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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
7  二つの塔攻略
636/999

7-68 二つの塔魔法側中層部

―1―


 余り広くなく、欄干もない、油断したら下のよく分からない液体に落ちてしまいそうな橋を14型が進んでいく。

 俺たちは中央に作られたシェルターのような建物まで進む。そして、14型がその建物の壁に触れると金属の壁が上下に分かれた。おー、近未来的な開き方の扉だな。うん? 中が見えないな? 何か薄い膜のようなものがあって中が見えない。 何だろう、これ?


 まずは、こういったことにも物怖じしない羽猫が膜の中に飛び込んだ。羽猫の姿が完全に消え、その向こう側から鳴き声だけが聞こえた。問題無い――のか?


 次に14型が手を差し入れ、そのまま俺ごと中に入った。


 その瞬間、俺の視界が変わる。視野が広くなり、はっきりと物が見えるようになる。更に今まで見えなくなっていた線や名称なども表示されるようになった。


 俺の周囲に漂っている色つきの靄も、今は白だけではなく、色々な色の靄が漂っている。もしかして、普通にスキルが使えるようになったのか?


 と、俺がそんなことを考えていると背後の扉が閉まった。閉じ込められた……ワケでは無さそうだな。何だろう、密閉しましたって感じか?


 改めて室内を見回す。


 中央には八大迷宮では毎度おなじみの台座があり、それを囲むように四つの金属の箱があった。

 壁側には入ってきた扉を含めて、向かい合うように6個の扉がある。あれ? 外からだと橋の数は8個あったように見えたんだが、俺の勘違いだろうか。うーむ、まぁ、スキルが使えなくて視力が悪くなっていたからな、見間違えるってコトもあり得るか。


 金属の箱の一つを鑑定してみる。


【罠はかかっていない】


 よし、この部屋なら普通にスキルが使えるぞ。


 というわけで、だ。


『14型、自分の足で歩ける。降ろしてくれ』

 14型に天啓を飛ばす。いつまでも14型に抱えられたままだと困るんですよ。

「マスター、もうよろしいのですか?」

 よろしいのです。


 ここなら普通にスキルも使えるからな。移動にも困らないんだぜ。天啓を使って会話も出来るし、理解も出来るんだぜ。あー、ここなら異能言語理解スキルが使えるから、本の中身も読めるじゃん。


 ここまで本を持ってくることが出来れば……って、あの風化具合だと無理だよなぁ。


 で、だ。14型さん、早く降ろしてください。




―2―


 14型さんが何やら調理道具を取り出して怪しいことをしている。俺は、それを横目に4つの金属の箱を鑑定する。


【罠はかかっていない】


 うん、一個目は、そうだな。


【罠はかかっていない】


 おや、二個目も、か。


【罠はかかっていない】


 なんと、三個目も、か。


【どくばり】


 あ、毒針。毒針かぁ。前回のリベンジだな。前回は何故か回避出来なかったからな。今度こそ、回避してやるぜ。


 俺はサイドアーム・ナラカを使い金属の箱を開ける。


――《飛翔》――


 そのまま大きく後方へと飛ぶ。更にッ!


――[アイスウォール]――

――[アイスウォール]――

――[アイスウォール]――


 俺を取り囲むように三方に氷の壁をはる。これで、どうだッ!


 そして……、


 俺の脳天にサクッと小さな針が刺さった。


 な、なんだと。


 まさか、テレポートでもして飛んできたとでも言うのか? 回避することは出来ないのか……。


 脳天に刺さった針をサイドアーム・ナラカで引き抜く。あー、もう、何なんだよー。一応、傷を癒やしておくか。


――[キュアライト]――


 俺のおでこの辺りに癒やしの光を浴びせる。ぺかーっとな。さてと、宝箱の中身を見るか。

 真紅妃を振り回し、氷の壁を砕いて箱の中身を確認する。


 中には……小さな小瓶が入っていた。


【エルマナポーションS】

【わずかばかりのMPを回復し続けてくれるポーション】


 あー、凄い微妙。MPの回復は自力で出来るもんなぁ。


 ま、他も開けていくか。


【魔法のポーチM(4)】

【亜空間にアイテムを収納できる魔法のポーチ。収納できる種類は4】


 これも微妙。


【光のローブ】

【光の魔力を宿したローブ。キラキラと輝き周囲の魔獣から注目を集める】


 び、微妙。


【白の腕輪】

【光の魔力を宿した腕輪】


 属性を持っているだけで特殊効果は無し、か。でも、これがあれば、どこでも光属性の魔法が使えるんだよな? そう考えるとアタリか。いざとなったら白と黒の仮面を取り出すって手段もあるんだけどさ、出来れば、あれは使いたくないからなぁ。


 俺は金属の箱から白の腕輪を取り出し、俺自身の小さな腕に通してみた。すると白の腕輪が俺の腕に吸い付くようにサイズを変え、俺自身が身につけていても違和感のない大きさに変わった。おー、凄い、謎の技術だ。


 後は14型に渡しておくか。これで14型さんはメイド服にリュック二つ、ポーチを装備、か。凄い格好だ!




―3―


 中央にある、ローブを着た宇宙人のような絵が描かれた台座に手を触れると、この場所の画像が浮かび上がった。おー、登録が完了したって感じかな。しかしまぁ、これが入り口にあったら、もっと楽が出来るんだけどなぁ。ま、無い物は仕方ないか。


「マスター、食事が出来ました」

 14型の料理が終わったようだ。って、おいおい、14型が料理をして大丈夫なのかよ。嫌な予感しか、しないッ!


 もしゃもしゃ。


 しかし、予想に反して、14型が作った料理は普通に食べられる代物だった。謎の道具を使っていたが、ちゃんと温めているし、火も通っている。な、謎だ。


 ま、まぁ、凍らせていたポンちゃんのスープの素と具材が良かったんだろう。14型の料理の腕が上がったわけではないはずだ。まぁ、調理する知恵がついただけでも有り難い進歩だけどな。


 何故かまともになっていた14型の料理を食べ、ここで宿泊することにする。


 さ、明日から、また探索再開だな。

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