二つの塔攻略編エピローグ
―1―
勝った。
バーンと14型が水晶を壊したことで制限がなくなったのか、普通にスキルも使えるようになったようだ。ふー、一息つけるぜ。
これで八大迷宮『二つの塔』もクリアかな。スキルが使えないとか、ホント、キツかったなぁ。俺が普通に人型で、人と同じように行動できれば、もう少し楽だったんだろうけどな。ホント、14型がいなかったら攻略出来なかった迷宮だよ。
で、戦利品は何処ですかな?
「芋虫ちゃん、凄いことになってたけど大丈夫?」
ウリュアスが後ろ手に組んで歩いてくる。
「ちっ。お前に攻撃が集中したお陰で楽が出来たのは確かだな」
バーン君もこちらへと歩いてくる。
まぁ、いくら俺のMPが多いっていってもさ、あのまま攻撃を食らい続けていたらMPが持たなかっただろうからな。バーン君たちが迅速に水晶を壊してくれて助かったぜ。あ、もちろん14型も、な。
と、そこで、俺と14型、羽虎の足下に光の円が描かれる。うん? なんだ? これ、転送とかの時と同じ……。
そして、周囲の風景が変わった。
俺は、すぐさま周囲を見渡す。
何処かの閉じられた部屋か?
「何処を見ているのですか、マスター?」
「にゃう」
転送されたのは俺と14型、それに羽虎か。
割と広い部屋のようだが、何処だ?
部屋の中央には精巧に装飾が施された台座が。描かれているのは先程、倒したばかりのローブを着た宇宙人――いや、今なら分かるが、これ、骸骨か。
そして、奥には真っ黒な直方体。
台座の上には折りたたまれた布が置かれている。コレが、この迷宮のクリア報酬かな? うーん、真っ白で飾り気のない小さな布だな。とりあえず鑑定してみるか。
【リフレックスマント】
【迷宮王製】
……。
あー、これ、マントなんだ。迷宮王製とかさ、どうでもよい情報しか表示されてないけど、これ、名前から察するに魔法を反射しそうだな。身につけると回復魔法まで反射するとか、そんな副作用があったら笑うなぁ。
まぁ、とりあえず貰っておきましょう。
次は奥のモノリスだな。ここでは、どんなスキルが手に入るんだろう?
俺が真っ黒な直方体に近寄ろうとした時だった。大きくなっていた羽虎が唸り声を上げる。
【エミリオがランクアップ条件をクリアしました】
【エミリオが神獣にランクアップします】
いつもの謎のシステムメッセージが流れる。何で、このタイミングで?
「ぐるるぅ」
エミリオが光輝き大きく姿を変えていく。エミリオのサイズは、どんどん大きくなり、エミリオの親であった、フウキョウの里を守っていた星獣と同じくらいのサイズまで大きくなる。
「ぐるるるぅ」
サイズが大きくなったことにあわせて、エミリオが喉を鳴らした音が、よく聞こえるようになった。結構、うるさいです。
にしてもさ、人を5、6人くらいはのせて運べそうなサイズになったな。いきなり大きくなるから、押し潰されるかと思ったぞ。
【エミリオがスキル《センスオブライト》を獲得しました】
また謎なスキルを獲得したな。
「にゃあああぁぁぁ」
そして、また光輝き、元の羽猫のサイズに戻った。あー、やっぱり一時的な物なのか? それとも羽猫自体が、邪魔にならないようにわざと小さくなっているのか?
「急に大きくなるなど、邪魔なだけなのです」
「にゃ、にゃ!」
羽猫と14型が、何かよく分からない言い争いをしている。何で、会話が成り立つんだろうな……。
さ、俺は奥の直方体を調べるか。
俺は黒い直方体まで歩き、それに触れる。
【耐性(表)のスキルツリーを取得しますか? Y/N】
もちろんイエスで。耐性かぁ。耐性なぁ。
【耐性(表)のスキルツリーを取得しました。内容はステータスプレートをご確認ください】
はーい、後で確認します。
そして俺がスキルを獲得すると同時にスキルモノリスが崩れ始めた。ここでも同じか。先着一名様なんだな。
――エピローグ――
俺がステータスプレート(螺旋)を確認しようとしていると、天井が開いた。天井を作っていた石壁? の一部が降ってくる。あぶねぇ、真下にいたら潰されていたぞ。
そして、開いた天井からバーンが飛び降りてきた。そして、次々と――ウリュアス、レーン、セッカと飛び降りてくる。
「ちっ。迷宮はお前達を選んだってことか」
うん?
『どういう意味だ?』
俺の天啓を聞いたバーンがため息を吐く。
「お前達のパーティの方が、この『二つの塔』の攻略者だってことだ」
そういえばバーン君たちのパーティは転送されなかったようだな。よく分からないが、俺たちの方がバーンたちよりも、迷宮の攻略に貢献した、と、この迷宮自体が判断したってことか?
「おい、お前。……ラン、必ず冒険者ギルドに顔を出せ。お前のステータスプレートを出せばBランクに上がれるくらいのGPは貰えるはずだ」
「そうなんだぜー」
そうなのか。
「こんな姿のヤツがBランクか。ちっ。Aランクの先輩として教えてやる。BランクからAへと上がるには冒険者ギルドが認める権力者――それこそ国を治めるほどの立場にいる4名の推薦が必要になる。一介の冒険者では上に上がれない。上との繋がりが必要になる。それだけAランクは重いってコトだ。分かったか」
あ、はい。えーっと、もしかして、BからAってGPを溜める必要がないのか? あー、うん。普通の冒険者だと権力者との繋がりって難しいよね。
国のお抱え冒険者になったとしても、その国だけでは推薦できる権力者は1人だけだもんな。他の国との繋がりが重要になってくるし、確かにAランクは重いのかもしれないなぁ。
バーン君って俺が思っているよりも凄い冒険者だったのかな。
「ちっ。こんなヤツが上に上がるのかよ。お前を見ていると苛々するぜ」
バーン君が舌打ちしていた。
「まぁまぁ、腕の立つ冒険者は貴重だからさ、高ランクが増えることはいいことじゃないか。バーンも、この……えー、ランさんの実力は認めているんだろ?」
レーンさんの俺への評価が高い! うむ。
「これで近場の大きな迷宮は全部攻略済みになったんだぜ」
ウリュアスが楽しそうに短剣を回していた。あー、言われてみればそうか。
『バーンはどうするんだ?』
俺の天啓を受けたバーンが舌打ちする。
「ちっ。俺は迷宮都市に残る。ウリュアスは、ああ言ったが、まだまだ探索し甲斐のある迷宮が残っているからな」
ほー。さすがはAランク、情報を持っているなぁ。
「俺はもっともっと強くなるからな!」
バーンが何故かこちらを見て、そんなことを言っていた。そ、そうか。頑張ってくれ。
俺は残る二つの迷宮を攻略かなぁ。あー、でも、その前に一度、魔法学院の方には顔を出した方がいいか。予想外に間を空けてしまったからなぁ。
「さあ、戻るぞ」
何故か、バーン君が先導していた。
ま、いいか。
これで『二つの塔』も終わりだな。
八大迷宮・二つの塔クリア




