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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
8  二重螺旋攻略
680/999

8-31 こちらでも急展開

―1―


 ウルスラはベッドの上に寝転びながら、ごろごろと転がり、床に散らばっていた光る板を取る。そのまま、その板をつついて何かをしている。何しているんだ、こいつ?

「おい」

 俺が話しかけても完全に無視だ。くそ、あの紫炎の魔女といい、このウルスラといい、何で天竜族ってヤツらは自分勝手で適当なんだ。まだ2人しか会っていないが、他の天竜族もこんな感じなのか?


 ……。


 仕方ない、このままでは埒があかないからな、一旦、戻るか。


 威厳も貫禄もなく、寝転がって遊んでいるウルスラを放置して隠し通路に戻る。そこでは魔法のカンテラを手にセシリア姫が俺を待っていた。

「ラン、大丈夫であるか? 心配したのじゃ」

 大丈夫であるよ。セシリア姫は何があったか、聞こうとはしないんだな。まぁ、何かがあったって訳でもないし、何というか、説明するのも難しい内容だからなぁ。


 あ、そうだ。

「セシリア姫、ウルスラは起きたみたいだけどさ、済ますべき用件があったんじゃないのか?」

 そうそう、起きて貰わないと困る的な、魔族への対応をして欲しそうだった気がするんだけど、大丈夫か?

「女王として立つ許可は貰えたのじゃ。後はわらわたちの仕事なのじゃ」

 そ、そうか、まぁ、セシリア姫が納得しているなら、それでいいか。にしても、女王様かぁ。女王様誕生かぁ。うーむ。

「ラン」

 はい、何でしょ。

「ランに……ランの国にも、じゃが、わらわを助けてくれると嬉しい」

 そう言ってセシリア姫はニカっと笑った。もちろん、助けるさ。国のお偉いさんとしてではなく、普通に、友達同士として助けるさ。

「もちろん。それに俺が困った時には、その時にはセシリア姫が俺を助けてくれるんだろ?」

「もちろんなのじゃ」

 姫さまが腕を組み、胸を反らす。神国が信用ならなくても、姫さまは信用できるからな。


 俺は俺が出来ることで姫さまを助けるか!




―2―


 神国の帰り、迷宮都市でファリンを連れて帰ろうとしたんだが、まだやることがあるということだったので、俺と羽猫、14型の3人? でコンパクトを開き、アイスパレスへと帰還する。


 ファリンの才能は信用しているからな。迷宮都市で、以前のノアルジ商会よりも、もっと上手くやってくれるだろう。


 俺が屋上から螺旋階段を降り、謁見の間の前まで来たところでフルールが駆け込んできた。うん?

「待ってましたわぁ!」

 次にスカイ君が慌てたように駆けてくる。

「ランの旦那、大変ですよー」

 次にクニエさんが、

「ラン様、大変です!」

 うん? 何やら珍しい組み合わせだな。


『何があった?』

 俺が天啓を飛ばすと、3人は顔を見合わせ、タイミングをあわせるかのように、一斉に「大変です!」と叫んだ。いや、だから、何が大変なんだ?


 このメンバーだとまともに会話が出来そうなのは……クニエさんか。

『クニエ殿、ゆっくりと落ち着いて説明して欲しい』

「え、ええ、ええ」

 クニエさんが大きく息を吸い、吐く。


「ラン様、以前見つけた隠し通路の先に、さらに隠し通路が見つかりました」

 な、なんだと。俺がお風呂に造り替えようと頑張っている場所じゃないか。俺のお風呂は無事か!?

「今は蟻人族の方々に見て貰っているんですが、い、いえ、じ、実際に見て貰った方が早いと思います!」

 何で蟻人族の方々が? 何か危険なことでもあるのか? ま、まぁ、見に行ってみれば分かるか。




―3―


 大分完成に近付いていた地下室の奥に下り階段が現れていた。何だ、コレ? 確かに前はなかった隠し階段だけどさ、何で、こんなものが?

 いやだってさ、隠し階段とか、そんな表示は見えなかったんだぞ。線での表示がされない隠し通路とか。ま、まぁ、もとは魔族の城だもんな、そういうこともあり得るのか。


「親方が、ラン様の言われていたとおりに、ここを改造していたところ、あの階段が」

 クニエさんが説明してくれる。見つけたの、大工の棟梁かよ。にしても、更に地下、か。まさか、ここからも地下世界(アンダースフィア)に通じているとか、ないよな?


 怖がりながらもついてくるフルールとスカイ、慎重に、といった感じのクニエさん、そんな3人を伴い、階段を降りていく。


 すると階段の途中で蟻人族の方々がいた。

「ジジジ」

「ジジジ」

「おお、ジジジ、ラン殿」

 ソード・アハトさんはこの先か。


 階段の先には開かれた扉があった。そして、その扉に寄り添うようにソード・アハトさんがいた。

「ラン、か。ジジジ、見て貰った方が早いだろう」

 ソード・アハトさんが後ろ手に扉の先を指差す。


 そして、俺は開かれた扉をくぐり、その先へ踏み出す。


 そこに『居た』のは、醜悪で嫌悪感をもたらす異形の物体だった。


 何だ、これ?


 蠢く内臓から虫の足が生えた、謎の生物、それが、その隠し部屋に存在していた。ぐ、グロい。何だ、これ、ホント、何だ、コレ?


「ラン、ジジジ、これが何か私にはわからない」

 いや、俺も分からないよ……。

「が、ここまで醜悪なのに、ジジジ、不思議と悪意ある存在にみえぬのだ」

 う、うーむ。


 いや、でも、これ、何だろう。どうしたら良いのか、本当に困るんですが。紫炎の魔女あたりなら、かまわず燃やせとか言いそうだけどさ。そういうわけにもいかないよな? いかないよな?


 うーむ。

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