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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
7  二つの塔攻略
644/999

7-76 二つの塔試練の間

―1―


 龍が大きく口を開き、こちらへと噛みついてくる。それを見た14型が俺を振り回し、空中へと放り投げる。そして、自身も飛び上がる。何やってくれてんだーッ!


「マスター、今です」

 龍は俺たちをかみ砕こうとして、その勢いのまま自身の体に噛みつく。狙い目かッ!


――[アイスランス]――


 俺は空を舞いながら氷の槍を作成し、龍の頭へと叩き込む。


 貫けーーーーッ!


 尖った木の枝のような氷の槍が龍の頭に当たり、そのまま砕け散っていった。これ、効いているのか? いや、考えるよりも何度でも攻撃だ。


――[アイスランス]――


 新しく生まれた氷の槍が龍の頭に打ち当たる。しかし、龍は噛みついたまま頭を振り払い、氷の槍を砕く。


 飛び上がった14型が空中の俺をキャッチし、そのまま龍の背に着地する。龍が自身に噛みついていた口を開き、再度、体をくねらせる。


 動き続ける背の上で14型が片手で俺を持ち、もう片方の手で龍の鱗にしがみつく。


 龍がうねりを止め、体を巻き付けていく。流動する動きが納まったのを確認し、14型が龍の背を駆け上がっていく。

 14型が龍の頭まで駆け上がり、そこでまたも俺を放り投げる。そして、その頭に生えた2本ある角の片方を掴み、凶悪な拳を叩き込む。篭手に付けられた牙が激しい音を立て、角を削る。

 何度も、何度も、拳を叩き付ける。


――[アイスランス]――


 その上空から、俺は氷の槍を作り出し、龍に叩き込む。しかし、余り効いている様子はない。むむむ。


 ここで使える属性だと水、風、金、そして光だけだからな。どうしても使える魔法が限られてしまうしなぁ。


「マスターもお気づきだと思いますが、外皮は効果が薄いようです」

 14型が拳を叩き付けながら喋る。なるほど。となると……中か?


 14型が落ちてきた俺を丁寧にキャッチする。

「噛みつきを誘発させるために一度、下がります」

 14型が龍の頭を蹴り、後方へと飛ぶ。そして、蠢いていた龍の背中に器用に着地する。落ちたら死ぬような場所で、しかも不規則に動いている生き物の背中で、よく飛び回れるな。俺なら、怖くて、とてもじゃないが、踏み出せないぜ。いやまぁ、俺は14型に担がれているから、強制的に参加させられているわけなんだけどさ。今は怖くても叫ぶことは出来ないからな、大人しくしているだけだぜ。


 もきゅもきゅ。


 14型に担がれたまま、恐怖にもきゅもきゅ鳴くことしか出来ないぜ。


 龍の胴体に移った14型を追いかけるように龍の頭が動きを変える。そして、大きな口を開け、こちらへと迫る。


「今です」

 分かってるぜ。


――[アイスランス]――


 龍の口の中を狙い氷の槍を作る。その俺たちの目の前に龍の顎が迫る。龍の口内に鋭く尖った木の枝のような氷の槍が刺さり、龍が雄叫びを上げる。しかし、龍は、それすらも飲み込み、痛みによるものか、頭を振るわせながらもこちらへと迫る。


 14型がまず俺を放り投げる。そして、次に14型が飛び上がる。


「マスター、許して欲しいのです」

 14型が俺を蹴り、その反動で龍へと飛ぶ。軌道を変えた14型がギリギリ龍の顎を回避し、すれ違い様、その角を掴む。

 14型に蹴られた俺は空を舞い、そのまま慣性の法則に従い、落下する。あのー、俺、死んじゃうんですけど。下に落ちてじゅわじゅわ溶かされて死んじゃうんですけどー。


 しかし、俺が飛んだ先には大きくなった羽虎がいた。俺を待ち構えるように空を飛んでいた羽虎は、俺を咥え、そのままパタパタと龍の背へと戻っていく。


 そして、14型の上まで来ると俺を落とした。龍の背で待ち構えていた14型が俺をキャッチする。俺の扱いは何なんだ。


「マスター、予想通り、中は脆いようです」

 確かにな。でも、あんなのを何度も繰り返すのは難しいぞ。それにバーン君達が来ないと、倒しても再生するんだろ? どうする、どうする?


「マスターもお気づきだと思いますが、ヤツは自身の攻撃でも傷を負うようです」

 あ、確かに、最初の噛みつきや、さっきの体の上を滑らすような噛みつきで背中がぼろぼろになっているな。剥き出しになった部分になら、俺の魔法も通るか?


 と、その時だった。


 透明な壁の向こう側に動きがあった。階段から、傷だらけのバーンたちが現れた。


 やっと現れたか! 時間は守ろうぜ!




―2―


「目も頭も悪いマスターの為にお伝えしますが、先程、あちらの者は、こちらを見て舌打ちしたようです。私のマスターを馬鹿にしています。後で折檻が必要だと思うのです」

 14型さん、お前さんも、さらっと俺のコトを頭が悪いとか言ってないかね。


 まぁ、気にしている場合か。後はバーン君とのタイミングだよな。


 向こう側では天井が破れ、そこからこちらと同じような龍が現れていた。バーン君が剣に炎を宿らせ、斬りかかる。すでに傷だらけなのが気になるが、大丈夫なのか?


 バーン君が必死に斬りかかるが、龍の鱗の硬さに剣を跳ね返されているようだ。それでも何度も攻撃を繰り返し、そして、一瞬だけ、背後のパーティメンバーへと振り返り、何かの合図を送った。何の合図だ? よく分からないな。


 するとバーンの後ろに控えていたウリュアス、レーン、セッカが何か石のような物を取り出した。


 そして、目の前の龍に投げつける。


 石が龍に当たると爆発が起き、龍の鱗が剥がれ落ちる。バーンが龍を牽制し、背後のメンバーが石を投げ続ける。爆発が起こる度に龍の体が削られ、龍は怒りを露わにして、背後のメンバーへと飛びかかろうとするが、バーンの剣技がそれをさせない。


 おー、なんだかんだで、さすがはAランクだなぁ。というかだな、その投げている石、何なんだ? 卑怯じゃないか。後で俺にも教えろよ。


「マスター、仕掛けるタイミングは私が計ります。私が敵の核を露出させます。マスターは、そちらに一撃をお願いします」

 先程から、器用に龍の噛みつきを躱していた14型が、そんなことを言った。へ? 露出させるってどうやって?


 14型が俺を上空へと投げる。


 向こうではバーンが何やら剣を腰だめに構え、爆発によって、ボロボロになった龍に狙いを定めていた。


 今が……、


 14型が凶悪な拳に黒い光を溜め、大きく口を開け飛びかかってきた龍を、その前で大きく飛び、攻撃を躱し、そして、その凶悪な黒い光を放出するように龍の眉間に叩き込む。

 龍の額に貫かれた道が出来る。剥き出しになった、そこには巨大な魔石が見えていた。ここが、狙い目!


――[アイスランス]――


 氷の槍を放つ! 俺は、


――[アイスランス]――


 もう一度ッ! 落下しながら、


――[アイスランス]――


 砕けるまでッ! 何度も、


――[アイスランス]――


 そして、巨大な魔石が砕けた。


 しかし、砕けた魔石に何かの光が集まっていく。そして、魔石を修復していく。まさか、これが、同時攻略の!?


 俺はバーンの方を見る。


 バーンが紫の炎を纏った必殺の一撃を龍に放っていた。その一撃によって龍の魔石が砕け散る。それに合わせてこちらに集まっていた光が霧散し、再生途中の魔石が砕け散った。


 よし、勝ったッ!


 その時だった。


 魔石が砕けた龍の体が光となって霧散し、消えようとしていた。14型が消えようとしている足場を走り、落下途中の俺を蹴り飛ばした。また、こいつ、俺を蹴りやがったよ。


 そして、14型が俺を蹴り飛ばした方向には、先程と同じように羽虎がいた。


 羽虎が俺を咥える。


 それを見た14型は、能面のような顔のまま笑顔を作り、空中を落ちていった。その先は全てを溶かす液体。

 お、おい14型、そんな……、


 そんな、まさか……。


 そこで、14型が何やら手から空気の固まりのような物を生み出した。


 そして、それを踏み台にし、こちらへと飛び上がった。それを羽虎が受け止める。羽虎は重いとでも言わんばかりに「ぐにゃあ」と鳴いていた。


 えーっと、14型さん、今、何をしました?


「マスター、気になるのですね。魔素を放出する力の応用で溜めていた風の魔素を空間に固定し、それを足場としたのです」

 あ、はい。


 凄いねー。魔法の力ってすごいや。

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