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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
6  空中庭園攻略
549/999

6-87 空中庭園憩いの広場

―1―


 騎士学校と合同訓練をしたり、定期試験があったりとなにやらかやらと忙しい。この学院ってばさ、授業を受けるのは自由なのに定期的なイベントが多すぎるんだよ! いくら半年の猶予を貰っているって言っても週一の《変身》のタイミングで行事に参加をしていたら禁書庫の探索が出来ないじゃないか!


 バーン君が臨時の講師として来た時は本当に困ったぜ。勘弁して欲しいよ。そういうイベントは要らないんだってばさ。こっちだとノアルジ形態か分身体だから目立つ、目立つ。バーン君はAランクの冒険者として迷宮都市で地道に活動すればいいと思うのです。まぁ、彼は彼で何かを探しているようだったけど、学院で捜し物とかよーわからんことをするよな。


 まぁ、色々とイベントはあったが、やっと禁書庫の探索が出来そうだ。俺1人での探索になるが、今は探求士のクラスもあるし、ノアルジ形態での探索だから、余程のことが無い限り困ることはないだろう。


 ということで!


 探索開始なのだった!


 時間が勿体ないので急ぎ大書庫に向かう。


「何の本を探すの……?」

 俺が大書庫に入ると足下から声が聞こえた。あー、テスか。この子もよくわからない子だよなぁ。敵では無いようだけど、味方とも言い切れないんだよなぁ。一応、第三王女側なのか?


「テス、君はセシリーの味方なのか?」

 俺の言葉に寝転がって本を読んでいたテスは、その姿のまま、器用に首を振った。敵ってこと?

「私は第一王子に仕える者……」

 へ? そうなの? ってコトは敵? いや、でも、そんな感じじゃないよな。


「君はバレンタイン王子の手の者だったのか」

 俺が聞くとまたもテスは首を横に振った。ど、ど、どういうこと? さっきは第一王子に仕えているって言ったよな? でも第一王子の手の者じゃない? 二重スパイってこと? それとも親か何かの関係で第一王子に仕えているけど本当は離反したいって思っているってコト?

 うーむ、よくわからん。まぁ、この子が正直に全てを話しているとは限らないし、考えるだけ無駄か。まぁ、鍵を手に入れるのに、この子の手助けが必要とは思えないし、無視していいだろう。


「私は正当な継承者が神聖国に戻るのを待っているだけ……」

 うーん。ただまぁ、この子の言葉から分かるのは、結構長いこと学院に住んでいそうだなってコトだな。この学院って何年生とか無いからさ、その辺、よくわかんないんだよなぁ。ダンソンさんやメディアなんか上級生ぽいけど、上級生ってくくりがあるワケでも無い。まぁ、長く居る生徒は、講義よりも自習が多く、試験だけ出ているって感じだから区別はつくんだけどな。でもさ、それならさ、もういっそ卒業すればいいのにね。


「今日は禁書庫に用があるんだよ」

「案内が必要……?」

 いや、また襲われたら困るからな、案内は必要無いぜ。


「いや、不要だ。ちなみに真の禁書庫から戻る方法はあるのか?」

 俺が問うとテスは寝癖を揺らしながら首を傾げていた。うーむ、頼りにならない。


 多分、だけどさ、今までの情報を整理すると――禁書庫の奥って八大迷宮『空中庭園』と繋がっているんだと思う。で――で、だが、そこに転送されたのはたまたまなのかもしれない。テスの反応を見ると、そうとしか取れないんだよな。


 何が原因か分からないが、もしかすると俺だけが『空中庭園』に転送されているのかもしれない。本来の鍵が、禁書庫の方にあるのなら困ったことだが、『空中庭園』の奥で鍵がなくても開けられる方法が見つかるのなら、それはそれで、今回の問題が解決するかもしれないしな。


 とりあえず探索開始だ!


「本……読んでていい?」

 あ、どうぞどうぞ。




―2―


 見慣れた台座に触れて真っ赤な部屋へと移動する。そういえば、この台座には何も描かれていないな。今までの八大迷宮の傾向だと、その迷宮の主が描かれていたからな。つまり、ここはまだ八大迷宮ではないってことか。


 そのまま通路に出て、奥の部屋まで駆ける。奥の部屋には前回と同じように台座があった。


 台座に触れると周囲の景色が変わり、やはり真っ赤な部屋に転送される。で、この部屋には台座がない、と。

 金属の扉を開け、外の通路に出る。右と左に通路は分かれている。左は……王宮だったな。となると右か。


 右にしばらく歩き続けると急に開けた場所に出た。ここは明るいな。足下だけではなく、天井にも灯りがあるようだ。


 そして、そこには土があり、木々などの自然が有り、小川があった。何だ、何だ、外に出たのか? いや、でも天井があるよな? 雑草が生えまくっているけどさ、ここは何だ? 迷宮の中に、こんな外の環境を真似したようなモノがあるのか。うーむ、前回、いきなりこっち側に来ていたら困っていただろうな。


 道が殆ど見えなくなっているほど雑草が生え放題の部屋を歩いて行く。ある程度、進むと小屋が見えてきた。


 小屋の中は何も無く、ただの――普通の木にしか見えないモノで作られた椅子があるだけだった。休憩室か何かか? よく分からないな。まぁ、でもさ、こういう感じの迷宮なら女神の休息日に逃げ込むにはちょうど良いかもね。


 さらに大広間を歩いていると何やら動く存在が見えた。目玉のような金属の球体が不規則に空中を動いている。何だ? 似たような物を『空舞う聖院』で見た気がするぞ。


 金属の球体はこちらに気付いたのか目玉をこちらに向け、空中で動かなくなった。何だか嫌な予感がするんですけどー。


 そして球体から突然大きな音が鳴り響いた。警報か?


 広場に周囲の壁が開くような音が響く。これ、間違いなく警報だよな。不味いよな。


 そして周囲から2つの唸り声と魔獣という線が現れた。はい、出ましたー。やっと魔獣の登場です。


 現れたのは牙が伸びた虎のような魔獣と起き上がり鋭い爪を持った熊のような魔獣だった。こいつらは強いのかな? まぁ、でもさ、入り口近くだから、それほどでも無いような気がするなぁ。今までの迷宮の傾向からすると奥に行けば行くほど敵が強くなるって感じだもんな。


 ま、ちゃちゃっと片付けますか!

2016年7月26日誤字修正

手助けが必要とは思えなし → 手助けが必要とは思えないし

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