだね。宿だと女将さんが料理もしていたもんなぁ。

「後、ミルクだったね、どうぞ」

 ミルクはマスター? が入れてくれた。ガラス容器では無く陶器のようなコップだが、これはこれで味わいがあるな。陶器のコップを触ると冷たかった。おう、冷え冷えだ。なんだコレ、冷蔵庫でもあるのか……いや、異世界的に何かの魔法とみた。まぁ、何にせよ、冷やす技術はあるってことだよなぁ。

 ミルクを一口飲んでみる。匂いは結構濃い……獣臭いくらいな感じなんだが、味は薄かった……というか水っぽくて、まるでミルクの上澄みを飲んでいるみたいだ。でも、しっかりとミルクの味がした。これ本当にミルクだよ。ミルクだったよ。てことは、もしかしてチーズやバターやヨーグルトなんかもあるかもってことか……。楽しみが増えたな。しかし何のミルクなんだろうな。


 ミルクをちびちびと飲んでいると料理が運ばれてきた。料理が俺の目の前に並べられる。

 熱々のジャイアントリザードの塩焼きに、見た目、ソースののっていないお好み焼きみたいなジャイアントリザードの小麦粉焼きに、小鉢に入ったうっすらと黒くなっている漬け物みたいなタケノコに、同じように小鉢に入った、ゆでただけのような二粒の緑色の豆。


 さあ、実食だ。




―2―


 まずは豆だな。見るからにお通しみたいな感じだよなぁ。一緒におかれた木のスプーンで一口っと。うーん、これ、アレだ。枝豆だ。大粒の枝豆だな。塩味も効いているし、美味しいじゃん。二粒だと物足りないなぁ。枝豆大好きなんです。ああ、異世界でも枝豆に出会えるとは……生きてて良かったッ!! 次回来たときには大量に頼もう。


 次はジャイアントリザードの塩焼きだな。ジャイアントリザード自体は一度食べたことがあるんで味も想像しやすいな。まずは一口っと。というかスプーンだと食べにくいなぁ。お箸が欲しいです、だってお箸の国の人だったのだから。

 食べてみた感想は予想通りタコの塩焼きだな。歯ごたえもそうだし、味もそうだな。陸上にタコがいる。この食堂が素材の持ち込みオッケーならジャイアントリザードを丸ごと一匹持ってきてたこ焼きを作りたいなぁ。ああ、でもソースが無いのか……。1920円(銅貨3枚)だけあって結構なボリュームである。これだけでもお腹がキツくなってきたんですが……。


 仕方ない、箸休めにタケノコ漬けを食べてみるか。小鉢に入っているだけなので量は余りない。確か竹はフウアの里の名産だったかな。タケノコ食べられるんじゃね、と思ったら本当にあったとはなぁ。バリバリコリコリと……こ、コレは。シェフを呼べー。醤油みたいな味がするぞ。いやいやまさか、錯覚じゃ無いよな? でも、これ醤油ぽい……。ま、まさか、こんなにも早く万能調味料の醤油が手に入るのか!? いや真面目にこれが醤油なら分けて欲しいんだけど。というか、さっきの塩焼きも塩じゃ無くて醤油で食べたいんだけど。マジカ。マジなのか。異世界にも醤油はあった!? 穏やかじゃないですね。後で話を聞こう、絶対にだ。


 最後はジャイアントリザードの小麦粉焼きか……。正直、もうお腹一杯なんだよなぁ。これも結構なボリュームがあるし……どうしよう。お、お持ち帰りとか出来ないかな?


『すまない、この小麦粉焼きなのだが、持ち帰りは出来ないだろうか?』

「構いませんよ、何か入れ物はお持ちですか?」

 ……魔法のウェストポーチXL(1)に入れるかな。

『後、聞きたいのだが、よろしいか?』

「なんでしょう?」

『このタケノコ漬けだが、何を使って味付けをしているのだろうか?』

 もし秘密のスパイスだった場合が……何としてでも聞き出すぞー。

「魚醤ですね」

 マスター風の人はあっさり教えてくれた。うん? え、ちょ、ま、マジで? いや、これ多分、円の時と同じで勝手に単語が変換されているんだろうけど意味は同じだよね。魚を塩漬けにし発酵させて作る調味料だよね。この世界での魚醤の呼び方が何かは分からないけれど魚醤であることには変わりない。海があったんだ、魚も居るだろうし、塩料理だってあった、あってもおかしく無いって事か……で、重要なのは魚醤が手に入るかどうかだよなぁ。と、それも聞かないとね。

『ちなみに魚醤は簡単に手に入るのだろうか?』

「そうですねー。うちの自家製で良ければお譲りしましょうか? さすがに無料とはいきませんが……」

 マジで? マジで? よかった、これで解決ですね。ってお幾らでしょうか?

「そうですね、小瓶一個分を40960円(小金貨1枚)で……」

『買ったッ!』

 小金貨1枚なら絶対買う。

「え? 40960円(小金貨1枚)ですよ? 本当によろしいので?」

『もちろんだ。これにはそれ以上の価値があると思っている』

 だってさ、魚醤だよ? 醤油みたいな風味だよ? 今の俺にとってかけがえのない調味料だよ? お金に換えられるわけがない。


 俺はマスター? からしっかりと魚醤の入った小瓶を受け取り、食堂を後にした。もちろんジャイアントリザードの小麦粉焼きもお持ち帰りである。よし、魚醤は無くなったらまた買いに来よう。ああ、ホント、ここにご飯を食べに来て良かったよ。

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