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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
7  二つの塔攻略
576/999

7-10 ステラの謎行動

―1―


 分身体でステラを探す。


 すると学院の建物の影でステラを見つけた。何やら周囲を気にしてキョロキョロと辺りを見回しながら建物の裏へと消えていく。しゅわしゅわー。


 確かにさ、紫炎の魔女が言っていたように様子がおかしいな。何で他の誰かからも見つからないように隠れて動いているんだ?


 とりあえず後を付けてみよう。


――《隠形》――


 《隠形》スキルを使い気配を消す。


――《魔法糸》――


 そのまま分身体で魔法糸を飛ばし、学院の壁に張り付き、ステラの頭上からゆっくりと後を追いかける。

 建物の裏に回ろうとしている? どこへ行こうとしているんだ?


 学院の裏側は背の低い木がまばらに生え、雑草が生い茂っていた。余り手入れはされていないようだ。ステラはこんなところに何の用があるんだ?


 と、そこでステラがこちらへと振り返った。

「誰か居るんじゃないですか……?」

 気付かれた? いや、まだだ。


――《隠形》――


 再度、《隠形》スキルを発動させ息を潜める。まぁ、分身体は息をしていませんがね! って、今まで意識していなかったけどさ、息をしないのは逆に不味いか? 呼吸をしない人間って怪しいよな。よ、よし、今度から人前では振りでも呼吸をするようにしよう。うんうん、危ないなぁ。


「出てきてください……。いるのは分かっています」

 むむむ。これは本当にバレたか? ディスオーダーの魔法を使うか? 闇属性だから分身体でも使えるしな。でもさ、混乱魔法が半魔族のステラに効くかどうかが不安なんだよなぁ。

 バーン君が覚えていた魔法で使えそうなのは……って、分身体だと使えないじゃん。他に有用そうなスキルも無いし、うーむ。

 ウィンドウボイスで誤魔化すか? いやいや、下手なことをするとやはり不味そうな気が……。


 分身体の気配を消して、そんなことを考えているとステラが大きなため息を吐いて動き出した。ま、まさか、はったりだったのか?

 もしかすると紫炎の魔女あたりが下手くそな尾行をして、やらかしているんじゃないだろうな。じゃないと、あんな試すようなコトはしないよな。


 ステラが覆い茂った雑草を掻き分けながら進んでいく。にしても、伸び放題、生え放題だな。俺の背と同じくらいまで伸びてるじゃん。ここまで伸びているのは学院の裏が小迷宮になっているのと関係があるのかな? うっし、分身体で音を立てないように気をつけて動かないとな。


 やがて学院裏の外壁へと辿り着く。こんな場所に何の用があるんだろうか? 学院の周囲は結界が張られているから、もし、壁に穴が開いていたとしても外に出るコトなんて出来ないしさ。

 この学院てば、入り口からブラックオニキスを使って出入りするしかないからさ、ホント、不便なんだよな。特に芋虫スタイルの時は学院から出る時と入る時が命懸けだよ。《転移》スキルも使えないしさ。


 って、あれ?


 ステラの姿が消えた。


 ど、何処に行った?


 あるのは壁と伸びきった雑草だけ。


 な、な、な、何が起こった?


 分身体で外壁に近付く。うーむ、距離的にギリギリだな。にしても、壁だよな。


 と、おや?


 壁の一部が崩れ、向こう側が見えている。まさか、ここから壁の向こうに?


 よ、よし、距離的にギリギリだけどさ、確認してみよう!


 ……。


 分身体を動かし、穴を抜け、壁の向こう側に行こうとするが、何かに阻まれる。うへ、分身体の頭をぶつけたじゃないか。余り強い衝撃を与えると分身体が消えちゃうんだからな! まぁ、分身体は死んでも死なないけどさ。


 うーん、やっぱり結界があるから通り抜けは無理だよな。


 ステラは何処に消えたんだ?


 ……。


 よし、ステラが戻ってくるまでここで見張るか! こうなったら持久戦だよな!




―2―


 時間を潰す。本体で、芋虫形態でも格闘スキルが使えないかを試して、体の一部が有らぬ方に曲がって慌てて回復魔法を使ったり、封印の魔石にアクアポンドを詰めたりして時間を潰す。


 うむ、有意義な時間の使い方だな!


 そんなことをやっていると壁に動きがあった。


 壁の一部から手が生える。そして、そこから体が、服が、足が、頭が生える。何だと……。


 ステラが壁をすり抜けている。どういうことだ?


 俺は分身体を雑草の影に隠し、ステラが立ち去るのを待つ。ステラの気配が消えたのを確認してから、壁に近付く。確か、このあたりだよな。


 ステラが現れたあたりの壁に触れると手がすり抜けた。まやかしの壁?


 壁に見えるけど、一部分だけ通り抜けられるぞ。もう、それこそ、横向きになってギリギリ人が通れるくらいだ。なるほど、ここが通り抜けられるくらいステラは痩せたってコトか。いやいや、そういうことじゃなくてだな。


 これってさ、ここを抜ければ小迷宮と化している裏の森だよな。


 ステラは何で、そんな場所へ行っているんだ?


 ステラは何で、この秘密の通路を知っているんだ?


 どういうことだ?


 ここを通ればブラックオニキスがなくても、学院の結界を気にせずに出入りできるってコトだよな。俺的には芋虫スタイル状態の時に、わざわざ人目に付きやすい正門を通らなくても良いから、嬉しい発見だけどさ。


 これってどういうことだ?


 さすがに、これ以上先は分身体の範囲外か。


 今度、俺自身で来る必要があるな。それと、ステラが何をしているのかも確認した方がいいよな。


 うーむ、ちょっときな臭くなって気がするなぁ。

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