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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
2  世界樹攻略
64/999

2-56 楽勝

-1-


 上方に赤い線が……危険感知スキルか。

 俺は繰り返していた突きを止め後方へ跳ぶ。上方から降ってくる水の塊。フィーンドダックの魔法攻撃か!?


 後方へ跳び、距離を取った俺はそれを難なく回避する。危険感知スキルが便利過ぎるな。

 俺が離れたことで動けるようになったラットキングが壁から這い出てくる。こちらに向き直るラットキング……しかし、遅い。


 さあ、終わりだ。


 赤い槍を構えラットキングへ突っ込む。

 ラットキングが鋭い爪の付いた前足を振り下ろしてくる。


――<払い突き>――


 振り下ろしてきた前足をはね飛ばし、一回転、俺の突きがラットキングの顔面に炸裂する。上がる悲鳴。


 さあ、最後だ。


――<スパイラルチャージ>――


 赤い槍が唸りを上げ螺旋を描く。硬質化した体毛を貫き、額を貫き、骨を貫き、脳を抉る。脳削りだ。へへ、INTが下がっただろ?


 ラットキングの巨体が大きな音を立てて崩れ落ちる。後はフィーンドダックだな。


 赤い槍からコンポジットボウに持ち直し鉄の矢を番える。


――<集中>――


 崩れ落ちたラットキングの体毛に隠れようとしているフィーンドダックに視点を合わせる。増した集中力が体毛の隙間を捕らえる。


『終わりだ』


 俺の念話。それに答えるかのようにフィーンドダックがぐわぐわっっと騒ぐ。さすがに魔獣の言葉は字幕表示されないか。

 そして矢を放つ。

 早弓スキルが更に次の矢を放つ。


 ほぼ同時に飛んでいく2本の矢。2本の鉄の矢がフィーンドダックを貫く。そしてフィーンドダックは悲鳴を上げ、そのまま倒れた。


 終わった。


 ……楽勝だった。名前付き(ネームドモンスター)がこんなに弱くて良いのかってくらいに楽勝だった。

 まぁ、この風槍レッドアイが無ければ固い体毛に阻まれ、攻撃手段が無く、少しは苦戦したかもしれないけどね。こいつを手に入れてから討伐に来て本当に良かったよ。

 さて、こいつらの素材をどうしようか。里まではかなり距離があるから引きずって持って帰るってのは現実的じゃないしなぁ。

 とりあえず魔石だけは取り出しておこう。

 ラットキングの体毛は切断のナイフでも切り裂けなかったため、風槍レッドアイで傷を付けながら体を斬り裂き魔石を取り出した。通常の魔石よりも一回り大きなサイズだったが、レッドアイのように特別な色はしていなかった。

 浮遊で上昇し、ラットキングの体の上に上がり、フィーンドダックの魔石も取り出す。こちらは切断のナイフですいすいと切り裂くことが出来た。

 経験値とMSPも確認しておこう。経験値は248、MSPは48増えていた。うーん、MSPは名前付き(ネームドモンスター)だけあってかなり多いけど、経験値は少ないなぁ。ラージマイコニド2匹分くらいって、割に合ってない気がする。どっちがどれくらいの経験値とMSPだったのかは分からないけれど2匹でこれか……。

 ま、後は素材の換金額だな。


 さーって、本当にどうやって持って帰ろう。あ、そうだ。掴んでいたら一緒に転移で運べるんじゃね?


 俺は浮遊スキルを使い、なんとか2体とも外に運び出す。その後、背負うような形でラットキングの下に潜り込む。フィーンドダックはサイドアーム・ナラカで掴み、ラットキングは俺の短い手で掴む。さあ、実験だ。


――<転移>――


 ラットキングとフィーンドダックごと空高くへと舞い上がる。よし成功だ。


 そして、普通にスイロウの里近くへ着地。ラットキングの死体も背負っていたおかげで地面に叩き付けられ素材を痛めると言うことも無く無事帰還である。


 そのまま門番さんに頼んで死体を預かって貰う。まずは冒険者ギルドかな?




―2―


 冒険者ギルドに入ると眼帯のおっちゃんが待っていた。

「おい、ランよ。随分と遅かったじゃねえか」

 うん? 何のこと?

「俺は言ったはずだぞ。鑑定結果は2日後だってなっ!」

 あ、忘れてた。……この報酬を貰っていたら、今回の討伐も、もっともっと色々と準備が出来たんじゃね? ま、まぁ過ぎたことだけどさ。

「たくよ、こんな遅い時間に来やがってよ。眠くて説明が面倒臭いぜ」

 いやまぁ、すんません。って、それよりFランク承認試験の方が先だ。

『すまぬ。盗賊討伐の報酬も頼みたいのだが、それよりも承認試験の成果を見て欲しいのだ……。ミーティアラットの死体が門の外にあるのだが』

「おいおい、そっちもちゃっかり倒してきたのかよ。わかったよ、換金所の方から人を呼んで回収するぜ。俺も行くから、お前はここで待ってな」

 え? 俺、待ってないと駄目なの? 仕方ないなぁ。


 それからしばらくして眼帯のおっちゃんが戻ってきた。

「ステータスプレートを出しな」

 俺は眼帯のおっちゃんにステータスプレート(銅)を渡す。

「確かに確認した。これでお前はFランクだ」

 お、あっさり終わった。ステータスプレート(銅)を見るとしっかりとFランクに表記が変わっており、数値も390/800になっていた。

 え? 次って800なのか。後410も溜めないと駄目なのか。なんというか……多いじゃん、とても多いじゃん。ま、まぁ今度からEランクとFランクのクエストも受けられるし、その分、GPも多いでしょ。

「で、次は盗賊討伐の報酬だがな」

 えー、俺、ミーティアラットの素材とか換金したいんだけど……。

「たくよ……。こっちの用件も終わらせろや」

『……』

「わーったよ、素材の解体だけでも頼んどくか?」

 俺は頷く。

「解体費用は引かれるからな。忘れるなよ」

 もちろんです。

「改めて、盗賊討伐の報酬だがな……」

 そういって眼帯のおっさんは目録のような物を見せてくれた。

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