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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
7  二つの塔攻略
577/999

7-11 予期せぬ再開と

―1―


 それから数日後。


 またもステラが怪しい行動を取り始めた。


 ステラがキョロキョロと周囲の様子を覗いながら学院の裏へ向かっている。うーむ、また、学院の裏から外に出るのか?


 よし、今度は俺自身で跡をつけてみよう。幸い、これから講義の時間だ。人の数は減ってくるから、俺自身が追いかけても他の人に見つかる可能性は低いだろう。

 分身体はそのまま講義に出席させて、と。さあ、追いかけるぞ!


――《隠形》――


 俺は《隠形》スキルを使い、すぐに学院の裏へと向かう。よし、予想通り人目はないな! どんどん進むぜ。


 生い茂った雑草を滑るように掻き分け進む。そして、すぐに裏の外壁へ到着っと。


 結界の隙間は……?


 前回と同じ場所を調べると、俺の小さな手が壁をすり抜けた。よし、間違いない。にしても、隠し通路とか線が見えているワケでも無いし、何なんだろうな、コレ。


 結界を抜け、裏の森の中へと入る。そこでステラを探すと、森の西側に、その姿が見えた。よし、木の陰に隠れながら追いかけよう。


 ステラは森をどんどん進んでいく。えーっと、そっちに進むと大きなグラウンドがある場所じゃないか? 俺が学院の入学試験を受けた場所だよな。


 ステラはグラウンドに進むかと思われたが、途中で方向を変え、森の中へ歩いて行く。おや、グラウンドじゃないのか。


 そのまま進み続けると、少しばかり開けた場所に出た。


 と、そこでは何処かで見たことのある聖騎士が、何処かで見たことのある盾を構え、剣を振っていた。刃を潰した練習用の剣だな。


 ステラは開けた森の端で座り込み、夢中で剣を振る聖騎士を見守っている。何だ、何だ、コレ、どういう状況なんだ?


 聖騎士が素振りを止め、額の汗をぬぐう。と、そこでステラの存在に気付いたのか、そちらへ振り返る。

「や、やぁ」

 ステラは聖騎士をじーっと静かに見つめたままだ。


 見つめられた聖騎士が視線に耐えられなくなり、顔を逸らしたところでステラが口を開いた。

「毎日、毎日、騎士学校の練習だけではなく、1人でも練習して……辛くないんですか。なんで続けられるんですか……」

 ステラの言葉に、聖騎士が頬を掻く。

「守りたい人がいるから、ずっとずっと上を目指しているからね」

 そう言った聖騎士は、自分の言葉に照れくさくなったのか、すぐに素振りを再開した。


「私は……」

 ステラがぽつりと言葉を落とすように喋り始める。それは、まるで自分に言い聞かせているかのようだった。

「実家の宿屋を継げたら、それでいいんです……。でも師匠には自分を守る力を身につけろと魔法の修行をさせられます……」


 うーむ。


 これは、何だろう。


 えーっと、これはこのまま見ていても良い物なのだろうか? うーむ、うーん。


 何だか、俺の予想していたのと違う展開だなー。


 ま、まぁ、アレだ、このまま、ここに残り続けるのは良くないな、うん。


 俺様はクールに去るぜ。


 にしても、紫炎の魔女が心配するような、何か変なコトじゃなかったな、うん。ステラが半魔族だからさ、魔族と連絡を取り合っているとか、そういう悪い方向の予想を、ちらっとでもしていたのが馬鹿みたいだ。




―2―


 ステラが発見していた裏口を使うことで帝都との行き来がやりやすくなった。まぁ、どうやってステラがあの道を発見したのか、とか、どうやって、あの聖騎士くんと知り合ったのか、とか、疑問は尽きないけどさ、とりあえず便利になったというコトで良しとする。


 これでバリバリ学院をサボれるぞ!


 今日も今日とて本社に戻り、くつろいでいると、ポンちゃんがやって来た。はろ、はろー。


「オーナー、会の料理の準備は終わりそうじゃんよ」

 ふーん。で、会って何?


 ポンちゃんに聞くと、どうやら、何か本社の打ち上げ? みたいな会合を開くとか。その為に多くの猫人族の料理人を呼んだみたいだ。へー、タクワンさんとかが来ていた理由ってソレか。


 で、まずは俺が一言挨拶して、それでお食事会、みたいな流れか。


 本社前の庭を使って行うらしいけどさ、雨が降ったら大変だよな。ナハンでは雨を見たことがなかったけどさ、こっちではたまに雨が降るもんなぁ。


 そういえば迷宮都市や神国では雨を余り見ないな。迷宮都市は無駄に暑いし、神国は霧が出るから、まぁ、それが鬱陶しいといえば鬱陶しいんだけどさ。


 もうすぐ――近日中には行うってコトだけどさ。なんで、日にちを決めて行わないんだろうか。よく分からんな。まぁ、俺的には、それほど重要なコトでは無いしさ、好きにして貰うかな。


『ポン、日にちが決まったら教えてくれ。自分もなるべく神国からこちらに居るようにはする』

「ああ、オーナー、頼むぜ」


 会社が大きくなるとよく分からないことが増えるなぁ。

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