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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
6  空中庭園攻略
556/999

6-94 空中庭園連絡通路

―1―


「ソフィアちゃん先生は、この『空中庭園』に挑んだコトがあるんだな?」

 俺の言葉に紫炎の魔女は少し不満そうにしながらも頷く。なんで不満そうなんだ。

「なら、道案内を頼んでもいいか?」

 俺の言葉に紫炎の魔女は、こちらを馬鹿にするよう肩を竦めた。


「むふー。何の話ですー?」

 おや、シロネさん、復活しましたか。

「いやな、このまま、この『空中庭園』を攻略するって話なんだよ」

 俺の言葉にシロネは頭に疑問符を浮かべていた。

「むふー。そうなんですねー?」


「シロネ、先行」

 紫炎の魔女の言葉にシロネは疑問符を浮かべ、不承不承な様子で頷き、先頭を歩く。


「次、虫」

 だから、今は虫じゃねえだろ。虫って呼ぶなよ。ほら、シロネが不審がってるぞ。


「次、ステラ、そして私」

 一応、殿をやってくれるのか。でもなぁ、ただ、面倒だから、そうしているって感じだよな。


 先頭をシロネが罠が無いかを確認しながら慎重に進み、その後ろを俺が、そして、恐る恐るという感じでステラ、無造作に歩くソフィアって感じだ。


 雑草が燃え尽きた広場を抜け、赤い通路に出る。そういえば、ここ、風属性だけになるけど、紫炎の魔女は大丈夫なのか? その通り名のように火属性魔法がメインなんだろ?


「ここは風属性しかないけど、大丈夫か?」

 俺が後ろへ振り返り、聞いてみると紫炎の魔女は気にするなとばかりに手を振った。あ、さいですか。


 しばらく歩き続け、台座のある三叉路に出た。

「探しているのはここの認証鍵か?」

 認証鍵? あー、まー、多分、そういった認証の為の鍵だろうな。

「ああ」

「なら左」

 なるほど。そちらで正解だったのか。


 にしても、このペースだとさ、鍵までの距離がどれくらいあるか分からないが、余り時間がかかりすぎるようなら《変身》の効果時間が消えてしまうぞ。急がないとな!


――[エルハイスピード・ダブル]――

――[エルハイスピード・ダブル]――

――[エルハイスピード・ダブル]――


 効果を拡張して皆に風の衣を纏わせる。ちゃちゃっと進みましょう。


 風の衣に包まれた最後尾の紫炎の魔女がため息を吐いていた。

「上位化に、何かの効果増幅? 非効率的。MPの無駄遣い」

 うーん、でも、俺、それしか知らないからな。

「ここで私が最初に使った魔法、思い出す」

 むぅ。確か、ファイアウォールの範囲が広がっていたような。上位化だとエルがつくんだよな。確か、エクスってついていたけどさ、それが範囲拡大とか、なのか? うーむ、ま、後で色々試行錯誤してみよう。


「急ぎ進むぞ」

 時間が無いからね、サクサク進もう。


「むふー。でも罠が……」

 なるほど、急ぎ進むと罠があるか無いかを確認しながら行動してくれていたシロネを阻害するか。

「シロネ、大丈夫。敵だけ感知」

 ま、まぁ、迷宮経験者の紫炎の魔女がこう言っているんだ、よろしくお願いします。


「認証鍵は一番奥」

 紫炎の魔女の言葉に従い、風の衣を纏い急ぎ駆ける。




―2―


「前方、敵ー」

 走りながらシロネが叫ぶ。


「分かった」

 それに紫炎の魔女が答える。


 紫炎の魔女がお子ちゃまローブの袖から腕を出す。そこには燃え盛る炎のような腕輪がはまっていた。紫炎の腕輪が燃え盛り回転する。


――[エルファイアランス]――


 俺の後方から炎の槍が射出され、前方に見えてきた動く球体を貫く。


 それを横目に俺たちはどんどん迷宮の奥へと駆けていく。


「次、左」

 迷宮を駆ける。


「前方、敵1、左に2ー」

 先程と同じようにシロネが叫ぶ。


――[エルファイアランス]――


 後方、紫炎の魔女が生み出した炎の槍が前方の球体を貫く。


――[エクスファイアウィップ]――


 さらに大きくしなる炎の鞭を生み出し、左の敵をなぎ払う。


 えーっと、アレだ。これ、俺、何もしなくていいな。楽でいいなぁ。


「次は真ん中」

 どんどん迷宮を駆ける。


 現れた動く球体たちも紫炎の魔女がどんどん潰していく。これは凄い子を味方につけたかもしれない。


「正面注意」

 紫炎の魔女が呟く。


 えっ、と思った時には正面に落とし穴が開いていた。勢いよく駆けていたシロネは急に止まれない。あまり運動が得意では無いのか、もさもさと駆けていたステラは、逆にそれが功を奏して落とし穴の前で立ち止まることが出来た。こ、これは……。

 あー、シロネさんがぼっしゅーとされる。


――《魔法糸》――


 俺はすぐさま《魔法糸》を飛ばしシロネの体に結びつける。そして、そのまま引っ張る。シロネ自身も粘着性を持った《魔法糸》を掴み、落とし穴の壁を蹴り、上へと飛び上がる。


「むふー。そ、ソフィアちゃん先生、注意が遅いですよー」

 シロネと落とし穴はゆくゆく縁があるようだな。


 しかし、こう落とし穴が開いていると向こう側に進めないな。


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い、落とし穴の向こう側へと降り立つ。


――《魔法糸》――


 そこから《魔法糸》を生み出し、向こう側へ飛ばす。向こう側ではシロネがその《魔法糸》を掴んで引っ張ってくれる。

「さあ、この糸をつたって」


 しかし、紫炎の魔女もステラも動こうとはしなかった。えーっと、せっかく渡れるように糸を張ったんですから、あのー、お願いします。


「無理です……」

 ステラはその場に座り込んでしまった。うひょー、完全に足手まといー。

「はこぶ」

 紫炎の魔女も自分で動くつもりはないようだ。たく、紫炎の魔女さんよ、前回来た時はどうやって落とし穴を乗り越えたんだよ!


 はぁ、仕方ない。


――《飛翔》――


 しばらく待ち、再度、《飛翔》スキルを発動させる。そして、そのまますぐに紫炎の魔女を抱え、向こう岸へ放り投げる。

「丁寧に扱う」

 紫炎の魔女が何か言っているようだが、気にしない。そして、すぐにステラも抱え……、抱え、何とか向こう岸に着地する。


 シロネは助走を付け、飛び、落とし穴を飛び越える。


「フライの魔法、使える者が居なかったか」

 紫炎の魔女はそう呟いていた。何ソレ。もしかして空を飛ぶ魔法もあるのか? 言葉的に風属性ぽいな。ま、《飛翔》に《浮遊》スキルがあるから、余り欲しいと思わないな。


「もうすぐ到着」

 そうか。何だろう、迷宮攻略が凄い力業だった気がする。

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