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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
7  二つの塔攻略
571/999

7-5  ノアルジー商会

―1―


 翌朝、帝都に戻ろうと屋敷の外に出ると羽猫が飛んできた。おー、そういえば、お前の姿を見なかったな。

「にゃ!」

 羽猫はぱたぱたと背中の羽を動かして飛びながら前足を上げる。いや、よくわからないが。まぁ、とりあえずお帰り。


「マスター、この小動物はこちらに放置してもよろしいかと思うのですが」

 いやいや、放置しないからね。それに放置しても大きくなって帝都まで飛んできそうだしね!


『では、一度帝都まで戻るぞ』

 俺の天啓を受け14型が優雅にお辞儀をする。そして羽猫が俺の頭の上に乗っかる。うーん、ま、いっか。


――《転移》――


 《転移》スキルを使い、飛び、帝都の本社前に戻る。


 ノアルジ商会、本社の建物は何も変わっていない。そんなに日数が経っていないのにさ、随分と久しぶりに戻ってきたって気がするなぁ。


 銀のローブのフードをおろし、そのまま本社の中へと入る。

「オーナー、お帰りなさいませ」

 俺の姿に気付いた大柄な鬼人族の女性がお辞儀をする。うむ、今、戻ったのだ。


『14型、会議室に皆を集めて欲しい』

「了解しました」

 14型に幹部連中の招集を頼み、俺と羽猫は、そのまま会議室へと向かう。


 さあて、コレからのことだな。




―2―


 会議室にある懐かしの俺専用に椅子に座り、皆がやってくるのを待つ。すると、何故か受付のお姉さんがやって来て、お茶? のような物を入れてくれた。あ、すいませんです。

 そして、それに満足したのか、受付のお姉さんはにこやかな笑顔を残して会議室を後にした。うーむ、何だったんだろう。


 そのまま、しばらく待っていると皆がやって来た。


 ポンちゃん、犬頭のフルールとスカイ、森人族のクニエさん、鍛冶士兼アドバイザーのフエ、ファットの兄貴、最後に14型だ。


 あれ? ユエの姿が見えないな。ノアルジ商会では一番頼りになる子がいないと困るんですけどー。

『ユエはどうしたんだ?』

「あいつは体調不良だ」

 俺が天啓を飛ばすと何故かファットの兄貴が教えてくれた。


『大丈夫なのか?』

「問題ないぜ」

 そうか。まぁ、でも体調不良はちょっと心配だな。にしても、ファットがいるのは意外だな。うちの商船の護衛をしているから、てっきり海の上だと思っていたんだけどな。タイミングが良かったのかな。


「マスター、集め終わりました」

 14型が俺の背後に控える。うむす。


 では、と。ユエがいないから俺が司会進行をするか。


『まずは、集まって貰った理由だが、ノアルジ商会の今後とお願いだ』

 俺の天啓を受け席に着いた皆が頷く。


『まず、自分はまだ神国に残ることになりそうだ』

 そうなんだよな、まだまだ神国でやることがあるんだよなぁ。

『だが、神国での商売の許可は得てきた。ノアルジ商会は神国まで手を伸ばす』

 俺の天啓に皆が驚く。

「でもよ、神国まで距離がありすぎるぜ。迷宮都市の時よりも困難じゃないのかよ」

 ファットがそんなことを言っている。そりゃね、それは俺も考えましたよ。《転移》スキルが魔法だったら封印の魔石に封じて使えるんだけどなぁ。なかなかうまく行かないものである。


 情報の伝達も距離がありすぎて難しいし、むむむ。ホント、距離の問題は何とかしたい。何か上手い方法でもあればなぁ。俺が《転移》で数人ずつ運べばいいって問題じゃ無いしな。神国の飛竜みたいな空を渡る手段を考えるべきか……。


『そこは迷宮都市を拠点として地道に手を広げていくしかないだろう』

 ま、まぁ、皆で考えて何かいい案がないか頑張って欲しいです。


「ラン様、神国へは決まった時期にしか渡れないと聞いています」

 お、クニエさん、物知りだね。そうなんだよな、『刹那の断崖』を通ればいつでも渡れるんだけどさ、あそこは飛竜の巣になっているからな、俺も通り抜けるのは大変だったぜ。毎回毎回、俺が殲滅するわけにもいかないしなぁ。


『橋を作ろうと思う』

 俺の天啓にファットが頭を抱えていた。

「おいおい、なんで橋が架かってないのか知らないのかよ。帝国と神国は戦争中なんだぜ」

 あー、そういう。ファットの兄貴、意外と物知りだな。でもさ、神国のトップが姫さまに変わるなら、事情も変わってくるんじゃない?


「決定なんだな?」

 ファットの兄貴がこちらを値踏みするように強い瞳の色をたたえて見つめてくる。

『ああ』

 そして頭を抱えた。

「ちっ。この商会は、お前の商会だからよ。ユエと相談して上手くやってやるぜ」

 なんでファットの兄貴が仕切っているんだ? ま、まぁ、頼みます。


 フルールとスカイは自分に関係無いとばかりに鼻歌を歌っていた。こいつら、やる気ねぇなぁ。


『それとお願いなのだが、情報を仕入れることは可能か?』

 俺の天啓に皆の視線がスカイに集まる。スカイは鼻歌を歌ってくつろいでいるままだ。


「ふふふーん。って、へ、は、俺?」

 ホント、これがギルドマスターなんだから、ホント、下が有能なんだろうなぁ。


『流浪の治癒術士が治療を施した人間、女神教団が治療を施した人間を探して欲しい』

「それは商会として重要なことなのか?」

 何故かフエさんが聞いてくる。

『いや、今は関係無い。が、重要になるかもしれないことだ』

 いや、本音は個人的なことです。

「お、おうさー。俺のギルドで頑張るさ」

 犬頭のスカイが胸を張っていた。調子いいなぁ。凄い不安だけど、まぁ、うん。


『それと妖精の鐘と呼ばれる魔法具とエリクサーと呼ばれる万能薬の捜索もお願いしたい』

 そうそう、この二つは重要だよね。

「そりゃもう! 冒険者ギルドに依頼して貰えれば、任せて欲しいっすよ」

 スカイが言うと凄い不安です。まぁ、でも。


『よろしく頼む』


 あー、後、フルール、大量のインゴットです。適当にお願いしまーす。

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