2-50 準備
―1―
翌日、買い物に行こうと大通りを歩いていると冒険者ギルドの前が騒がしくなっていた。うん? 何だろう。冒険者ギルドに行く用事は無かったけど寄ってみるか。
冒険者ギルドの前には30人ほどの冒険者達が集まっていた。
『何かあったのか?』
冒険者の一人がこちらを向く。
「おー、星獣様か。待ってな、もうすぐ説明があるからよ」
ふーん。しばらく待っていると眼帯ハゲのおっさんが冒険者ギルドから出てきた。
「おーっし、集まっているな。説明するぞって、ランも居るじゃねえか。お前はまだGランクだから参加資格ねえぞ」
うん? 参加資格って何だ?
『まぁ、説明だけ聞かせてくれ』
聞くだけ聞いとこ。
「まぁ、いいけどよ」
そう言って眼帯のおっさんは説明を始めた。
「今回Fランク、5レベル以上の冒険者に集まって貰ったのは他でもねぇ、魔人族の住み処の掃討だ」
はあぁ?
「集まって貰ったパーティでレイドを組んで貰うぜ。入手した情報では、奴ら、シルバーウルフをテイムして使役しているらしい。更に10数人規模の集まりだ」
間違いない……奴らのことか。
「おいおい、シルバーウルフかよ」
冒険者の一人が声を出す。
「ああ、シルバーウルフだ。まぁ、その分、数を集めたんだから大丈夫だろ? 盗賊連中は大体5レベル相当らしいしな。まぁ、二人ほど高レベル相当がいるって事だから、そいつらだけが要注意だな」
「5レベル相当か……。まぁ、この数なら楽勝か」
「そういうことだ」
数の暴力は凄いよね。
「出発は明日だ。今日一日しかねえぇが、気張って準備しやがれ」
「今回のは強制か?」
冒険者の一人が質問をする。
「一応な。帝国からの依頼てぇのもあるしな。その関係で帝国の軍人も参加するらしいぜ」
その言葉に冒険者連中は騒ぎ出す。
「軍人かよ」「俺たちだけの方が上手く出来るぜ」「そうだそうだ」「うぜぇ」
なんというか、荒くればっかりだね。
「で、報酬は?」「それが重要だぜ」「そうだそうだ」「うぜぇ」
お金は大事だよね。
「パーティ単位で327680円(金貨1枚)だ」
「少ねぇ」「ケチだ」「そうだそうだ」「うぜぇ」
少ない……のか?
「後は魔人族連中が隠し持っている宝が報酬だな。ただし、捜索依頼のかかっているヤツは無しだぜ。その分はGPで還元だ」
「ち、我慢するぜ」「仕方ねぇな」「ふぅ……」『うぜぇ』
……一人、賢者がいるな。
にしても明日か。急だな。今回の情報がどこからもたらされたのか分からないけれど、話を聞く限りでは確実にエンヴィー達のアジトのことだよな。高レベルってのがヤツの事なんだろうか。
はぁ、話の中に出てきた帝国の軍人ってソード・アハトさんの事だよなぁ。蟻人族がどれくらい戦闘に長けた種族なのかは分からないけれど、あの人はかなり出来そうだったよなぁ。
くっそ、完全に予定が狂った。まぁ、知らない間に倒されているよりはマシか……。
買い物の予定の内容が完全に変わったな。現在の所持金は金貨2枚、小金貨4枚、銀貨2枚、銅貨2枚、潰銭76枚か……。当初はレッドアイ素材の槍の残金にしようかなと思ったんだが、まだ完成していない物にお金を使うのはな……。完成していたなら受け取って戦力の増強を図るのも一つの手だったんだけどなぁ。
後はMSPか……。現在のMSPは丁度160。200まで貯める予定だったけど、そういうわけにもいかないか。
よし、決めた。
まずは早弓に40を振り分ける。
【《早弓》スキルが開花しました】
【《早弓》スキル:常時発動、弓を射る速度が向上する】
うん、予想通りのスキルだ。早弓の次のレベルは80か。よし更に振ろう。
【《早弓》スキルがレベルアップ】
【《早弓》スキル2:2連続で矢を射ることが出来る】
お、連続矢か。次は120か。やっぱり40ずつ増える感じなのか。最初の数字が足されていくってのは全スキル共通ぽいな。にしても120かぁ、現状で振るのは無理だな。
残り40、集中と遠視に20ずつだな。
【《集中》スキルが開花しました】
【《集中》スキル:集中力が増す】
これはアクティブスキルか。発動させて使う感じみたいだけど、使えば集中力が増すのかな。まぁ、発動系ってことはリキャストタイムがあるんだろうなぁ。受験勉強とかに便利そうなスキルです。
【《遠視》スキルが開花しました】
【《遠視》スキル:常時発動、遠くがよく見えるようになる。調整可能】
うお、急に目が良くなった。今までのぼやけた視界から一気にクリアになったぞ。これもパッシブ系なのか。てっきり発動させて使うスキルだと思ったんだが……。お、割と調整が利く。遠くを見ようと思えば遠くに視点があってよく見えるようになるし、近くを見るときは近くに視点が合うな。これは便利だ。うん、このスキルを重点的に上げた方が良かったかも。失敗したなぁ。
まぁ、何にせよ、これでMSPは0だ。次は買い物だな。
―2―
まずはクノエ魔法具店である。
お、ちゃんとクノエさんが居る。これでお婆ちゃんだったら、どうしようかと思ったぜ。今日の予定が完全に崩れるところだった。
『すまない、矢を買いたいのだが』
「あ、ランさん。おはようございます。矢ですねー」
クノエさんがこちらに気付いて挨拶をしてくれる。
『ああ、おはよう。して矢なのだが、爆裂の矢を3本に火炎の矢を1本貰いたい』
クノエさんが奥から矢を持ってきてくれる。
「573440円(金貨1枚、小金貨6枚)になりますね」
俺はお金を渡し、矢を受け取る。
さあ、次は武器だな。
やって来たのはホワイトさんの鍛冶屋だ。
『武器を貰いたい』
「はいはい、今度は何が要るんだよぉ」
奥からホワイトさんが出てくる。
『鉄の槍2本と魔法の矢筒、鉄の矢28本だな』
「お、おまえ、また武器を壊したのかよぉ!」
いや、違うんですってば。今回は不可抗力なんです。全部セフィロスライムが悪いんです。
「まぁいい。あー、後な作っている槍だけどもうすぐ完成するぞ。お前さん向きな武器になりそうだ」
へぇー。俺向きってどんな感じなんだろう。
「で、鉄の槍2本と魔法の矢筒と鉄の矢28本だったよな。230400円(小金貨5枚、銀貨5枚)だ」
俺はお金を渡し商品を受け取る。これで手持ちは銀貨3枚と銅貨2枚、潰銭76枚だ。はぁ、一気にお金を使ったなぁ。
「鉄の矢筒はどうすんだ? 何なら下取りするぜ」
あ、はい、お願いします。そして貰ったのは銅貨1枚だった。って、マジですか。元値の16分の1かよ。ま、まぁゴミになるよりは……良いのか?
これで準備は完了だ。
さあ、行くか。
名前:氷嵐の主
所持金 :17248
ギルドランク:G
GP :90/100
MSP :0
種族:ディアクロウラー 種族レベル:4
種族 EXP 660/4000
クラス:弓士
クラスEXP 4426/8000
HP: 100/100
SP: 810/810
MP: 52/ 52
筋力補正:4 (1)
体力補正:2 (1)
敏捷補正:18(2)
器用補正:7 (4)
精神補正:1 (0)
所持スキル : 中級鑑定(叡智のモノクル) サイドアーム・ナラカ:―
魔法糸:― 念話:熟練度5328 毒耐性:熟練度3200
クラススキル: 槍技:熟練度2112 スパイラルチャージ:熟練度1344
払い突き:熟練度528
弓技:熟練度482 チャージアロー:熟練度936
集中1:熟練度0 遠視1:―
早弓2:―
クラス : 弓士
弓技 LV1(0/200)
集中 LV1(0/40)
遠視 LV1(0/40)
早弓 LV2(0/120)
サブスキル1: 浮遊3:熟練度1120 転移1:熟練度100
所持属性: 水:熟練度546 風:熟練度422
所持魔法: アイスニードル:熟練度100 アイスボール:熟練度744
アクアポンド :熟練度82 ウォーターボール:熟練度42
装備品:鉄の槍 鉄の槍 コンポジットボウ
魔法の矢筒(32) 鉄の矢28本 爆裂の矢3本 火炎の矢1本
麻のベスト 麻のマント
所持品:ステータスプレート(銅) 叡智のモノクル 魔法のポーチS(1)
ショルダーバッグ 皮の背負い袋 ポイズンボムS
5月2日修正
盗賊連中も大体5レベル中心らしいしな → 盗賊連中は大体5レベル相当らしいしな