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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
7  二つの塔攻略
637/999

7-69 二つの塔魔法側中層部

―1―


 ぺちぺち。


 俺のほっぺ部分を誰かが叩いている。何だよ、14型か?


 俺が目を開けると、羽猫が毛繕いをしていた。ああ、羽猫か。にしても、そうしていると、ホント、ただの猫だな。


 14型さんは……目を開けたまま動かなくなっていた。いや、だから、何で機械が寝ているんだよ。もう休憩は終わりだぞ。


 少し待ってみたが、14型が動き出す気配はなかった。完全に機能停止中だな。


 仕方ないのでサイドアーム・ナラカでツインテールの片方を引っ張ってみる。

「ひゃい!」

 14型が跳ね起きた。いや、あのさ、お前、機械だよな? ひゃいって何だよ、ひゃいって……。やはり、異世界らしく、中に精霊的な何かが入ってるんじゃないか? とても機械とは思えない反応だよな。


「マスター、チャージが完了したのです」

 はいはい、何か良く分からないが、眠ることで元気になったんだな。良かったな。


 じゃ、探索を再開するぞ。


 扉は6個か……。


 入ってきたトコロを南として、南東、北東、北、北西、南西って感じだな。東と西側には扉がない。


 よし、南東から順番にまわっていくか。


 あー、この扉を抜けたら、またスキルが使えないエリアか。そうだろうな、そうだよな、そうなるよなぁ。あー、スキルが発動している状態が当たり前になりすぎて、ちょっと躊躇してしまうなぁ。でも、進まないと……。


『14型、エミリオ、行くぞ』




―2―


 南東の扉を開け、外に出たとたん、視界がぼやけた。あー、こうなるよな。遠くを見ることも出来ない、喋ることも出来ない、言葉も分からない、不自由な手しかない……最悪な気分だ。

「マスター、運びます」

 俺がそんなことを考えていると背後から14型に持ち上げられた。そのまま拘束され、運搬される。14型が欄干のない橋を颯爽と歩いて行く。いや、あの14型さん、俺、普通に歩けますから。いや、あのー。


 そして、壁側まで歩き、そこに取り付けられた金属の扉を蹴破った。いや、普通に開けようよ。


 って、ん?


 隣側に橋が見えるな。目が悪いから、ぼやけてしか見えないが、やはり8方向に橋があるよなぁ。となると東側と西側は何か特殊な進み方になるのか? 他からまわってくるとかさ。あー、《飛翔》スキルが使えれば、ぴょーんっと飛んで確かめられるのになぁ。さすがの14型さんでも飛んで向こう側の橋に渡るのは無理そうな距離だ。


 ま、仕方ない。というか、だ。14型さんが俺を強制的に運んでいるから、俺は何も出来ないんだけどな。


 14型が蹴破った金属の扉の先は通路になっており、そのさらに先は、またもや螺旋階段になっていた。更に降りるのか。この階層は結構、大きいよな。降りてきた距離的に砂の中に埋まっている部分だろうけど、本来はここが1階ですって言われても違和感がないくらいの広さだったな。


 螺旋階段を降りていると四つ足の白い犬? のような魔獣が現れた。今度は何だよ。

「マスター、真紅妃さまで視界が塞がれているのです」

 あー、はいはい、俺の手で持っているからな。邪魔してすまないな。


 俺が真紅妃を持ち直していると、そこへ白い犬が飛びかかってきた。14型が難なくそれを回避する。

「今です」

 はいはい。


――[アイスランス]――


 俺の手から生まれた木の枝のように鋭く尖った氷の槍が白い犬を貫く。白い犬は一度体を震わせ、そのまま霧散した。一撃か。にしても、14型さん。ちゃんと言葉で合図が送れるなら、前回は何で俺の外皮を捻ったんだよ。わざとか? わざとなのか?


 螺旋階段を降りきると小さな部屋になっていた。部屋の中央には聖剣などが刺さっていても違和感のなさそうな台座があり、その下に文字が刻まれていた。

 何だ、何だ? 謎解きか? うーむ、文字が読めないのがキツいな。


 14型が台座に近付く。


 台座を上から見ると、何かを差し込むような隙間が見えた。やはり剣でも刺さっていたのかな? 試しに真紅妃でも差し込んでみるか?

 俺の意志を感じたのか真紅妃がふざけるな、とでも言わんばかりに震えた。あ、すいません。


「マスター、ここは行き止まりのようです。戻ります」

 ふむ。まぁ、そうなるか。とりあえず他の扉の先も確認してみるか。




―3―


 いつもの台座のある部屋に戻り、次は北東の扉の先に向かう。そこも南東と同じ作りになっており、最後は何かが刺さっていたと思われる台座があるだけだった。


 北側を抜けた先は橋のすぐ後に螺旋階段となっており、その先は行き止まりになっていた。むむむ。


 北西側も、橋があって、螺旋階段があって、同じような何も刺さっていない台座があるだけの作り。


 南西側も同じ。


 ……。


 中央の台座のあるシェルターまで戻ってくる。


 行き詰まった。各方向の先に何かが刺さっていたと思われる台座があるんだからさ、そこに何かを差し込めば、何かが起きて進展するんだろうけどさ。それは分かるよ、分かるんだ。でも、それが無いじゃん。


 やはり、東側と西側が怪しいか。進む方法が、なぁ。隠し扉でもあるのかと思ったけどさ、何も反応が無いしさ。まぁ、スキルが使えるようになった状態でも線が見えない時点で期待はしてなかったけどさ。


 むむむ。


 あの何かが刺さってそうな台座に書かれている文字でも読めたらな。

『14型、台座の文字を読むことは可能か?』

 一応、14型さんに聞いてみる。


「あの台座に描かれていたのは文字だったのですか?」

 が、14型はそう言って首を横に振った。あー、14型さんでも無理か。


「しかし、形状は記憶しているので、今、書き出すことは可能です」

 へ?


 14型が懐から、墨の固まりを取り出す。って、何で、そんな物を持っているんだよ!


 そして、床に何かを書き始めた。台座に書かれていた文字と思われる物を各扉の方向に合わせて、描いていく。おー、そのまんまだ。

 まるで機械が書き写したかのように正確に、そのままを……って、14型は機械か。

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