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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
6  空中庭園攻略
551/999

6-89 何か裏がある

―1―


 転送の台座を使い先程の三叉路へと戻る。さて、今度は左側か。


 左側の通路を進むとすぐに下り坂になった。今度は下る方か。


 しばらく進み続けると左右に扉が並んだ通路に出る。そして、扉を守るように浮遊して動く球体がいた。今度の球体は、少し大きめの中央球体の周りを2つの金属の輪がクルクルとまわっている。扉の前を巡回しているクルクル球体の数は3体。うーむ、やっぱりあまり強そうじゃないな。


 さっきはスターダストで斬り潰したし、今度は魔法を試してみるか。とりあえず、アイスランスからだな。


――《隠形》――


 《隠形》スキルを使い、存在を薄くして壁を這うように歩き、クルクル球体へと近付く。よし、アイスランスの射程距離内!


――[エルアイスランス]――


 しかし、何も起こらなかった。あ、れ……? ならば!


――[アイスコフィン]――


 やはり、何も起こらない。俺は周囲に漂う魔素の靄を見回す。ま、ま、ま、まさかッ!


――[ハイスピード]――


 俺の周囲に風の衣が生まれる。うん、風属性の魔法は使える。周囲に漂っている靄も赤色だからな、風属性は大丈夫っと。いや、でもさ、さっき、クリエイトインゴットの魔法は使えたよな? どういうことだ?


 そこで、俺は自分の足下を――履いているモノを見る。


【フェザーブーツ】

【魔獣エルダーアントの羽より作られた魔獣防具。金属性の力を宿しており何処でも金魔法を使うことが出来る。地形効果無視能力を持った靴】


 あ、あー。なるほど、なるほどなー。すっかり存在を忘れていたよ。広場で普通に魔法が使えたからさ、ここも大丈夫だと無意識のうちに思い込んでしまったな。風の属性は問題無く使えるから、後は水属性があれば氷魔法も普通に使えるか。となると、いつもの水天一碧の弓の出番だな。


――《スイッチ》――


 《スイッチ》スキルを使い水天一碧の弓を取り出し、サイドアーム・ナラカに持たせる。いやぁ、最近は水属性の為だけにこの弓を呼び出してるよなぁ。こう、属性を使うだけなら、腕輪とか、そういう感じの邪魔にならないモノが欲しいです。


――[ファイアボール]――


 あ、やはり火魔法もダメか。まぁ、氷魔法が使えるし、金魔法も使えるから、それで何とかなるか。


 って、うお!


 いつの間にか俺の目の前にクルクル球体が浮かんでいた。クルクル球体の中の瞳が開き、こちらを観察するように動いている。色々、考え事をしていたから気付かなかった!

 クルクル球体の回転が止まり、瞳に光が集まっていく。や、やばい!


――《回し蹴り》――


 一回転し、強烈な回し蹴りを放つ。球体がひしげ吹き飛ぶ。フェザーブーツの味はどうだい? あー、びっくりした。


 1体が吹き飛ばされたことで他のクルクル球体もこちらに気付いたようだ。残りの2体がくるくると輪っかを回転させながら近寄ってくる。


 よし、いいだろう。今回は格闘で相手をしてやろう。せっかく格闘スキルを覚えていて、人型なんだ、練習がてら使ってやるぜ。


――《飛び膝蹴り》――


 手前の1体に鋭い膝蹴りを放つ。


 ……。


 いてぇ。固い、固い、超硬いよ! 《回し蹴り》で楽々凹んだから、柔らかいかと思ったら凄く固い。膝が割れるかと思ったよ! これはアレか、フェザーブーツが凄いのか。


――《回し蹴り》――


 膝は痛むが、スキルの発動と共に強制的に体が動き、手前のクルクル球体を凹ませ吹き飛ばす。あー、やっぱりフェザーブーツが強いのか。今まで全然活用して無くてごめんなー。


 ならば!


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い天井近くへと飛び上がる。からのッ!


 そのまま落下の勢いと共に最後のクルクル球体へと跳び蹴りを放つ。蹴りがクルクル球体を打ち砕き吹き飛ばす。おー、意外と良い威力。でも、スキルとしては発動しなかったな。あわよくばスキルがゲット出来ないかなぁ、なんて期待していたんだけどな。


 凹み吹き飛んでいたクルクル球体が輪っかを動かし、再び浮かび上がる。凹んでいても動く、か。周囲の輪っかが浮力を発生させているのかな?


――[エルアイスランス・ダブル]――


 絡みつくように生まれた2つの氷の槍が金属の球体を貫き、砕き、打ち壊していく。風の属性を持っているから効果は薄いかと思ったが、これなら、充分、実用範囲だな。


 さ、球体はインゴットにしちゃいましょうねー。




―3―


 球体をインゴットに変えて回収した後、俺は通路の左右に取り付けられた扉を調べた。


 ……しかし、開かない。


 あれれ、なんでだ? こう、禁書庫みたいに上下に分かれて開くんじゃないのか? 何で開かないんだ?


 色々調べて試してみるが、扉は一向に開く気配がなかった。むむむ。って、ちょっと待て、そろそろ時間がやばくないか? この後、禁書庫に戻って、そこから寮まで帰らないとダメだし……あー、うー、この扉にかかりっきりになって時間のことを忘れていた。《変身》スキルは効果時間があるから不便だよなぁ。仕方ない。来週は、この扉は無視して、この奥を探索しよう。


 今日の戦利品は究極の魔鋼が9個であります。フルールに上げたら喜びそうだな。


 というわけで! 今日は帰りますか。


 来た道を戻り、禁書庫へ転送し、そこから大書庫に戻る。そのまま寝転がって本を呼んでいたテスを無視して学院に戻る。と、そこで呼び止められた。


「探しましたわ!」

 そこに居たのは豪華な髪型の少女だった。はい、エミリアさん、何でしょう。


「父様が、手紙で、いつまた料理を振る舞ってくれるんだってうるさいのですわ! ノアルジーさん……」

 何の用かと思えば――うーむ、外出かぁ。ポンちゃんたちを集めて料理をするのは簡単だけどさ、それで一週間が潰れるのは、なぁ。

「すまないが、予定が……」

 俺の言葉に豪華な髪型の少女はため息を吐いた。

「そうですわね……。でも、ですわ。私が思うのには、ただ食事がしたいというわけではないと思いますの。王宮のお仕事で忙しい父様がその程度の内容で時間を作るとは思えないんですもの」

 うーむ。なるほど、ゼーレ卿はゼーレ卿で何か裏があって俺を呼ぼうとしているのか? むむむ。でもさ、こんなことをしていたら半年なんてあっという間に終わってしまうよ。まだ、何も結果が――手応えすらない状況だからなぁ。


「それとこれは教師の方々が噂していたのですが、もうすぐ紫炎の魔女様が到着されるそうですわ!」

 エミリアが手を組んで目を輝かせていた。あー、そういえば、この子、紫炎の魔女とやらのファンだったか。来るのは、どうせ凄いおばあちゃん魔法使いとかだろうに、うーむ。それにさ、もしかすると、俺の方が魔法は凄いのかもしれないんだぜー。


 ま、まぁ、それはそれで楽しみか。

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