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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
7  二つの塔攻略
602/999

7-35 準備完了なのだ

―1―


 競売の開始日まで余裕があったので《転移チェック》を整理する。


 《転移チェック1》をウドゥン帝国の本社に。

 《転移チェック2》を迷宮都市の支社に。

 《転移チェック3》を神聖王国レムリアースの学院裏に。

 《転移チェック4》をナハン大森林のスイロウの里前に。

 《転移チェック5》をナハン大森林のフウキョウの里前に。

 《転移チェック6》を砂漠のオアシスに。

 《転移チェック7》をキャラ港の近くファット団のアジト前に。

 《転移チェック8》をナリンの首都ナハトフロッシュに。


 《転移》スキルの整理完了です。《飛翔》スキルで砂漠を往復したり、大森林を飛び交ったり、結構大変だったんですけど。にしても、やはりチェック出来る数が8個は少ないよなぁ。今の倍くらいは欲しいよ。

 まぁ、6、7、8は場合によっては消すということで上手くやりくりしますか!


 さてと、では《転移》の確認も終わり、ナリンの競売に行きますか。連れて行く人員はどうせ勝手についてくるであろう14型と羽猫、それに迷宮都市で修行中のミカンを護衛に――後は商人関係のやり取りでいると心強いユエか。でも、ユエは、なぁ。まだ子どもが可愛い時期だろうし、ちょっと考えちゃうよな。でも、俺には頼れるのがユエしかいないんだよなぁ。よし、ユエと相談するか。


 うん、それくらいだな。


 とりあえずポンちゃんの食堂でご飯を食べてから向かうとしよう。その間にさ、14型にユエを呼んで貰うかな。




―2―


 もしゃもしゃ。


「探しましたわぁ」

 ポンちゃんの食堂であんかけ麺を食べていると、何処かで聞いたことがある声が聞こえた。

「あ、フルールは甘い方の饅頭でお願いですわぁ」

 そこにいたのは犬頭のフルールだった。そういえばフルールと会うのって久しぶりだな。


「ランさま! 探しましたわぁ。あ、後、フルーティなスープも一つお願いですわぁ」

 はいはい、で、フルールさんは、俺を探していたんだね。俺、この後、ナリンに向かうから時間が無いんだぜ。

「頼まれていた、鎧、完成したのに、ランさまの姿が見えなくて困っていたのですわぁ」


 もしゃもしゃ。


 もしゃ!?


 あー、そういえば、そんなものを頼んでいたような覚えが……。すっかり忘れていたなぁ。


『いや、これからユエと相談してナリンの競売に向かう所なのだ。鎧はまた後で、な』

 俺が『競売』と天啓を飛ばした所でフルールの手が止まった。

「競売! 私も行きたいですわぁ!」

 えー、フルールも来るの? 何をしに?


「ランさま、ノアルジー商会として競売に流す商品がないと侮られると思いますわぁ。そ・の・点! この天才フルールが作った物があれば、ノアルジー商会の名声はもっと高まると思いますわぁ」

 ふむ。うちが出品する物か。考えてもいなかったな。いや、だってさ、どういう形態の競売かもわかってないんだぜ。そういったモノがいるかどうかもわからないじゃん。


「マスター、この駄犬を黙らせますか?」

 うお、14型さん!? いつの間に戻ったんだよ。ユエを呼んできてくれたんだよな?


「ランさま、ユエをお呼びということで急いできました」

 14型の後ろに隠れていたユエが、前に出てお辞儀をする。あ、ユエ、ちゃんといたんだな。いつも頼り切りですまないな。

「ランさま、話を途中から聞いていましたが、フルールの作った装飾品は商会の顔として出す価値はあると思います」

 へぇ、フルールの作った装飾品って、ユエがそうやって言うほどの品なんだ。


 ……はぁ、仕方ないな。

『分かった。フルールも連れて行くとしよう。ユエと話している間に準備を頼む』




―3―


『ユエ、というわけだ』

 というわけなのだった。


「というわけがわかりません……けど、とりあえず商人の知識があって、頼りになる人間が必要だということはわかりました」

 そうそう、それだ。

「ランさま、そこまで私たち家族に気を遣っていただかなくても――私は大丈夫です」

 そうは言うがね。仕事人間ダメ絶対ですよ。

「分かりました。私はこちらでの仕事に専念します」

 ユエはそのまま腕を組み考え込む。いや、だから、仕事……。


「そうですね、商人としての知識もあって、気が回り、ランさまの護衛も出来る……となるとファリンがよろしいかと思います」

 ファリン? 誰だ?


『分かった。人選は任せる』

 ユエが頷く。

「はい、時間がありません。急ぎ準備させます」

 お願いします。ホント、この猫さんは働き者過ぎるぜ。


 じゃ、俺は中庭で待ってますかね。




―4―


 中庭でうぞうぞして待っていると受付をやっている鬼人族のお姉さんがやって来た。立派な角に大きな体、凄い目立つよね。って、アレ? いつもの受付の格好じゃないな。流れるような紅い着物を着て両手に篭手をつけている。


「ランさま、準備出来ました」

 そして、受付のお姉さんは俺の前で両拳をあてひざまずいた。着物で跪かれると太ももが見えちゃいますね。

 もしかして、この子がユエの言っていたファリンか。た、確かに頼りになる感じだな。


「ら、ランさまー」

 そして、フルールもやって来た。


 何を思ったのかフルールは大きな荷物を抱え込み、引き摺るように歩いていた。おいおい、準備に時間がかかっていると思えば、何を持ってきたのやら……。


「オーナー……、いえ、ランさま。行ってきます」

 ファリンが軽く頭を下げ、フルールの方へと向かう。そのままフルールごと大荷物を担ぎ上げ、こちらへと戻ってくる。い、いやぁ、鬼人族さんは大柄で力持ちですね。


 ま、まぁ、何にせよ。これで人は揃ったか。


 俺と14型、羽猫、それにフルールとファリン。あー、後、途中で迷宮都市からミカンを回収しないと……。

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