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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
7  二つの塔攻略
613/999

7-46 炎の陣羽織です

―1―


 今日は隣がドラド商会じゃないんだなぁ、なんてどうでも良いことを思いながら、競売の様子を眺めていると、突然、14型が立ち上がった。ど、どうした?


「マスター、マスターの敵が迫っているのです」

 俺の敵? 何のことだ?


 14型は、そのままバルコニーの外へと歩いて行く。いやいや、ホント、どうしたんだ?


「あのー、ノアルジー商会の皆様ー、あのー」

 ハルマは、バルコニーを出て行く14型と俺たちを見比べ、おろおろとしている。


 まぁ、14型はポンコツそうに見えて、やっぱりポンコツだけどさ、それでも俺に不利益になることはしないヤツだからな。

 俺はファリンの膝の上から飛び降りる。それを見たミカンが刀を手に立ち上がる。

「ランさま、どうされたのです?」

 ファリンが不安そうにこちらを見ている。


 俺の敵、か。

『ファリンは、いざという時に備えて、ここで待機だ。フルールを守ってくれ』

「かしこまりました」

 俺の天啓を受け、ファリンが頷く。

「はぃー? どうしたんですのぉ」

 フルールはご機嫌でお酒を飲んでいる。昼間からお酒とは、ホント、この犬頭、いい身分だよなぁ。まぁ、飲み物をお酒しか出してくれない、この国にも問題があると思うがね。


『ミカン、いくぞ』

「うむ」

 ミカンと共に14型の後を追う。


 王宮の外に出ようとしたトコロで兵士に呼び止められる。

「さっきの人といい、あんた方、競売中は許可のない外出は遠慮してくれ。無駄に疑われることになるぞ」

 まぁ、そうなんだけどさ。


『外の様子はどうなっている? 何か異常が起きていないか?』

 俺が天啓を飛ばすと、兵士の1人が頭を掻きながらも、外を見に行った。

「あいつが見てくるから、ここで待っててくれ」

 兵士の一人は嫌そうな顔で俺を見ている。大丈夫か? にしても、よくもまぁ、14型は上手く外に出たもんだな。


 閉じられた外への扉の前で待っていると、そこへ大きな音が響き渡った。何だ? 何かが壊れたというか、突っ込んできたかのような?

『おい、大丈夫か?』

 どう考えても大丈夫じゃないよな。


「お、俺も見てくるから、待ってろ」

 残ったもう一人の兵士も扉を開け、外へと走って行く。


 扉の前には俺とミカンだけが残された。俺はミカンと顔を見合わせる。これは、アレだな、行くしかないよな!

「ラン殿」

『ああ』




―2―


 扉を開け、外に出る。


 そこは戦場だった。


 空飛ぶ魔獣の群れと地を這う魔獣の群れが風の刃を飛ばし、火を吐き、都市を破壊している。こちらも兵士や空を飛ぶルフにのった騎士が迎え撃っているが、状況は余りよろしくないようだ。

「ノアルジー商会の方か! ここは危険だ、中に入っていて欲しい」

 扉の側に長い斧槍を持ち鎧に包まれたアルマがいた。


『状況は?』

 俺の天啓にアルマは少しだけ眉を上げる。

「突然、魔獣が出現した」

 突然? 転送でもされてきたって言うのか?

『自分たちも手伝おう』

 俺の天啓にアルマは首を横に振る。

「守りに長けたナリン国の底力をお見せしよう」

 いやいや、そういうことを言っている場合じゃないだろ。


 ルフにのって空を飛び、魔獣の群れを押さえ込んでいた騎士が、突然、吹き飛んだ。

「何事か!」

 扉を守っていたアルマが空を見て叫ぶ。


「ククク、僕の敵じゃないなー」

 そこには白銀のグリフォンに跨がり、巨大なカマを持った白髪の少女が居た。


 こいつは、こいつはッ!


 俺は知っている! 魔族、ホワイトディザスター!


 そして、俺の目の前に腕を交差させ構えた14型が吹っ飛んできた。

「マスター、どうして、こちらへ?」

 いやいや、お前こそ、何をやっているんだよ。吹っ飛んできた割にはのんきだな。


「お前、機械人形の癖に何なんだ? こいつが例のナンバーズか? なかなかやるじゃねえかよ」

 火を吐く犬のような魔獣の群れの中から、炎を纏い全身を真っ赤に染め上げた女が現れる。


 お前はッ!


「お前はっ!」

 ミカンが叫ぶ!


 そうレッドカノン。俺の敵、そして、ミカンの仇だ。


「他に骨のあるヤツはいねえのか」

 レッドカノンが巨大な炎の固まりを浮かべてお手玉をしている。火属性……そうか。ミカンが(ほむら)の陣羽織を欲しがった理由、そうだよな。


『ミカン、お前は王宮に戻れ』

「ラン殿、それは出来ぬ、出来ません!」

 ミカンが叫ぶ。


「たくよー、使いに出したヤツらから連絡がないと思ってみれば、俺様達はこれでも穏便に済ませようと思っていたんだぜ」

 レッドカノンはニヤニヤと笑っている。

「ホントにねー。青は青で姫さまを見つけたって何かやってるしさー」


 俺はミカンを見る。

『違う、俺がここで、こいつらを足止めする。その間に、お前は(ほむら)の陣羽織を取ってこい』

 俺の天啓を受け、ミカンが息を飲み、そして頷く。さあ、行け。


『アルマ殿、こいつらは魔族だ。それも凶悪な、な』

 俺の天啓に、アルマが驚きの声を上げる。

「何故、魔族が!」


 さてと、真紅妃、お前の仇だな。前回よりも強化された力を見せつけないとな。


 俺は真紅妃と槍形態のスターダストを構える。それを見たアルマも斧槍を構える。


「僕と赤もいるのにー? ククク、どうにかなると思っているんだ。おかしなヒトモドキたち……って、あれ?」

「どうした? 白」

「あいつ、あの巨大な芋虫、見たことがある」

「ヒトモドキに使われている、ただの魔獣だろ」

 こいつら、俺のコトを好き勝手言いやがって。特に赤いの! 俺のコトを忘れているのか。そうかよ、そんなに雑魚に見えていたのかよ!


 いいぜ、それを後悔させてやる。

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