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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
7  二つの塔攻略
632/999

7-64 14型の出番だ

―1―


 未だ無数の幼虫がうぞうぞと蠢く螺旋階段を上がり、『二つの塔』の入り口へと戻る。はぁ、疲れた。


 さ、羽猫戻るぜ。


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い、塔の外に出る。そのまま一気に大きな流砂を飛び越える。さて、と。


――《転移チェック8》――


 《転移》のチェックをして、と。これでいつでも『二つの塔』に戻ってくることが出来るな。はぁ、どうせ、外に出ることになるんだから、と《転移》のチェックを後回しにして、危なかったな。場合によっては、もう一度、迷宮を探す所になる可能性があったぜ。もう少し考えよう、俺。うむ。


 さて、戻るか。


「にゃ!」


――《転移》――


 《転移》スキルを使い、羽猫とともに本社前に戻ってくる。


「あ、ランさまですわぁ」

 と、そこで、ちょうど本社から出てきたフルールと出会った。あー、そうか、今の時間だと、ちょうど、おやつの時間か?

「ランさま、例の物はどうなっていますのぉ」

 例のモノとは何でしょう? 覚えがないなぁ。あ、そうだ。


『フルール、属性を持った装飾品は作れるか?』

 そう、水の腕輪とか風の腕輪とか、俺の小さなお手々でも装着できそうな、そういう感じの代物だ。

「ランさま、以前も話した覚えがあるんですのぉ」

 あれ、そうだった? 覚えがないなぁ。

「属性を持ったインゴットからなら簡単な物なら。上質なモノを求めているなら、それこそ、錬金術師に頼むべきですわぁ」

 ふむ。錬金術師か。ちょっと覚えておこう。まぁ、今の段階だと弓を持つしか無いのか……。何というか、水天一碧の弓が水属性だというだけで役に立っています!


「ランさま、待ってますわぁ」

 フルールは、そう言い残して鍛冶工房へと消えていった。はいはい、精霊銀のインゴットね、ちゃんと覚えているってばよ。まぁ、次に《変身》スキルを使った時に作りますかね。


 で、肝心の14型さんがいないんですが……。普段なら、俺が戻ってきた瞬間に、たまたまですからね、って雰囲気を出しながら待ち構えているのになぁ。


 仕方ない、今日はポンちゃんのトコでご飯を食べたら、適当にくつろいで寝るとするか。『二つの塔』の攻略は明日だな。まぁ、期限が決まっているわけでもないし、ここまで来たら焦る必要も無いか。




―2―


 翌朝、目が覚めると、目の前に14型の顔があった。うわ、びっくりした。


 えーっと、14型さん?


 ……反応がない。目を開けたまま眠っているようだ。いや、だから、何で、この子は、無断で俺の部屋に入っているんだよ。怖いな、怖いじゃん。


『14型?』

 俺が天啓を飛ばすと14型が跳ね上がった。


「寝てませんんんー、3の姉さま、14型は寝ていません。眠る必要の無い私が眠るはずがないのです」

 

 ……寝ぼけているのか?


「はっ!? マスターでしたか」

 俺です。

「この私の寝たふり、寝ぼけたふりも、大分上手くなったと思うのです。まぁ、マスターには違いが分からないと思うのですが」

 はいはい。そんなふりを練習しても意味がないよな。これだから、14型は……。


『14型、昨日は姿が見えなかったようだが』

 俺の天啓に14型が謝るように頭を下げる。

「マスター、申し訳ありません。昨日は侵入者の処理に手間取ってしまいました」

 ん?


『侵入者がいたのか?』

 俺の天啓を受け14型がお辞儀をする。

「ええ。昨日は数も多く手練れもいたため、この私でも少し苦労したのです」

 んんー? その事実、俺は初めて聞くんだが。まさか、羽猫や14型がたまにいないのって、侵入者を撃退しているからか? むむむ。


『14型、本日はお前を連れて迷宮の攻略に行こうかと思っていたのだが、もしかすると、だ。お前がいなくなると本社を守る者がいなくなり、危険な状況になりそうなのか?』

 俺の天啓を受けた14型はわざとらしく首を横に振り、ため息を吐いた。

「マスターは私の力を見る機会が少ないため、考えの足りない想像で過小評価しているようなのです。昨日、私が、1日かけて殲滅したのですから、当分の間、襲撃はないと思われるのです」

 長い! つまり、当分は大丈夫ってコトだよな。


『ならば、14型、お前を連れても大丈夫なのだな?』

 14型がスカートの端を掴み、優雅にお辞儀する。

「当然なのです」

 あ、はい。


 ま、まぁ、14型さんも一緒に行くってコトで。




―3―


 日課の水を作り、ポンちゃんのところで朝ご飯を食べて、お弁当と食材を預かり出発する。


――《転移》――


 14型、羽猫とともに砂漠に降り立つ。


 ……。


 あれ?


 『二つの塔』のある流砂の前でチェックしたよな? 間違えたかな。


――《転移》――


 もう一度、《転移》スキルを発動させる。


 俺たちの体が空高くへと舞い上がり……いやいや、間違ってない、間違ってないぞ。


 そのまま先程と同じ場所に降り立つ。


 どういうことだ?


 昨日は、ここに『二つの塔』があったよな?


 妖精の鐘を取り出し、振ってみる。すると西側で小さく音が鳴った。


 ……。


 もしかして、『二つの塔』って移動するのか? 移動するなら《転移》スキルが結構、微妙になるなぁ。むむむ。

「マスター、どうしたのです?」

 14型が声をかけてくる。はぁ、仕方ない、妖精の鐘が鳴る方向に黙々と歩くか。


『14型、歩くぞ』

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