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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
7  二つの塔攻略
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7-71 二つの塔魔法側中層部

―1―


 俺が北東の扉を出てすぐに背後から伸びてきた手に掴まれ、持ち上げられる。あー、もう、14型、俺を持ち上げるのが気に入ったのか?


「マスター、行きます」

 そのまま14型が橋を駆けていく。そして、飛び降りるような速度で螺旋階段を降り、剣が刺さっていそうな穴の開いている台座の前に到着する。


 さあ、ここからだぞ。俺の予想が正しければ、これで何か変化が起きるはずだ。


 14型が魔法のリュック(0)からボレアスダガーを取り出し、その台座へと突き刺す。短剣は違和感なく奥まで刺さりきったようだ。うん、これ、見た時にさ、まるで鍵穴みたいだって思えたんだよな。


 そして短剣の柄を握り左回しに回していく。途中、カチリ、カチリと引っかかる所があるようだ。

 14型が8回、カチリと動いたところで手を止める。そして、抱えている俺の方を見た。俺は頷こうとして、首がないことに気付いた。頭を揺らして間違いないってことを伝えておく。


 それじゃあ、戻るぜー。


 シェルターのある、上の階に戻る。俺はそこで、違和感を覚えた。あれ? 扉の位置が微妙に変わっていないか? もしかして、さっきの行動でシェルター部分が動いたんだろうか?


 シェルターの中に入った所で14型が俺を降ろした。

「マスター、次はどちらへ?」

 次……か。

『次は南西の先に向かう。次も自分が指示するように頼む』

 さあ、ささっと、ぱぱっとやっちゃうぜ。


 南西の扉を抜け橋を渡っていく。そして、こちら側でも俺を担いだ14型が飛び降りるように螺旋階段を降りていく。そして、剣が刺さっていたであろう穴の開いている台座のある部屋に到着した。


 14型が魔法のリュックからノトスダガーを取り出し、台座に差し込む。うむ、問題ないな。

 そして、左側に6回分、回す。よし、これでこちらも大丈夫なはずだ。


 次は北西か。


 シェルターのある部屋に戻ると扉の位置が明らかに変わっていた。おー、先程の台座と連動して部屋が動いているのか? 大掛かりな仕掛けだな。


 シェルターを取り抜け、北西の台座へ向かう。

「マスター、今度は右に三回ですね」

 14型がゼピュロスダガーを台座に差し込み、右に三回動かす。これで間違いないはずだ。


 北東が、『最初の旅人は北に向かい希望の光を失い旅を諦めた』

 南西が、『二人目の旅人は南に向かい激しい風に吹かれ最初の町に戻った』

 北西が、『三人目の旅人は西に向かい大きな木を見つけた』

 南東が、『四人目の旅人は東に向かい燃える火山を見つけた』


 この台座が橋を動かすための鍵穴で間違いないだろう。


 差し込む順番は旅人の部分だろう。次に差し込む短剣だけど、それはダガーの名前だろうな。


 ボレアスが北風の神。

 ノトスが南風の神。

 エウロスが東風の神。

 ゼピュロスが西風の神。


 だったよな。確か光の女神に仕える神じゃなかったか?


 そして短剣を回す方向は『諦めた』『戻った』が反時計回り、『見つけた』が時計回りに回すってコトだろう。

 そして動かす回数は『光』『風』『木』『火』かな。


 この世界だと曜日の順番が火属性がスタートで、水、木、金、土、風、闇、光の順番になっていたよな。それを当てはめると、光が8、風だと6、木だと3、火が1ってコトだよな。


 それを踏まえて動かすって寸法なんだぜー。


 うーむ、俺、天才過ぎないか。何だろう、答えが降ってきたというか、ポンッともしかしたら、って感じで答えが分かっちゃうなんて、ホント、俺ってば、凄いなぁ。


 まぁ、これで後は最後の南東にエウロスダガーを差し込んで時計回りに1回動かせば終わりだな。




―2―


 最後の南東の部屋に向かう。さあて、これで最後だな。


 そして、部屋に入った所でそれは起こった。部屋の壁に何かが叩き付けられているような大きな音が響く。お、おい、何やら、やばそうだぞ。14型、急げ!


 14型がエウロスダガーを取り出し、台座に差し込む。そこで壁が崩壊した。ま、ま、まさか、上の階が動く仕組みが原因か? そういえば、ここって流砂に埋まっている部分だもんな。それを無理に動かしたから、迷宮の壁が耐えられなくなったのか?


 大量の砂が部屋へとなだれ込んでくる。

「マスター、動かしました! 急ぎ戻りましょう」

 台座に刺した短剣を右に一回だけ動かした14型が俺を抱え上げ走り出す。


 しかし、部屋へとなだれ込んでくる砂の勢いの方が早い。ヤバイ、ヤバイ。


「にゃ!」

 そこで俺たちの隣を心配そうに飛んでいた羽猫が一声鳴き、その体を大きく羽の生えた虎に変えた。

「むむむ」

 14型が一瞬、躊躇するような雰囲気の声を発するが、すぐに、その背に飛び乗った。


 俺たちが羽虎の背に乗った瞬間、羽虎は大きく羽ばたき飛び上がった。螺旋階段を飛ぶ。それこそ、音を後方に置いてくるほどの速度だ。そういえば、こいつってば、俺の《飛翔》スキルと同じか、それより早いくらいの速度が出せるんだったよな。そりゃあ、早いわ。


 羽虎が飛び、シェルターの前まで進む。それを追うように砂が流れ、橋からこぼれ落ち、謎の液体と混ざり合う。何やら、じゅうじゅうと嫌な音がしているけど、大丈夫か、これ?


 そして、南東の通路を完全に塞ぎ、砂の流れは止まった。


 ほっ、何とかなったかぁ。危なかったぜ。


 にしてもさー、最後は短剣を回収しようと思っていたのに、これは、もう無理だな。


 ま、何にせよ、エミリオ、助かったぜ。お前のその大きくなるのはスキルじゃないから、ここでも使えるんだな。


 ……。


 アレ?


 ちょっと待て、ちょっと待て。


 ももも、もしかして、羽虎になって、隣の橋まで飛んで貰ったら良かったのか?


 俺が羽虎の方を見ると、まるで肩でも竦めるかのように小憎たらしい虎の顔でため息を吐いていた。


 無理に謎解きに付き合わなくてもなんとかなったのかーッ!

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